序2
私はいつも世界の何処かを視ている。
そう…“視ている”だけ。
私の存在は世界には存在しない。
誰も私を見てはくれない。
毎日毎日、世界をただただ視ては不条理を修正し均衡を保ってきた。
二つの世界を上から視る景色はとても綺麗で、はじめはそれだけで良かった。だけどある日、世界の中に入って「あぁ、なんて広いんだろう」そう思ったんだ。
私がここで世界を視る様になって、どれだけの歳月が過ぎただろう。数えきれない歳月が過ぎていったと思う。
だからいつの間にか…━━━
「私も世界の一部になりたい」
と思うようになっていた━━━
「“****”」
「神様?」
「貴女は世界の中に居たいのですか?」
「…居たい、私は世界の中に居たいのでしょうか。この気持ちが分からないのです」
何処からともなく神様の声が響き聴こえてくる。
神様は突然何の前触れもなく、私に語り掛け姿形は見えない。
「では何故、世界の一部になりたいと?」
「たまに世界に触れると、私はどうしてここに居ないんだろう。どうして誰も見てくれないんだろうって考えるようになりました」
「貴女は淋しいのですね」
淋しい━━━?
これが淋しいというの?
感情というものを知らない。
欲というものを知らない。
少女は知らずに世界をただ“視ているだけ”だから神様が言う淋しいがよく分からないのだ。
「“****”貴女はよくここまで世界を観てくれました。褒美として世界の一部にしてあげたいところですが、さすがの私でも出来ないのです。存在しない貴女を一部にすることは理を禁忌を犯すことと同じだからです」
静かに神様の話に耳を傾けた。
「ですが、一つだけ方法があります。それは、二つの世界を一つにするのです」
「世界を…一つに…?」
首をかしげその意味を探る。
世界を一つにするなんて、無理に近い…と言うより無理なんじゃ。
だって二つの世界は…━━━
「貴女が思っている通り一つにするのは容易ではありません。ですが…それぞれの世界に散らばった“星達”を見つけ出し“はじまりの樹”に来れたなら、一つにすることが出来るかもしれません」
「え?…は、はじまり?ほし?」
「えぇ、そうね。貴女には世界のはじまりを伝えねばなりませんね」
神様は私に二つの世界の“はじまり”を伝え始めた。