変な子
あの子は、いつも変な子だった。
おかしなことをして、みんなの気を引こうとする。
授業中、わざと的外れなことを言ったり、ふざけた行動をしたりする。
でも、前はそんな子じゃなかった。
大人しくて真面目で、先生の言うことをきちんと聞く、いわゆる「いい子」だった。
けれど、周りからいじめられていた。
生まれつき少し頭の回転が遅く、あの子は自分がいじめられていることにも気づいていなかった。
ある日、先生がクラスのみんなに言った。
「誰かを傷つけることはいけません。もし、誰かをいじめている人がいるなら、その子に謝りなさい。」
きっと、無駄な正義感の強い誰かが、先生にいじめのことを報告したのだろう。
いじめっ子たちは、あの子のところへやってきた。
「ごめんね。だから先生には言わないでね。」
そのとき、あの子は初めて、自分がいじめられていたことに気づいた。
周りに適応するため。
人気者になるため。
あの子は、道化を演じることにした。
おちゃらけて、明るくて、バカなふりをする。
みんながあの子を見て笑う。
あの子も一緒に笑う。
道化になってから、あの子は人気者になった。
いじめもなくなり、新しい友達もできた。
毎日が幸せだった。
でも——
それで、本当に良かったのだろうか。
大人になったあの子は、時々思う。
もしかしたら、別の方法もあったのではないかと。
自分の個性を押し殺し、周りに適応すること。
それが、本当の幸せだったのだろうか。




