脱いだ
「あなたは天国に行きなさい」
はっ?
一瞬、言ってる意味がわからなかった。
「おい、そんな勝手に…おれは、やっぱり無にいくべき人間だったんだ。おれは今も彼女を好きだと実感したよ。死んだのはその未練から逃げるためで……自殺だったんだよ」
「あなたなら、そう決めるでしょうねー。でも、ぼくはジョーカーじゃなっす」
「……」
「あれは事故です。彼女のために指輪を買った帰りに、自殺ってありえないでしょー?」
Kが笑いながら話す。
「早く行ってあげてください。彼女がお礼を言いたいみたいですよー」
「そんな甘い裁きをしてたら、天国がいっぱいにな ってしまうだろ」
「ま、そのときは、そのときっす」
「…ありがとうな」
「お礼を言うのは、彼女を見つけてからでしょ、天国は広いんすよー」
Jはゆっくりと仮面を脱いだ。
「初めて素顔を見ましたよー、いい顔っすね、あ、イケメンって意味じゃないすけど」
「ふっ、一言、余計だな」
「今までお疲れさまでした。そして、ありがとうございましたっ」
Kが深々と仮面を下げて言う。
「じゃ、あとは頼んだぞ」
と言って部屋を出ようとするが、そのあと足が進まない。
立ち止まって、Kを改めて見つめた。
「立派な姿だぞ、少し小さいけどな」
「そっちも、一言が余計だしーーー」
もう、こっちに来た頃の姿ではない。
見た目は小さいけど、その中身はちゃんと伝わってくる。
「今のおれがあるのは、お前みたいな部下に出会えたからだ」
「あと、彼女にもでしょー。さ、早くっ向かうっす」
彼は出ていくように、手を軽く振る。
おれは深々と頭を下げて部屋のドアを閉めた。




