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セドリック様は引きこもりたい! ~侯爵家の次男坊は神々の創った仮想世界に夢中です  作者: 長野文三郎


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はじめてのエビダス


「これまで【黎明の神器】は選ばれた人しか使えなかったけど、この【弐式】は誰でも使えるようになっている」

「つまり、私でも使用できるということですね」

「そのとおり。だけど、それは僕がエビダスにログインしているときだけなんだ」

「セドリック様が使っているときしか、私は【黎明の神器】を使えないということですか」


 ミネルバさんの説明によると、エビダスに入るには特別な力が必要とのことだ。

 だが、普通の人々はそれに適合する力がない。

 そこで、僕の力を利用してログインできるように開発されたのがこの【弐式】である。

【弐式】は僕の【黎明の神器】から送られる特殊な魔力供給を受けて、はじめて起動が可能になる。


「というわけで、僕がログインしていないと【弐式】は動かないんだ」

「なるほど」

「ここに赤いランプがついているだろう? 僕がログインするとこれが点灯する。そうなったら使用可能の合図だ。ノエルは【弐式】をかぶってログインを選択するだけでいい。わかったかい?」

「なんとなくは……」


 初めてだから不安なのだろう。

 こういうのは実際にやってみる方が手っ取り早い。


「さっそく試してみよう。僕は先にエビダスで待っているからね。赤いランプが点灯したら【弐式】をかぶるんだよ」


 一足先に僕はログインして、チュートリアルが始まる野原で待機した。


 少し遅れてノエルがログインしてきた。

 不安そうにキョロキョロしていたが、僕の姿を見つけて駆け寄ってくる。


「セドリック様! よかったぁ。いなかったらどうしようと思っていたんですよ」

「ようこそ、エビダスへ。どうだい、感想は?」

「これがエビダス……」


 新鮮な驚きを持って、ノエルは周囲を観察している。


「これが仮想世界だなんてとても信じられません! すごいです」


 感激をあらわにしているノエルの前にミネルバさんが現れた。


「ようこそ、エビダスへ。あなたはノエルさんですね」

「こ、こんにちは。あなたがミネルバさん。セドリック様からお噂はかねがね」

「よろしくお願いします。ノエルさんにはさっそくチュートリアルを受けてもらいましょう」

「チュートリアル?」


 僕はノエルを促す。


「心配しないで、ミネルバさんの指示に従うんだ」


 僕のときとまるっきり同じチュートリアルが始まった。


「セドリック様も同じことをされたのですか?」


 ミネルバさんの胸を揉みながらノエルがジト目で聞いてくる。


「そ、そうだけど、仕方がないだろう? やれって言われたんだから」

「まったく……」


 なんだかんだでノエルのチュートリアル1はすぐに終わり、続いてチュートリアル2になった。


「はぁ、この中からジョブを選ぶのですか……」

「ジョブは後々にかかわるものだから慎重に選ばないと――」

「暗殺者にします!」


 僕の言葉が終わらないうちにノエルはジョブを決めてしまった!?


「お、おい、ノエル……」

「私、ずっと暗殺者になるのが夢だったんですよ」

「そうなの? 誰かを恨んでいるとか?」

「そうじゃなくて、メイド×暗殺者ですよ!」

「はあ……」

「危険な香りの専属メイドなんて、ロマンを感じませんか?」

「まあ……」


 わからなくもないが、少し怖い。


「ククク、セドリック様のお命を狙う輩はこの私が許しませんわ」


 こいつ、キャラが変わっていやがる。

 だが、これはこれで心強いか。

 ジョブを選んだノエルには初期装備のナイフとアサシンの服が支給された。

 黒いフードが特徴的だ。


「なかなか似合っているぞ」

「さようですか? うふふ」


 ノエルはナイフを振りかざしながらポーズを決めている。

 それまで僕らのやり取りを静かに見守っていたミネルバさんが口を開いた。


「続いて、チュートリアル2を体験しますか?」


 チュートリアル2はゴブリン相手の戦闘だったな。

 だけど、ノエルはこれまで戦闘経験なんて一度もないはずだ。


「ミネルバさん、僕がノエルのチュートリアルを助けることはできますか?」

「もちろん、チームプレイはできます。ご安心ください」


 それを聞いて安心した僕はノエルを【試練の入り口】へ案内するのだった。


 ***


 半眠半睡のまどろみの中で手がなにか柔らかいものを掴んでいるのを感じた。


 もにゅ、もにゅ……


 気持ちの良い感触である。

 焼きたての白パンのようであるが、質感はしっとりと吸い付くようでもある。


 もにゅ、もにゅ、もにゅ、もにゅ。


 うん、とめられない。

 ずっと触っていたい気分だ……。


 コリコリコリ。


 なんだか硬いものもついているなあ……。


「い、いけませんよぉ、セドリック様。そんなとこさわっちゃぁ……あん♡」


 よいではないか、よいではないか……。

 ん?


「胸ぇっ!?」


 なにかと思ったら、僕は寝ながらノエルの胸を揉んでいたらしい。

 開いたシャツの襟もとから手をつっこみ、直に触っているではないか。

 まだ半分寝ているノエルの胸元から慌てて自分の手を引っこ抜いた。


「なにがどうなっている……?」


 ちょっと記憶を手繰ってみよう。

 そうだ……。昨晩は二人して限界まで【黎明の神器】で遊んでいたのだったな。

 僕はもう寝ようと言ったのだが、ノエルがどうしてもチュートリアル4を終わらせてからと聞かなかったのだ。

 けっきょく、二人ともフラフラになりながら最後までやりきり、ログアウトした瞬間に寝落ちしてしまったのだった。

 だが、いつまでものんびり寝ているわけにはいかないぞ。

 午後からは宮廷に行って王太子殿下やクォールに【黎明の神器・弐式】を配らなければならない。

 リューネにも来てもらうとしよう。


「おい! 起きろ、ノエル!」


 これから起こることにワクワクしながら、僕はノエルを起こすのだった。



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