冬休み
翌日、目が覚めると、お昼を過ぎていた。
あ、遅刻だ!
と思って、すぐに今日がクリスマスイブと理解。
学校…は冬休みか。
だから、わたしを起こさず仕事に行ったんだ。
クリスマスイブにひとり、家にいる。
たくさんの子たちは、今ごろお出かけの準備。
そして日が落ちた夜にイルミネーションを見ながらまたひとつ、思い出を作っていく。
別れたときには地雷のように、辛い思い出を…
わたしは布団に包まって、ぼんやりそんなことを考えてた。
羨ましいんじゃなくて…
実際、楽しい過去ほど、2人のつながりが途切れたとき、しんどいんじゃないんだろうかって。
わたし、前まではそんなことちっとも考えたことなかったのに。
昨日までと変わっている自分を見つけた。
頭のなかがはっきりするにつれ、彼との思い出が雪崩のように、押し寄せてきた。
昨日あったのは、現実?
認めたくない自分がまだいた。
未練たらしいな。
寝る前にはちゃんと彼に誓った、
いい子にしてたのに。
どっちがほんとの自分?
…きっと、どっちもわたし。
この矛盾が、人間なんだ。
わたしは、そばにあった携帯に手を伸ばし彼の番号にかける。条件反射のように身体が動いた。
当然のように…
留守番電話になって、彼の声が流れてるだけ。
録音されてるけど、そこに聞こえてくるのは彼のナマの声色。
嬉しかった、懐かしかった。
けど彼はもう携帯に出ることはない。
そのうち、録音の声も聞けなくなるはず。
そう思うと、どっと寂しさがこみあげてくる。
携帯を持つ指にキラキラ輝く指輪。
それが全てを語っている。
彼は、もうこの世界にいない。
この現実を受け入れて頑張っていくしかないんだ。と思ったとき、携帯が鳴った。
まさか…
慌てて出たら、あの人だった。
当たり前とわかってたけど、思わず携帯を持つ力がさーっと抜けて落としそうになった。
わたしを心配して、一緒に出かけないかとの誘い。もちろん、友だちとして。
あの人なら、人気者だし女子にだってモテてるだろうし、クリスマスなんかいくらでも予定が入るだろうに…
わたしに気をつかってくれてるんだ。
その気持ちが伝わってうれしかった。
けどわたしは、ありがとう、とだけ言って
携帯を切った。
思わず、はぁってため息。
わたしはまた、布団に潜りこむ。
彼にしても、あの人にしても
わたしのせいで、彼らの人生を変えてしまった。
その先にあった未来まで変えてしまう。
それだけ、大事なことだった。
人と人の関わりって、そういうこと。
だから、何も考えず行動したらだめ。
それが許されるのは、小さな子供だけ。




