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セドリック様は引きこもりたい! ~侯爵家の次男坊は神々の創った仮想世界に夢中です  作者: 長野文三郎


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決着


 ボスのワーウルフは奥の部屋にいるのだろう。

 そのように当たりを付けた僕は、まず城壁にいるゴブリンスナイパーを倒すことにした。

 暗い階段を抜けて屋上に出ると、予想どおりゴブリンたちがたむろしている。

 数は四体。

 全部がここにいるわけじゃないのだな。

 スナイパー相手にグズグズすることはない。

 気づかれていないうちに【ソード・ファング】を一発だけ撃って、僕はゴブリンの群れに飛び込んだ。

【二段切り】、【スワローテイル】と技を駆使して僕はゴブリンスナイパーを倒していく。

 近接戦闘で弓矢はほとんど怖くない。


「ギャッギャッ!」


 騒ぎを聞きつけて残りのゴブリンスナイパーたちがやってきたぞ。


「うわっ!」


 あいつら、味方のことなんてお構いなしに矢を射かけてきた!


「ぐっ!」


 クソ、【ウラレスのバックラー】で防御しきれず一本の矢が僕の腕を貫通している。

 痛くて左腕が上がらない。

 追撃が来たらヤバいぞ。

 連続で【フラッシュ】を使いながら僕はゴブリンスナイパーとの距離を詰めた。

 完全に視力を失われて敵はなす術がない。

 右手一本で【雷鳴剣ブロンテス】を操り、どうにかすべてのゴブリンスナイパーを倒した。


「くっそぉ……」


 猛烈な痛みが左腕に走っているけど、このまま治療するわけにはいかない。

 突き出た矢じりと羽根を剣で切り落とし、貫通した矢を押して腕から抜いた。


「ぐぅぅ……」


 歯を食いしばっても涙が出てくるほど痛い。

 僕、どうしてこんなになるまで頑張っているんだろうな?

 いや、これもみんなと【黎明の神器】を楽しむためだ。

 矢が抜けたのでその場に座り込みなんとか治癒魔法をかけた。


討伐対象

 ゴブリンスナイパー×8(8/8)

 リザードマン兵士×7(3/8)

 ワーウルフ(隊長)(0/1)


 なんとか数だけは減らしたな。

 囲まれてボコられる心配はかなり減ったと思う。

 よし、次は残ったリザードマン兵士たちだ。

 治癒魔法4回で傷は完治したので僕は立ち上がって探索を続けるのだった。



 その後、順調にリザードマン兵士4体を倒した僕だったが、最後に残ったリザードマン兵士は見つけられないでいた。

 嫌な予感がむくむくと頭の中で膨れ上がる。

 ワーウルフとリザードマン兵士は一緒にいるんじゃないだろうな?

 だとすれば厄介だ。

 ワーウルフは強敵だから、できることならサシで渡り合いたい。

 だが、悪い予感ほどよく当たるもので、砦の奥の部屋にいたのは身の丈が2メートルを超えるワーウルフとリザードマン兵士だった。

 しかも、リザードマンの方は盾を装備している。

 狭い通路におびき出して【ソード・ファング】という定石は使えない。

 さて、どうしようか……?


「お!」


 名案を思い付いた僕はそっと通路を引き返した。

 そして各所から油を集めて空っぽになっている傷薬の瓶に詰めていく。

 はっきり言って僕は固定観念にとらわれていた。

 自分の剣や魔法で敵を倒さなければならないと信じ切っていたのだ。

 だが、倒し方なんていろいろあるわけで、それにこだわる必要はない。

 じゅうぶんな油を集めた僕は再びワーウルフたちのところへ戻ってきた。


「くらえっ!」


 二つの薬瓶を投げつけて部屋の中を油で満たした。

 うまい具合に魔物たちにも油がかかっているぞ。

 これなら上手くいくだろう。


「火炎剣!」


 剣からほとばしる火は油に引火して二体の魔物を焼いていく。

 この部屋には砦らしい小さな窓しかないから外へ逃げることは不可能だ。

 入り口には僕がいるから逃走は許さない。

 たとえ火で倒しきれなかったとしても、手負いの魔物に遅れをとることはないはずだ。


「うりゃあ! ソード・ファング!」


 炎に悶えるワーウルフとリザードマンに情け容赦なく追撃を食らわせる。

 今宵、僕は鬼になる!!

 まずリザードマンが倒れ、やがてワーウルフも動かなくなった。


「やったか?」



討伐対象

 ゴブリンスナイパー×8(8/8)

 リザードマン兵士×7 (8/8)

 ワーウルフ(隊長)  (1/1)


「よっしゃあっ!」


 あとは城へ行って、報告を済ませればミッションクリアだ。

 にしても煙いなあ。

 砦が木造じゃなかったから引火しなくてすんだけど、すっかり煙臭くなってしまったぞ。

 こんなところに長居は無用だ。

 くすぶり続ける魔物の骸を背にして、僕は帰還するのだった。


 ***


 ログアウトするとベッドの端に腰かけるノエルの姿があった。


「あれ、部屋に戻ったんじゃなかったの?」

「セドリック様は今夜で決めるとおっしゃっていました。だから、待っていたのです」


 時刻は真夜中過ぎである。

 きっと、僕を信じて待っていてくれたのだろう。

 そう考えるとノエルに対する愛しさがこみあげてきた。


「そっか……。眠くない?」

「お顔をみたら眠気なんて吹っ飛んでしまいました。ご首尾は?」


 ノエルは静かに聞いてくる。


「成功だよ。ほら、これを見てよ」


 空間収納から【黎明の神器・弐式】を取り出してみせた。

 成功報酬で手に入れた五つのうちのひとつである。

【黎明の神器】が青色に対して、【黎明の神器・弐式】は赤色のヘルメットである。


「これが、新しい【黎明の神器】……」

「そういうこと。ただし、この【弐式】には制約がある」

「私には使えないということでしょうか?」

「そんなことはないよ。説明しながら実際に試してみよう」


 僕は手に入れたばかりの【黎明の神器・弐式】をノエルに手渡した。


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