愛情を
改めて、裁判が行われて彼は天国行きとなった。
天国には彼の母親がいたし、それが当然と思われた。
だが、彼はそれを拒否したらしい。
「お母さんが好きなのは、あいつだけ。ぼくは邪魔だった」
ぼそっと応えた言葉には憎しみさえ伝わった。
だが実際、彼の言うことは正しかった。
母親が天国からいつも気にしていたのは…
好きだった相手、彼の父親のことだったようだ。
なぜ、それなのにこの子を産んだ?
それで母親は天国行きとか、どこか間違ってないか?
だが、母親が彼に何か悪意を持っていたわけでなかったため、
そのまま天国暮らしは変わらず。
彼の気持ちを考慮して、彼の天国行きが取り消された。
彼はそのことを喜んで受け入れた。
「その代わり下界との橋渡しをしてもらえますか?」
「うん、そっちの方がぜんぜんいいよ」
「では、今後お願いいたします」
それから、しばらくしてジョーカーから彼に新たな指令が下された。
「現世で、ある人物を監視してもらえますか?」
「それって…あの人だよね。うん、大丈夫だよ」
「その人から愛情というものを学んでください」
「愛情ねー。ま、期待してないけど、わかった」
「そして、再びこっちに戻ってきたときには、この仕事を引き継いでください」
と当時、約束を交わした。
ようやくその任務も終わって、こっちに戻ってきたわけだが……
今の彼にならすべて任せてもう十分だろう。
「じゃ、おれは無にでも戻るとするか。あそこはおれに合ってるしな」
「え、なに勝手に決めてるのー、もうぼくが裁判官っすよ」
そして、彼は裁判官らしい口調で言った。




