【創作論】意外性のあるオチ「皮肉オチ」の作り方
いわゆる「星新一みたいな」オチのある短編小説、憧れるよね。けど、あんな発想どうやれば良いのか分からない。
それで諦めるもの。ショートショートを書けるのは才能ある者だけだ、と。
ボクはね、全て計算でやってます。というわけで、やり方を紹介しょうか。
使う例は以下の自作です。
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「お前には情熱がない!」
部活の先輩に叱られた。
「言われたメニューを淡々と練習するだけ。試合に出れば淡々と勝つだけ」
「はあ」
ひとしきり言うと先輩は帰ってしまう。
すると同級生が
「えっ、あの人説教だけして帰ったのかよ。試合どころか、練習やってる姿すら、しばらく見たことないぞ」
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先に言っておくとボクはオチの技法だけで三十個ほど持ってます。その中でも「どんでん返し」として強めで、割とメジャーなオチ。
「皮肉オチ」を紹介するよ。
まず作例の冒頭での状態、つまり起点とは「情熱家の先輩が、シラケた後輩に説教をしている」ということになる。
普通は情熱家といえばポジティブで、シラケはネガティブな印象があるだろう。
だがこれはミスリード。
皮肉オチとは、同じ状態のままポジティブとネガティブを入れ換える。
これが全てです。
「ポジティブな情熱家が、ネガティブなシラケに説教をしている」
このネガポジを入れ換えると
「ネガティブな情熱家が、ポジティブなシラケに説教をしている」
となります。
この入れ換えたものを、物語の最後に配置する。
はい、これでどんでん返しオチが完成。
後は細部の辻褄を合わせるだけ。
というわけで少し辻褄について考えてみましょう。
ネガティブな情熱家とは何か。口先だけで、手を動かさない奴かな?
ポジティブなシラケとは何か。不言実行で結果を出してる人だろう。
ならば冒頭でミスリードさせている。
ポジティブな情熱家が、ネガティブなシラケに説教をしていると。
けど実はシラケの方は結果を出している。情熱家は口先だけ。なんてどうだろう?
というわけで伏線として先輩に「練習して結果を出してるだけだ」と説教させる。
すると、さぞかし説教している人はもっと凄いのだろうな、とミスリードしてしまう。
けど実は口先だけでした、でオチ。読者の予想を裏切って、意外性が出る。
とまあ、皮肉オチとはこんな技法です。
他の作例なら、こんなのもあります。
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「今日はキャンプ日和だね」
と思ったら雨が降り出した。
「本当にキャンプ日和ね」
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これも「キャンプ日和」のネガティブ・ポジティブを入れ換えている。
こちらの方が「皮肉オチ」の作例としては分かりやすいかな。
ただ皮肉オチで注意して欲しいのは、あくまで同じモチーフに対して、評価や意味のポジティブ・ネガティブを入れ換えるものだということ。
ストーリー展開まで変えてしまうと、御都合主義になってしまう。作者の意見が表に出すぎた、嫌味な小説になってしまう。
またこの皮肉オチは、ロシアのアネクドートでも多用されています。いわゆる風刺。
文学的には古式ゆかしき伝統的な手法だということ。知っておけば他にも応用の利く便利な技法ですよ。
ボクは他にオチの技法を三十個ほど持っていると言ったけど。この皮肉オチを切っ掛けとして、あなたの「オチ方」も探してみるのも楽しいでしょうね。
目指せ、ショートショートの達人。




