出会い
学校が終わり、いつものように独り暮らしをしているアパートに帰ると、部屋の扉を開ける前になんだか嫌な寒気がした。
昔から霊感は結構強い方で、と言ってもこれといった心霊体験に出会ったことはないが、墓地などにいって妙な悪寒が走ることは珍しいことではなかった。
これはそんなときと同じ寒気である。
僕はなんだか不安に刈られて、恐る恐る扉を開けた。
すると、
小さな女の子が僕の部屋で炊飯器からご飯を貪っていた。
僕がその不可解な光景に呆気にとられて立ちすくんでいると、彼女も僕の存在に気づいたのであろう、2、3秒こちらを見つめ、その白い頬についた白いご飯粒を白い手で拭い、持っていた白いしゃもじをそっと、白いテーブルに置いた。
「ご馳走さまでした」
透き通った幼い声でそう言うと、彼女は立ち上がり、押し入れの戸にそっと手をかけた。
「おい」
「え?」
「頬、ご飯粒まだついてんぞ」
彼女はあわてふためいて、その白い頬を少しだけ赤らめて、残っていたご飯粒を拭った。
「あ、あの、教えてくださって、ありがとうございます」
「別に」
僕がそう言うと、彼女は再び押し入れの戸に手をかけ、バタバタと中へ入っていった。
さて、困った。帰ってきたらすぐに夕食を食べられるように、と思ってご飯を用意しておいたのだが、なくなってしまった。どうしようか。
そんなことを考えながら、僕はさっきまで少女が座っていた場所に座り、一息ついた。そして、押し入れを振り返り、こう叫んだ。
「はぁぁぁぁ!?」
そしてそれは、少女が押し入れの戸を再び開け、私に向かって叫んだのと同時であり、これが、彼女と僕の最初の出会いである。