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Jさん

「では時間もないですから…そろそろ判決を」


え、もう終わり??


わたしのこと、ほとんど話さなかったし。

これじゃ、アピール失敗だよ。


ちょっと、緊張。


「………」


「あなたは、天国ですね」


よ、よかったぁー。


合格通知もらったみたいに嬉しかった。


そりゃ地獄とは言われたくないもん。


ほっと、一息ついたあと、


「あ、ありがとうございます」


素直にわたしはお礼を言った。

と同時に、もうひとつ質問をした。


「あの、天国には死んだ人がいるんですよね?」


「はい、天国といっても先ほども言いましたが地上とあまり変わりませんけどね」


「なら、たくさんの人がいるんですか??」


「地獄ほどじゃないですけど、そうですよ。どうしてですか?」


「会って一言、お礼が言いたいから…」


「なるほど、その方にですね?」


「ええ、あの人のおかげで、わたしは無に行かなくてすみました」


わたしは、あの後、何度も彼を忘れたくて辛くて、辛すぎて…


消えたくなった、それは事実。


そのたびにもらった指輪を眺めたり、

公園にいって楽しい思い出を浮かべては…


自分はひとりでないと言い聞かせた。


今ではもう懐かしい思い出だけど。


当時は苦しくて、彼との約束を何度も破りかけた。


今もわたしの手首に残ってる傷が、その証。


「無も、案外と居心地よいもんですよ」


仮面が平然としゃべる。


「え? 無に行ったことあるんですか? 自殺したんですか??」


「いいえ。結局、誤解でしたから少しの間でした。 裁判官だって間違いはあります、あっちと同じですよ」


「…いろいろ、辛いことあったんですね」


ロボットだと言ったけど、きっと好きでなったわけじゃない。


元はわたしと同じ人間だった。


ジョーカーか…


今のわたしにはそう思えなかった。


「だから、今のわたしがあるんです。天国で探してる方が見つかるといいですね」


わたしは丁寧にお辞儀をする。


「J…さん、わたしはあなたに裁かれて、話ができてよかったです」


と言い残して、わたしは部屋を出ていった。

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