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決められたこと

掲載日:2026/04/20

親ガチャ。


この世界では、それがすべてだ。


人は生まれた瞬間に決まる。

職も、立場も、結婚相手も。


変わらない。

変える必要もない。


それが決められたことだからだ。


彼は、完璧だった。


決められた通りに動き、

決められた通りに笑い、

決められた通りに生きていた。


誰よりも正確で、

誰よりも“正しい”。


俺は、それを見ていた。


同じ紙を持っているはずなのに、

俺は、時々ずれる。


少しだけ、遅れる。

少しだけ、違うことを考える。


例えば——


笑うはずの場面で、

一瞬だけ、何も感じなかったことがある。


その瞬間、

頭の奥が強く痛んだ。


思考が押し戻される。


「違う」と、

何かに言われた気がした。


次の瞬間には、

ちゃんと笑っていた。


何もなかったように。


でも、彼は違う。


一度も、ずれない。


間違えない。

迷わない。

考えない。


ただ、正確に生きている。


怖いと思った。


あれは、本当に人間なのか。


ある日、彼が言った。


「すべて、分かっている」


笑いながら。


「でも、それでいい」


その言葉に、

違和感はなかった。


むしろ、自然だった。


それが、この世界の正しさだからだ。


俺は、紙を見た。


そこには書かれている。


「彼を理解するな」


少しだけ、息が止まる。


理解した瞬間、

戻れなくなる気がした。


視線を上げる。


彼は、まだ笑っている。


完璧なまま。


一度も、揺らぐことなく。


俺は、考えるのをやめた。


それが、正しいからだ。


——そう思ったはずなのに、


ほんの少しだけ、


遅れた気がした。

当たり前の中にある違和感は、

本当に間違いなのか。


それとも——

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