第五話
俺たちは滑り込むように生徒会室に入る
「ん・・・?いきなりなんだ?」
「あらあら・・・」
「・・・騒がしいぞ」
生徒会室に入るとそこに居た全員が驚いたようにこっちを振り返った
「あ・・・すいません」
肩で息を切りながら返事をする
「おい・・・大丈夫か?」
デュートリヒさんが心配したように話しかけてくる
「だ、大丈夫です」
息を整えたら一度生徒会室を見回す
見る限りだと生徒会室には、4人の人が居た
デユートリヒさんとヴィルヘルムさん、そしてティーナさん
そして知らない女性だ
背の高さからして年下かな?
「デュートリヒさんあの人は誰ですか?」
「ああ、あいつは生徒会会計のルイ・メイエだ
あと背が小さいせいで間違われるが4年生だ」
・・・四年生!?驚きだ、まさか年上とは・・・
「一言多いわよ・・・あとそこの3年生!まさか私と年下として見たりしてないでしょうね?」
この人俺の心が読めるんだろうか・・・
しっかり思ってますよ
しかし年下にしか見えない
そんなことは置いておいて生徒会長代理が見当たらない、どうしたんだろう?
「あの~?生徒会長は?」
「生徒会長なら学院長のところに行っている
何か用があったか?」
「実は・・・」
「それとその娘は誰だ?」
本当は生徒会長代理に話すのがいいのだろうが今居ないのなら
副会長に聞いてもらうしかないだろう
「話すと長いことになるんですが・・・」
俺はついさっきできたことを説明した・・・
「まったく・・・お前達は・・・やってくれたな」
生徒会室にため息がながれる・・・
「すいません」
「風紀委員に手を出したのか・・・」
「面倒くさいことになる・・・」
ヴィルヘルムさんも話しに加わる
「いったいどうするの?」
ルイさんが心配そうに話してくる
「やはりここは生徒会執行部を全員集めるべきでは?」
ティーナさんは落ち着いた表情で話している
「執行部全員か・・・外に行っているクルトを呼び戻さなければな・・・」
「・・・あいつは別にいいのでは?」
「あいつ結構強いから戦力にはなるしね」
「皆さん戦う気満々じゃないですか」
皇聖院さんが止めに入る
このまま行ってたら戦いをしそうな勢いだったな
まあ原因は俺にあるんだが・・・
「・・・俺はこれから生徒会執行部のメンバーを集めてくる」
そういってヴィルヘルムさんが生徒会室を出て行った
それと同時に生徒会室のドアが開いた
「失礼します。4年B組のギルベルトです。用事があってきました」
ラインだ・・・
「すまない、京介関係悪化は免れない・・・。 副会長!!」
「なんだ?」
「風紀委員は戦闘準備を整えています。生徒会と一戦交えるつもりでしょう」
「それは本当か!?」
「はい、実際に環境委員との不可侵締結も記録に残っています」
「そうか・・・それは厄介だ。ではこっちもどうにかしなければな・・・」
やばい・・・話についていけない、いったいどういうことだ?
俺がそんな疑問を浮かべていると
それに気付いたのかティーナさんが説明をしてくれた
「この学校にはね委員会対抗戦争というクラス間戦争と似たようなものがあってね
それをして負けた委員会は勝った委員会の言うことを聞かなきゃいけなくなるし、序列も下がるんですの」
なるほど、だから風紀委員は目の上のたんこぶのように邪魔な生徒会を委員会間戦争で負かして言うことを聞かせようというわけか・・・
「委員会の序列は1位生徒会・風紀委員会、2位図書委員会、3位保健委員会、4位広報委員、5位が環境委員ですの、環境委員は先の委員会間戦争で風紀委員に負けたから風紀委員の言うことには絶対に従っての」
そうゆうことかようやく理解した・・・だから環境委員は風紀委員と不可侵を結んだ訳か・・・
しかし生徒会執行部は全員合わせてもたった10人程度(各委員長、副委員長は除く)のはずだ・・・
風紀委員と戦って勝てるとは思えないのだが・・・
「生徒会執行部は人数少ないですよね、勝てるんですか?」
「そこが問題なんですよ。前ならば会長がいたから大丈夫でしたが今回は代表が居ませんからね・・・。どこかに援軍を頼むんだと思いますよ」
援軍か・・・生徒会執行部と特に仲がいい委員会などはあるのだろうか?
