第十話
・・・おい・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・どうやら気を失っていたようだ
「まったく・・・お前達は何をしてるんだ」
「俺は一応上級生なんだが・・・・・・」
「我輩は悪くないであろう」
クラリスさんに怒られるデュークさんとデュートリヒさん
略してダブルデューコンビ
二人ともデューで始まって間違えそうな名前だ
まあコレも怪我の功名というのか
俺は今ちゃっかり膝枕の状態だ
もちろん膝枕をしてくれているのはクラリスさんだぞ
最近の俺はついてるのか尽いていないのか分からないが
膝枕を二回されている
まあ必ずそのときには大きなダメージを食らっているのだが・・・・・・
神よ二度あることが三度あるのを望むぞ
とまあそんなあほな事を考えていたら
クラリスさんたちも俺が起きたことに気付いたようだ
「大丈夫か?天和、怪我はないか?」
心配そうに話してくれますが
魔具なので怪我はない
「大丈夫です、クラリスさん。魔具の攻撃ですから・・・・・・」
「大丈夫ならばよかった。其処の二人天和にしっかり謝りなさい」
強気な女性だな・・・・・・
しかし言っている相手が上級生だということに気付いているのだろうか?
「すまないな、天和。まあ魔具だから傷はないだろう。大丈夫だな」
「すまんな、天和。まあ代償はあったし問題ないだろ?」
なんて二人とも的を得たことを言うんだ
まあデュークさんの発言には反省という意味はなさそうだが・・・・・・
「天和、歩けるか?」
「はい、大丈夫です。帰りましょう」
魔具での攻撃なのでさして痛みは残っていない
うん、大丈夫だ
そう自分に暗示をかけながら時計を見る
どうやら俺は5分ていど気を失っていたようだ
「そうだな、帰るか」
+ + + +
帰り道にて・・・
二人で並んで帰りながら話をしている
「さっきはすまなかったな。全くあの二人は」
「いえ、大丈夫ですよ。気にしていませんから」
「そうか、ならいいんだ。どうにも生徒会執行部の奴らはどこかが抜けているからな・・・」
「ハハハ、だったらクラリスさんもどこか抜けているんですか?」
クラリスさんの言葉は長年その人たちを見ているようだった
たしかこの生徒会執行部のメンバーは最近集まったからそこまで付き合いはないはずなんだが・・・
「いつもはしっかりしているんだがな・・・・・・私か?私もどこかが抜けているらしい」
「らしい?どういうことですか?」
「そういうことは自分では気付かないものだ。私もどこか抜けているらしいが私はそんな自覚がない」
「そういうものですか・・・」
「気になったら5年生の教室にでも来て見ろ、面白いものが見れるぞ」
楽しそうな顔でこっちを見る
「いえ、遠慮しておきます。これ以上登場人物が増えると流石に作者も見ているほうも疲れるので・・・」
ただでさえ登場キャラが多いんだ
もし5年生の教室にいったら新しいキャラが出るだろうから
そんな事になったら見ている方が混乱してしまうだろう
「確かにそうだったな」
納得したかのような返事
やはり初期段階でキャラを出しすぎたな
「ところで天和、お前女はいるのか?」
「…は?…」
急な質問についそっけない返事をしてしまう
これでは俺の印象が悪くなってしまうかもしれん
早く返答しなければ
「いえ、…いませんよ……」
いる、と言いたいが俺はこういう事にはひどく無縁な健全な生徒だ
誰かいい人いないかな~。とついため息をつく
「そうか、そうなのか。なるほどな」
しかし何でこの人はそんな事を俺に聞いてきたのだろう
いくら考えた所でその理由など見つからない
別にそんな話をしていたわけではない
こういう時は考えても始まらないのだから聞くのが一番だよな
「なぜ、そんな話を?」
「いや、私と共に歩いている事で変な誤解を生まないためだ」
「変な誤解?」
「気にするな、お前の場合彼女などはいないんだろ。なら大丈夫だ」
「は、はあ」
なるほど…そう言う事か
たしかに二人きりで下校……
…そうみられるよな…
「まあ、お前が私とそうみられるのが嫌なら私は少し離れた所にいよう」
「い、いえ問題ないです。それに離れたらいざと言うときに対応できないですし」
まあ、そう見られたら結果OKと言う事で
そのまま実際に出来たら
世論に流されて……なんて
ってッチもう家か
邪魔な家だ。消しちまうか…
「私の家はここらへんだ。じゃあな天和」
「さようなら」
そう言ってクラリスさんは角を曲がっていった
…ってことはクラリスさんの家は俺の家の近くと言う事かこれはいい情報をゲットした
去りゆくクラリスさんに手を振りながら俺はそんな事を考えていた
「京介、彼女か?」
「へ?うわぁ」
いきなりの声に驚いて後ろに下がる
そこに立っていたのはラインだ
「彼女じゃないよ。生徒会の役員」
「ふ~ん、そうか。面白みのない」
此奴何を面白がっているんだ
「てかここで何してるんだ?」
俺はふと思った疑問を投げかける
「ん?お前が見えたから呼びに来ただけだ」
「そうかなら家に入るぞ」
そういって家に入る
そこには今日も……
「おかえり」
あの二人がいた
「あれ?風紀委員戦は終わったのにまだいるのか?」
アリスに話しかける
「え?それはまだ広報委員戦があるから……」
こんな質問をした俺だが何故此奴がここに居座るかその理由は分かっている
どーせこいつはラインの事が好きとかそんな理由でいるんだろう
「えーとお前は誰だっけ?」
横でパソコンを広げている少年に向かって一言
「浪川鳴海、名前ぐらい覚えてくれ。俺がここにいる理由はここが住みやすいからだ」
聞いてない事まで教えてくれた
意外と優しいやつなのか
「お疲れ、今日は大変だっただろう。飯食ったらさっさと寝ろ」
ラインめあいかわらずそっけないな
ま俺を心配してくれるのが分かる
「ライン、私も頑張ったわよ」
「そうだなアリスもお疲れさま」
照れて赤くなるアリス
…まったく俺も優しくなったもんだ
この光景を見て心を落ち着かせているなんて
…?なんで包丁を持っているかって?
それはラインを切り刻むために決まっているじゃないか
他人の不幸は蜜の味。正確には他人の幸せは壊してナンボ
…俺の右手が叫ぶ、その手でアイツを壊せと
今の俺ならやれる、やれる気がする
……と理性を失いかけていた
落ち着け俺、殺すならちゃんと後処理まで考えないと……
「天和、そこまでにしておけ」
へ?どういうことだそこまでって…
「さっきから怖いことを呟いて…」
なるほど俺としたことが作戦を口にしてしまっていたようだ
今度からは直さないとな
「まったく京介は……」
アリスが呆れたよう話してくる
「すごいことしたらしいわね」
「すごいこと?」
頭をフル回転するが当てはまるような出来事が……
「風紀委員近衛隊を倒す時に…」
あった……
「ああ、それか…守護霊を使った魔法だな」
「それよ、なんで使ったの?」
「流石に使わなければ勝てない状況だった」
「京介、それでどうだった?」
ラインがいきなり話に入ってくる
こいつはいつもいきなりだ
「どうだったとは?」
「相手の反応だ、相手は無事か?」
「ああ制限がかかっていたようだ」
そしてその時の事を逐一話す
話した後はだんだんと眠くなってきた
晩飯を食ったらさっさと寝よう