第8話 条件付きの協力
昼下がり。
葛城家のインターホンが鳴った。
「……来たな」
亮は立ち上がる。
ドアスコープを覗く。
スーツ姿の女性。
ギルドのバッジ。
「葛城亮さん。
探索者ギルドの松岡と申します」
亮は、
小さく息を吐く。
逃げられない。
リビング。
亮、あみ、松岡。
三人がテーブルを囲む。
「単刀直入に伺います」
松岡は言う。
「無名剣士。
あなたですね」
亮は、
答えない。
「否定されますか?」
「……否定しても、
無駄でしょう」
松岡は、
僅かに口角を上げる。
「ええ」
「安心してください」
松岡は続ける。
「強制徴用ではありません」
「ただし」
目が鋭くなる。
「このまま野放しには、
できません」
亮は、
腕を組む。
「条件があります」
「聞きましょう」
「妹の安全を、
最優先にすること」
「俺の正体は、
俺の判断で公開する」
松岡は、
少し考える。
「……上に伝えます」
数時間後。
ギルド本部。
亮は、
桜庭源次と向かい合っていた。
「若いな」
桜庭が言う。
「だが、
映像以上の圧を感じる」
「君は……
勇者か」
「……そうだった」
桜庭は、
静かに頷く。
「条件は受けよう」
「その代わり」
「人類が滅びそうな時は、
手を貸せ」
亮は、
少し考える。
「……分かりました」
契約は、
成立した。
亮は、
ギルド未登録のまま、
“特別協力者”となる。
帰り道。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「もう、
一人じゃないね」
亮は、
小さく笑った。
だが。
その裏で。
最大級ゲートの兆候が、
観測され始めていた。