ガララララ
二人で話しているとドアが急に開いた
「コンティーヌ・リボン、ただいま戻りました!!」
コンティーヌさんが戻ってきたようだ
「あれ?みなさん何かありました?」
俺たちはコンティーヌさんに事情を説明した
「へ~、そんなことがあったんだ。大変だね」
この人は相変わらずのんきだな~
「だからお前には保健委員会に共同戦線をはる約束を結んできてくれ」
「了解だよ~」
そういうとコンティーヌさんは目にも留まらぬ速さで生徒会室を出て行った・・・
本当にデュートリヒさんの事となるとすごい力を発揮する人だな・・・
「これで後戻りはできなくなったな・・・」
デュートリヒさんがつぶやく
「会長代理になんて説明しようか・・・」
見る見るデュートリヒさんの顔が青くなる・・・
ガララララララ
また扉が開く音がした
俺が扉の方を見ると
そこには・・・
顔全体に怒りを宿した・・・
・・・生徒会長代理がいた・・・
「お前たち何を勝手にしておるのだ!」
生徒会長代理の怒声が生徒会室に響く
「まあ代理、落ち着いて」
そんな生徒会長代理をデュートリヒさんがなだめる
しかし生徒会長代理改めデュークさんの怒りは当分収まりそうに無い・・・
「ここで成果をあげれば代理の評判も上がりますし、兼ねてから問題だった風紀委員との衝突もなくなるでしょう。一石二鳥だろ」
「そうか・・・それなら、まあ・・・」
・・・と思っていたんだが、デュークさんはデュートリヒさんに乗せられて乗り気になってしまったようだ
ガララララ
また扉が開く
「ただいま戻りましてよ」
ジャンナさんが帰ってきたようだ
「話はもう聞きましたわ、それでどこが味方になりそうで、敵になりそうか教えてくださる?」
ジャンナさんは生徒会室に入るとすぐ情報収集を始めた
俺は話しに入れそうにないので、同じように話しに入れずイスに座っている皇聖院の元に行く
「いったいどうなるんだろうね?」
「私のせいで申し訳ありません」
まだ謝っている。この人はやっぱりかわいいな・・・?
「天和!」
いきなり名前を呼ばれ驚いた様に振り返る
見るとコンティーヌさんももう戻っていた・・・
「これからお前にも状況を確認してもらおう、こっちへ来い」
デュークさんが叫ぶ
・・・俺を呼んでいるようだ・・・・・・
「状況が大体わかったぞ。今回の委員会間戦争はかなり大きな規模になりそうである、
我々側につくのが、保健委員と広報委員。風紀委員側に付くのが環境委員、図書委員だ
戦力としては、我々、執行部が16人、保健委員が55人、広報委員が43人だ
そして風紀委員側は、風紀委員が73人、環境委員が52人、図書委員が54人。
合計だと114人VS179人と不利だがこちらは精鋭の集まりである
量より質で勝負である」
「しかし執行部は全員がそろっていない・・・これでは勝てない」
ヴィルヘルムさんがやる前から負けを考えている
「早く全員を集めなければいけないな・・・」
しかしデュートリヒさんはそうではないようだ
「でも皆いろいろな事しているからね・・・」
コンティーヌさんにしてみれば珍しい少し否定的な意見だ
「集まるのは無理ではないでしょうか?」
ティーナさんもコンティーヌさんと同意見のようだ・・・
「では今きていないのは誰だ?」
「・・・クルトとアリス、池上、あと坂上、それと篠原と榎本とクラリス・・・」
ヴィルヘルムさんは相変わらずしゃべるときは最短でしゃべるんだな・・・・・・
「ふむ、では明日来れそうに無い奴は誰であるか?」
「篠原と榎本・・・池上と坂上がこれないと思う・・・」
「そうか・・・ならば今日はこれで終わりだ
しかし一応の危険も考え登下校時は二人以上で行動すること、以上!!」
そうして作戦会議は終わった
俺が終わったので生徒会室から出ようとすると
「おっと、待った」
コンティーヌさんに止められた
「デュークが言っていた事を忘れたかい?二人一組で行動するんだよ」
そうだった二人以上で行動するんだった・・・
コンティーヌさんはデュートリヒさんにくっついているし
ルイさんはティーナさんと一緒にいる
ヴィルヘルムさんとジャンナさんはどこかに行ってしまった様だし
残っているのは・・・デュートさんだけか・・・
「フム、お前達だけでは不安だな・・・我輩が付いて行ってやろう」
「いや、いいですよ、二人で十分です」
「何を言っておる。相手は風紀委員だぞ、二人だけでは危ないだろう」
「はあ・・・」
俺は仕方なく皇聖院とデュートさんと帰ることになった・・・・・・
+ + + +
三人で町を歩いていく・・・
「暗いですね」
「まあ、長引いたからな・・・」
時計を見る
今の時刻は7時だ
「私の家は向こうですので、ここで分かれますわね、では」
ここで皇聖院が分かれる
なんてこった、デュークさんと二人かよ・・・
話が続かない・・・
「明日から本格的に戦争の準備をしなければいけんな」
「そうですね・・・」
「もう後戻りはできそうに無い、気を引き締めておけ」
「了解しました、がんばります」
しばらく歩き続けると家が見えてきた
「俺、家ここなんで帰りますね、また明日」
「ああ、また明日」
そう別れを告げると俺は家に入った
ドアの鍵が開いていたのでラインはもう帰っているのだろう
「帰ったぞ、ライン」
家全体に聞こえるであろう声で叫ぶ
・・・俺はおっさんか・・・
「おかえり」
すると聞きなれない声が返ってきた
・・・この声どこかで聞いた気がするんだが・・・
まさかあの人が家に居るわけないし・・・
・・・まさかね・・・
「遅かったわね」
リビングに入るとアリスが台所から出てきた
「やっぱりアリスか・・・」
アリスはどうやら料理を作っているようだ
「何を作っているんだ?」
「あんた達三人の夕食」
「ああ、俺たち三人の夕食か・・・」
・・・ん?三人?
