4.狂科学者の悪戯
想定時刻-20:15-
「それでは、ご健闘をお祈りしているのでーす!」
妙に間延びした声が頭を駆け巡る。
「はぁ…っ、はぁ…っ」
シオンはただひたすら荒野を真っ直ぐ駆ける。
視界中央にバイタルチェッカーの異常を知らせるウインドウが表示される。
「はぁ……っ、さ、酸欠か…走りすぎたか…」
次第に視界がぼやけて意識が遠退いてゆく。
「凱旋…和裏…ルリ…みんな……何処なの…」
朦朧とするシオンの前に下級のモンスターが気配を察し、近づいて来た。
「はは…敵だ、戦わなくちゃ…あれ、武器が出ない?」
どうやらバイタルチェッカーに異常がある時は現実世界のプレイヤーへの負担を考慮し、下級プレイヤーの戦闘は禁止されているようだ。
「…いきなりゲームオーバーか……はっ」
モンスターが丸腰のシオンへ飛びかかりシオンを噛み殺す、
はずだった。
シオンの耳元を一陣の光が横切り、モンスターの頭部へ突き刺さる。
「シオン!大丈夫か!!」 -あぁ、凱旋、助けに来てくれたのか-
「一体だけじゃないか、まあ分かってたけどな、シオン、しばらく寝てな。」
凱旋はモンスターの死角にシオンを寝かせた。
「よし、記念すべき第二回戦だ、行くぞ!」
凱旋は拳銃を構えるとモンスターの群れへ威嚇発砲だろうか、一発銃弾を放った、それが気に触った犬型モンスターは我先にと凱旋めがけ駆け出した。
「ふっ!はっ!こりゃ長期戦になっかな…」
などと凱旋が呟く。
一匹のモンスターへ命中した弾丸が他とは違う派手なエフェクトを見せ、命中したモンスターは断末魔を短く上げ、爆散した。
「…いわゆるクリティカル、か…っとお!いたたた」
モンスターの群れはいつしか一匹になっていた、しかし凱旋も無傷という訳にも行かなかった。
「弾がもったいないな、そうか!こうしよう!」 凱旋はモンスターの足元へ銃弾を放った。すると犬型モンスターは「キャウン!」という犬らしい悲鳴を上げ逃げ去った。
「よっし!おっレベル上がったw」
「さすがだね、凱旋」
「あっシオン大丈夫か!いつの間に起きてたんだよ」
「ついさっきだよ?もう大丈夫だから、それより、他の皆は?」
シオンがそう聞くと凱旋は少し俯き気味に
「それがお前以外には会ってないんだ…あでもさっきすれ違った人に聞いたけど、向こうにしばらく行くと町があるってよ、」
「そっか…じゃあとりあえず町の方に行ってみよっか」
そう言うと二人は歩き出した。
-想定時刻20:12-
「それでは、ご健闘をお祈りしているのでーす!」
視界が暗闇に包まれた。
凱旋とシオンは闇に包まれたらしい。
「ぐっ!強制転移か!しっかし!β版プレイヤーをナメるなよ!!」
和裏は剣を抜き放ち目の前に広がる闇を切り裂いた。
闇が消え、視界が戻ると、和裏を含め数人佇んでいた。
「あれ?ルリ!?ルリか!?」
ルリらしき人物を見つけた。
「和裏さん!?ご無事でしたか!和裏さんもβ版プレイヤーだったんですね?」
「ああ、それより、その男の人は?」
和裏が興奮気味に聞く
「この方ですか?この方は私が先ほど男集団に絡まれてたところを助けてもらったナツさんです。」
和裏には最後だけで充分だった。
「ナツ!?あ、あのナツか!」
和裏が我を忘れ叫ぶ。
「お前こそあの和裏かよ!?」
「あ、あの、和裏さん?知り合いでしたの?」
ルリは男二人を交互に見てあわあわ言いながら尋ねた。
「ああ、ガキの頃よく遊んでてな、中学くらいで引っ越したきりなんだ」
ナツと突っつき合いながら和裏が言う。
「なあ和裏、こんな事やってる場合じゃないぜ」
ナツがドラゴンを指差す。
「β版、、、研究には邪魔な不確定要素ですねえ~、消しましょうか。おやこんなところに良い材料が紛れてマスね~」
ドラゴンはひょいとルリを掴み上げる。
「「やめろぉぉぉ!!」」
和裏、ナツが一斉に斬りかかる、があっさり弾かれてしまった。
「フフフ、この小娘はしばらくワタシが研究しよう…皆さん、今回は命拾いしましたねえ~次は確実に消しますよ、ではまた会いまs(ry」
ドラゴンの頭から地面へ垂直に線が入った。
と思うと線から真っ二つに割れ、爆散した、
「また会いましょうじゃねえよ、さあ、あんたらさっさと行きな。」
大剣を手にした男が言う。
「い、行こうぜ和裏(汗」
「あっ!ルリまってくれ!…行っちまった……仕方ない、行こうか。」
和裏が言い切る前にルリは姿を消した。
(あれが噂の…まあいい、戻るか)
大剣の男がボソリと呟き、高く飛び上がり、消えた。
「しっかし、シオンと凱旋は何処に行ったんだろうな…」
和裏が心配そうに言う。
「凱旋も居るのか!?」
ナツが驚く。
「ああ、居るよ、それと、シオンってのは凱旋の友達な」
和裏は説明した。
「なるほどなあ、じゃあこれから探すだろ?何処から行こうか」
「地図あるけど。」
和裏がボソリと呟いた
「マジか!ヘイパス!」
和裏の手からパシリと地図を奪う。
「あっ!おい…パスじゃねぇし…赤い点があるだろ?それが俺達だ。」
和裏が軽く突っ込んだ後、説明を付け足す。
「んーとりあえずこの町から行ってみる?」
と赤い点から最寄りの町を指差す。
「荒野通るのか…まあいいや、じゃあ行こうか」
嫌そうに呟く。
「なんだよ嫌そうにして~」
ナツが聞く
「いやぁ、群れが鬱陶しいんだよな~まあ蹴散らせるけど。」
「あぁなるほど、って自慢すんなや!」
「まあまあ落ち着けwほら、日没だから気を引き締めて行かないと…」
そう言うと二人は歩き出した。
(そういやルリ、和裏さんもβ版プレイヤーだったんですねって言ってたけど、まさかルリも?)
どうもおはようからおやすみまであなたを見守る和裏ですww
戦闘シーン書くのはすっごい手に汗握ってぬるぬるしますw
ではでは次頼んだよ!