見守る
しばらくして、影からまた声がした。
「お前のことは、これからも守っていくからな」
さっきと、同じ穏やかな彼の声だった。
やっぱり夢じゃないんだ。
わたしは昔した約束を思い出した。
「わたしのことどれくらい好きー?」
わたしは、冗談半分に聞いたのに…
彼は真顔で答えてくれた。
「おれは命をかけてもお前を守るから。周りがみんな敵になっても、おれはお前を守り抜くからな」
あまりにまじめ過ぎて答えるから、つい、笑っちゃったけど…
嬉しかったんだよ。
ほんとは涙が出そうだった。
それをごまかすために笑ったわたしって、あまのじゃくだったね。
もっと、素直に接していればよかった。
「ずっと見守るから幸せになれよ。おれは幸せだった。人生で、お前と出会い過ごせたんだから。あとはお前が幸せになればいい」
あなたがいないのに幸せなんて…
「あいつも、ほんとはいいやつだよ。たまに冷静じゃないとこもあるけどな。それだけお前が心配なんだ、きっと」
死んだのはわたしのせい。
それなのになんで、そんなに優しくするの?
わたしの心が叫ぶ。
「お前にそれだけの価値があったからさ」
心の声、通じるんだ。
「あのとき殺されると思って逃げただろ?」
わたしは、こくりと頷く。
「そんなこと、しない。するわけない」
「…じゃ、なんでナイフなんか?」
「お前の気持ちをおれは守れなかった。あのときは死ぬふりをして、同情されたかった。戻ってきてほしかったんだ。汚い考えだったよな」
そんな、そんな今さら言わないでよ。
わたしの勘違いだったなんて…
あのときの殺意の違和感はそういうことか。
わたし、なんてバカな行動したの。
「そんなおれの醜い心があったから事故にあった。当然だよな。だから、お前には関係ないんだ。気にするな」
気にするなって、そんなこと無理に決まってる。
真実を知ったわたしの心は、
余計に苦しく、つらかった。