俺の家には俺とラインの二人しか居ないはずだ
あんた達と言っているのだからアリスを含んでいる訳ではないだろう・・・
「アリス、この家には俺とラインしかいないよ」
まさか知らない訳ではないと思うが一応言っておく
「ない言ってるの?そこにもう一人居るじゃない」
アリスがそう言って俺の後ろを指差す
もう一人?俺はアリスが指差すほうを見てみる
そこには・・・
昨日まで居なかった謎の人物が居た・・・
どうやらパソコンを使っているようだ
キーを打つスピードからかなりの熟練者だろう・・・
すごいな・・・よく聞けばカタカタという音が止まることなく響いているぞ
しかし・・・
「・・・誰?」
「言ってなかったな、こいつの名前は浪川鳴海だ」
ラインがいきなり話に入る
まったくこいつは普通に会話に入れないのか・・・
「ラインが説明したとおり浪川鳴海だ、一応お前のクラスメイトだ、よろしくな」
あれ?こんな人クラスにいたっけ?
普段自分のクラスなんて見ないから同級生の顔なんてほとんど覚えていなかった・・・
これは失態だな・・・
「とりあえず今日は風紀委員との戦争のために情報をまとめていたところだ」
そういって鳴海は持っていたパソコンを俺の方に傾けた
「風紀委員で気を付けなければいけないのは三人、まず委員長の華欧軍日だろう
この人は強いぞ・・・総合だと学年ランキング3位だが実技、戦闘に関しては学年1位で
6年生で学院内で2位の実力者だ、まあ普通考えて勝てないだろう・・・
二人目は副委員長のキャロライナ・ウィリクスだ。華欧には劣るがこちらもかなりの実力者だ。気をつけておけ
三人目は・・・まあいいか、夕飯ができたようだ」
確かにこの香ばしい匂いは夕食だ
「夕食できたわよ」
「では話は夕食を食べ終わってからにするか?」
「それがいいな、冷める前に食べなきゃな」
ラインの提案に俺はすぐさま乗った
手料理なんていつ振りだろう
+ + + +
夕飯を食べ終わるとまたさっきの話に戻った
「・・・あとは生徒会執行部だな」
「そうだな味方の戦力も知っておかなければな・・・」
「まあ簡単に言うと生徒会執行部のメンバーなら負けることは無いだろう
皆、猛者ばっかりだから」
猛者・・・あの人たちが?そうは見えないが・・・
まあ生徒会執行部に選ばれてるんだ、それなりに強いだろう
「まあ、もう夜も遅い、もう寝よう」
浪川がそんなことを言い出した
「へ・・・?」
「ああ、言ってなかった。今日は天和の家に泊まらせてもらう
もうこんな時間だしな・・・」
たしかにもう外は真っ暗だろう
「それと、アリスも泊まるから・・・」
え・・・?アリスが?
「アリスが?」
「文句ある?もう夜も遅いし仕方ないでしょ」
まあこんな夜中に帰らすわけにも行かない
「まあ、仕方ないよね・・・」
「それに会長代理から一人にならないようにと言われたしね・・・」
そうだった
いつ風紀委員に襲われるかわからないから二人以上で行動するようにいわれたんだった・・・
しかしいくら風紀委員が乱暴だからっていきなり襲ってきたりするだろうか?
そんなこと無いと思うんだが・・・
まあ、用心に越したことは無いか・・・
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
「もう寝るのか?普通はここからだろう」
「早いな・・・真のゲームタイムは今からだぞ」
なにか二人が言っていたが無視しよう
今日はいろんなことがあったな・・・
もう疲れた・・・
俺は吸い込まれるようにベットに入り
のび太君にも負けない速さで寝てしまった