24日
彼はわたしを諭すような口調でしゃべる。
(お前はもう、未来に向いて歩かないと…明日は何の日か知ってるか?)
明日って…
たしか、24日。
あっ。
あと数分だ。
「明日は、クリスマスイブだったね」
そのとき、真暗なベランダの向こうにキラキラと光るものが見えた。
(手を、出して)
わたしは素直に、左手を差しだす。
キラキラとしたものはゆっくり近づいて、わたしの薬指を包んでいく。
(渡すことは、できなかったけど用意してたんだ)
わたしは左手を見る。
ハートが三つ並び、間にキラキラと石の輝く指輪。
これは…
(いつだったか、クリスマスプレゼントを選びに行ったときにお前、このショーケースの前にずっと立ってたもんな)
ちゃんと覚えててくれたんだね。
あのときは、そんな高いやつ、ムリムリとか言ってたのに。
(こっちのほうが、お前にはよく似合ってる。明日からの新しいお前への、おれからの最後のプレゼントだ)
わたしは、嬉しいのか悲しいのか…
涙ばかりあふれて、声にならない。
(もういないおれを追いかけるんじゃなく…こんな輝く未来、これから出会うひとやモノを大切にしていけよ)
彼の言葉がわたしの心に体に、しみわたる。




