とあるお国の落第契約者
その前日の夜夢を見た
沢山の記憶の映像が自分を囲むように記憶を映し出していた。
それは今はもう忘れてしまっていた幼い頃の記憶…
懐かしい今はもういない家族の記憶…
それぞれの映像の音声が混じり合う中で一つだけ特別な音声が聞こえた。その映像が特別大きい音を出してる訳でも無い、むしろ他のよりも小さい。
その映像を必死に探すが何処にも無い。自分の呼吸と心拍数が荒くなって行くのが自分でも分かる。それでも必死に探すが見当たらない。
ハァッハァッハァッッ…
苦しさの余り膝を折、胸を抑え目を強く瞑った。瞬間、頭に一つの静止画が写った。思わず目を開けた…が、そこには、いつもの俺の部屋…陽の光を微妙に遮るカーテン、いつも笑顔で俺を見守るフィギュア…
「おはよう…お兄ちゃん…」
「おう!おはよ!」
俺を朝イチに起こしてくれる添い寝妹…ん?俺に妹なんていたっけ?
「んなわけねーーだろ!!!」
俺は布団から飛び跳ね掛け布団を力いっぱい剥がした…剥がしたよ…うん
「ひゃぁ…ん?もう起きるの…?おはよう~…クーー…」
「寝るなぁーーー!!!つか何でお前全裸なんだよ!」
すると少女は向くりと眠そうに上半身を起こした。
この少女の名前は)神崎 猫
彼女は、パット見、9才位の幼い少女だが、それは悪魔でパット見だ実際は、俺と同じ15歳だ。猫の特徴は、肩まで伸びる白を超越した白銀の髪とエメラルドグリーンの様な瞳。普通誰もが喜ぶ髪と目だ…だが、猫は昔この髪と目が死ぬ程嫌いだったらしい…猫が元々住んでいた国の村では、ある日を切っ掛けに魔女狩りが発生した。世間が目を付けたのは、他の人とは違う珍しい瞳と髪をした猫だった…その日まで普通に父と母と仲良く暮らしてた家に村人達が攻め込んできた。自分を必死に逃がそうと父と母は戦った…
「父さん!母さん!」
大好きな家族が死ぬ瞬間を当時8歳だった猫は見てしまったのだ…猫は必死に逃げた…驚く程体が軽かった…もう走れ無くなった猫は、雪の中倒れた。
必死に助けを求めようと手を伸ばすが誰も居ない。いたとしても気付かないだろう。だって…真っ白い雪に真っ白い髪…
その時伸ばしてた手を誰かが握った…とっさの出来事に頭をあげた。
「父さん…?…母さん…?」
そこに居たのは猫の理想としていた父と母ではなくスノボーをしに来ていた俺だった…
「朝から騒がしーわね!とうとう頭おかしくなったんじゃ…………」
突然ドアを強く開け少女が怒鳴ってきたが、声は最後の方小さくなって行った。
「お…はーよ…?」
ヤバイ!
部屋の扉を開け中の光景を目の当たりにした少女は固まった。
名前は)神崎 美桜
彼女も昔、赤を通り越した紅色の瞳と長い髪が原因で自分だけでなく家族への周りからの視線は厳しかった。それに耐えられなくなった母と父が美桜を捨てた…捨てられ死ぬ寸前だった美桜は、この家の主の葵さんに命を救われ家族になったらしい。
「あっあんた…朝から一体何してるの……」
「いっいやこれは( ̄ω ̄;)エートォ...」
「美…桜お…はよ…」
「いいから!猫はさっさと服をきなさい!!!」
美桜の怒鳴り声が家を揺らした…
『古代遺跡の発見から早4年我々人類の技術は驚く程急上昇しています…』
ニュースで言っているように、古代遺跡から発見された、とある鉱石❮覚元石❯によって原子ではなく霊子の存在が判明、今まで有り得ないと言われていた異なる次元や世界から呼び出す(召喚術 )が可能になった。
召喚術の発明の影響力は大きかった1人で何千と言う軍隊に匹敵する程だ。
当然覚元石の独占戦争は、世界各地で始まった…
覚元石の欠片でもあれば召喚術は出来た…でも国の上の人間に仲良くと言う言葉は不似合いだった…
でもこの国は違った…手に収まる程の欠片だけを採取し、姿を消した…
「やったぁーー!カズマ、私天霊出しちゃった!」
どうやら凄いのと契約したらしい美桜は、鼻歌を歌いズカズカと歩み寄ってきた。
「わたし…は…神霊」
猫の一言に美桜は固まった。
「は~い次は~と、かすま君?」
「和真です…」
いつも名前を間違い薄い金髪メガネの担任のミフネ先生はこの前新任して来たばかりの先生だった。
「いくら才能無いからって昆虫とかニートの霊はやめてね?」
「が…んば…れ」
「相変わらず美桜は俺への扱い酷くないか?…じゃあ猫行ってくる、もんの凄いの召喚して来っから」
和真は勇ましくステージへ向かった。
「ミフネ先生かすまは流石に酷くないっすか?」
「ごめん、ごめん、じゃあここに手置いてね~」
先生に言われる通り召喚陣らしき物の中心に手を置いた…
え……
瞬間召喚陣は、激しくスパーク。召喚陣の外で先生達が慌てて生徒達を離れさせている…生徒達は野次馬と化しその場を離れようとしない。
「いいかお前らよく見てろよ!一生物だぞ!これが俺の召喚霊だ!!!」
激しいスパークによって俺を含め辺り一帯が視認出来ない程の光に包まれた。
「またここか……」
俺は今,昨日のモニターを見渡していた。
一際外れた位置に,モニターを眺めてる人の姿があった。目を凝らして見てみると,少女だった…
不審に思い見つめていると,少女は俺に気付いたのか,とっさに振り向いてきた。良くは見えなかったが頬お伝う涙が見えた…
「ねぇ、君…君だよ君」
えっ…うぉあああああ!
「ハァー…そんなに驚かないでよ」
先程まで見つめていた少女が突然後ろから話しかけてくるこの状況にどう驚くなっていうんだろう…
「な…なぁ,昨日と今見てる光景は、夢なのか?」
「夢?う~んとそうだね~,君はどう思うの?」
「えっ?…夢……?」
「なら夢だね!」
何だろうこの適当な答えは…でも,先程遠くで見た時には分からなかったが,今こうして近くで見ると,美桜や猫にも負けない程の美少女だ。なんと言っても,白い髪に,白い下着姿と言う白だらけの中に輝くレッドカラーの瞳…だが幼女だ…
「お前名前は?何時からここに居るの?」
「君は夢に出て来る登場人物に質問してるのかい?……まぁ自称だけど1000年位かな…?」
「へ?」
「1000年」
軽いノリで凄いこと述べて来た。
「ずっと1人?」
「うんずっと1人。み~んな死んじゃった。」
少女は笑顔だった…
「何で…」
「へ?」
「何で1人で1000年もこんな所居てそんなへらへらしてられるんだよ…本当は外に行きたいんじゃないのかよ!」
つい1000年と聞いて熱くなってしまった俺は,自分より幼げな子に強い口調で言ってしまった…
少女は頭を横へ傾げた。
「………ふふっ,あははははは!,は~,君,面白いね。何でって?おっとそろそろ時間だね,」
「はっ?時間?……っなっ何だ!?」
周りの背景がどんどん崩れていく…いや遠ざかっている。
「おい!これはどう言う事なんだ!説明しろ!」
─君にいいものをあげるよ僕の力の一部大事に使ってね…
それが最後にぼんやり聞こえた言葉だった