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嘘です

一人になったKも、またその仮面を外した。

その目は真っ赤に充血していた。


「こんなんで感動して裁判官がつとまるかなー。 うぅ。ま、こんな話そうそうないっす」


彼はポケットから一冊の手帳を取り出した。

ところどころ、ボロボロに破れていた。


それは、彼女を監視すれように言われて、

その毎日を書きとめていたモノだった。


そこには彼女の人生の歴史がつまっていた。


懐かしそうに見ながら、Kはつぶやいた。


「ごめんなさい… ぼくはひとつ、あなたに嘘をつきました」


…この書類にある彼女が結婚したって項目。


これは、嘘です。

あなたを安心させたかった。

あなたのことを引きずって、ひとりのまま。

そんなこと言ったら、きっとあなたはまた自分を責めたでしょう。


でも、そうじゃなかったんです。

彼女の中にはずっとあなただけだった。

苦しみながら、死にそうになりながら、

それでも、あなたを信じて生き続けました。


最期まで独り身で…


そして、あなたも最後まで彼女を想ってた。

こんな純愛、あるんですね。


愛情ってものを…

ぼくはちゃんと見て感じて、初めて知りましたよ。ぼくが、ふたりの証人ですからね。


そんな、あなたたちなら…きっとまた出会えます。


そういった運命なんです。

遠回りしたけど、もう少しですからね。



目元を手で何度かこすると、

Kは仮面を被りなおした。


「では、次のかた、お入りください!」

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