女の子
むかし世界史の教科書で…
あんな感じの兵士を見た記憶があるけど
顔だけ鉄仮面を被って他はスーツ姿って、
なかなかの違和感。
しかも真面目に話すから余計におかしくて、思わず 下を向いてふふふっ。
で、彼に言われるまま、列に並ぶわたし。
目の前にまだ小さな女の子がぽつんと立っていた。
わたしに気づいて、こっちを振り返くと、
「ここって天国?」
彼女はそう訊いてきた。
正直、わたしもわかってない。
けど、死後の世界だっていうのだけは間違いなし。
「う、うん、たぶんそうだと思うよ」
少しあいまいに返事をすると、少女はにっこりと、
「なら、お父さんお母さんにもうすぐ会えるんだ」
と応える。
何があったのかは、知らないけど…
きっと辛い過去を背負ってきたんだね。
まだ、こんな小さな子供なのに。
わたしも…
たしかに辛いこともあった。
これだけ、生きてきたんだもん。
何より…
こんなに長い人生を生きたのに結局、
高校の時の、彼のことを忘れられなかった。
いや、忘れたらダメだと思う自分がいた、
これが正直な気持ち、かな。
あの後も、ずっと心は波打ち、
眠れない夜が続き、 食欲もなく…
生きているって実感さえ忘れそうになるときもあった。
そんな時期が何年も続いた。
限界って思ったときも、数えきれない。
でも、わたしは周りに恵まれた。
そういった人たちに助けられた。
それに…
どこかできっと、彼に見守られてる。
夜になると、星を眺めながら、
「いつだってわたしは、一人じゃないよね?」
暗示のように呟いていたんだ。




