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裁判官

こじんまりとした部屋の真ん中に、

長机がぽつり、置かれている。


その向こうには…


鉄仮面がひとり、椅子に座っていた。

まったく表情がわからないって、とっても怖い。


恐る恐る、


「失礼します…」

と、頭を少し下げると、


「では、お座りください」


ほんとに、まるで何かの面接みたい。


緊張して、心臓がバクバクしてる。

死んでるのに、心臓って動くもんなの?


これは、きっと気のせい、気のせい、


って自分に言い聞かせて深呼吸。


すーーーっ、


さぁ、かかってきなさい、鉄仮面っ!


「はじめまして、よろしくお願いします」


と拍子抜けするほど丁寧なあいさつ。


わたしも、お辞儀をして返す。


「わたしは現世でいう裁判官みたいなものです。簡単にいうと死んだ人間の道を裁くってことです」


なら、ここはまだ天国ではないんだ。


今から、わたしの道が決まるってこと…か。


「名前は…もう遠い過去なんで忘れました。ここでは、みんなわたしをJと呼んでいますから、そう呼んでください」


「ジェイ、さん…ですか」


「はい、ジョーカーのJ。何人か裁判官がいますがその中で 一番、厳しいみたいでして…きっと運悪くわたしに裁かれた誰かが皮肉ってそう呼んだのが広まったんでしょう」


感情ない平たんな口調で淡々と話していくが、礼儀正しく冷酷な感じは伝わらない。


「あ、そういえば…さっきの女の子は?」


彼は、同じ口調ですぐに返事をした。


「あの子なら地獄に送りましたよ」


「えっ…」


そのあと、わたしは声に詰まった。


まだ小学生低学年くらいの女の子だよ?

お父さんお母さんに、会えると思って笑顔でいたのに…


どうして??


ジョーカーのJ。


その意味を少しだけ、わたしは理解した。

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