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セドリック様は引きこもりたい! ~侯爵家の次男坊は神々の創った仮想世界に夢中です  作者: 長野文三郎


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目標達成


夜通しかかって三つの依頼を解決した。

だが僕はそこで止まらず、現在は四つ目に取り組んでいる。

突然出現した【スペシャルミッション】である。


【港町コールズの救援に向かえ!】


 港町コールズが巨人の襲撃を受けています。

 至急、救援に向かってください。

 三時間以内に30体の巨人を討伐すること。


 報酬;経験値(大)

    5000レーメン

    ヴィレクト金貨



 港町は町から東へ5キロほど行ったところにある。

 川をボートで下ればすぐだろう。

 走って桟橋に向かうとちょうどいい具合にボートが繋いであり、おじいさんが近くで釣り糸を垂れていた。


「おじいさん、コールズが巨人に襲われているんだ。救援に行きたいんだけどボートに乗せてくれない?」

「いいとも。乗っていきなさい」


 おじいさんはすぐに糸を巻き上げ、船に乗るように手ぶりで示した。

 ボートはすいすいと川を下り、コールズの町がすぐに見えてくる。

 こういった地理はアバンドールと同じである。


「町は危険だから、あまり近づかない方がいいよ」

「…………」


 僕の忠告に耳を貸さず、おじいさんは町の中の桟橋にボートを付けてくれた。


「ありがとう!」

「気を付けていきなさい。これを持っておいき」


 おじいさんがくれたのは黄色い包み紙のポイッチュだ。

 これまでの物とはちょっと違うな。

 だけど、いまはそれを確かめている時間はない。

 僕はポイッチュをポケットにねじ込み、叫び声が上がっている街中へと踊りだした。


 町はひどい有様だった。

 露店はひっくり返され、人々は逃げまどい、火の手が上がっているところさえある。


「巨人だ! みんな逃げろぉおお!」


 人々の奔流ほんりゅうの奥に破壊を楽しむ巨人の姿が見えた。

 身長は3~4メートルくらいで、例外なく一つ目だ。

 どの個体も動物の毛皮で局部を隠しているだけで、まともな防具はつけていない。

 巨人たちの文明は発達していないのだろう。

 ただし、武器は太い金属の棍棒を装備している。

 あの棍棒を燕の剣で受けるのは不可能だ。

 まともに受ければ折れるか曲がってしまうことは必至ひっしである。

 だからといって【スワローテイル】を捨てて鋼の剣を使えば、攻撃スピードが格段に落ちてしまう。

【ウラレスのバックラー】を使って受ければいいとは思うけど、やっぱり不安が残る。

 バックラーは小さく、受け損なえば確実に腕が折れる。

 場合によっては頭蓋骨粉砕だ。

 怖い……。


「キャー!」


 逃げまどう小さな女の子の頭上に巨人の棍棒が伸びようとしていた。

 考える前に僕の体は動いている。


 ガンッ!


 攻撃を【ウラレスのバックラー】で跳ね返された巨人が大きく後ろにのけ反った。


「隙だらけっ!」


 巨人の首筋に狙いを定め【二段切り】で急所を切り裂く。

 巨人は音を立てて地面に沈んだ。


「港の方へ逃げるんだ!」

「うん」


 走り去る女の子をかばうように僕は通路を塞いだ。

 目の前には四体の巨人。

 だが、後戻りはしない。


「悪いけど、僕の成長の糧になってもらうよ」

「ウガァアアアアアアアアア!」

「ふん……」


 雄叫おたけびを上げて迫りくる巨人に対し、僕はあくまでもクールにふるまった。


 ***


 30体の巨人を倒したころになると町は静けさを取り戻していた。

 瓦礫がれきの上に腰かけて息をつく。

 全身のあちらこちらが痛いけど治癒魔法をかける魔力が不足していた。


「きょうも死にかけたなあ……」


 腕や足の骨折は何回やったかわからないほどだ。

 そのたびに治癒魔法をかけ、傷薬を塗り、ポイッチュを腹に詰め込んだ。


「いたた……」


 全身がズキズキ痛むけど治療アイテムは一つも残っていない。

 そういえば、おじいさんがくれたポイッチュがポケットにあったな。

 包み紙をはがすと黄色いラインの入ったポイッチュだった。


「はじめてみるタイプだ……」


 口に入れて噛むと、それはレモン風味のポイッチュだった。

 爽やかな香りが口に広がると全身の痛みが少し軽減された。

 普通のポイッチュよりレモンポイッチュの方が効果はいいようだ。


「ふぅ……」


 痛みにこわばっていた体の力が少し抜ける。

 かつてないほどの激闘だった……。

 折れてしまった燕の剣がその証拠だ。

 バックラーでの防御が間に合わずにこうなってしまったのだ。

 もう使うことはできないだろう。

 戦友との別れは辛いものだが、これも定めか……。


「いままでありがとうな……」


 回復してきた魔力で治療を続け、僕はなんとか街の兵屯所へ行った。


【ミッションコンプリート!】


 長かったぁ!

 でも、予想どおりレベルがあがったぞ。



【ジョブ】魔法剣士    (レベル19→21)

【スキル】二段切り    (レベル10)

     火炎剣     (レベル10)

     霞抜け     (レベル9 次のレベルまで 72/100%)

     スワローテイル (レベル10)

     ソード・ファング(レベル1 次のレベルまで 00/100%)

【魔 法】初級治癒    (レベル10)

     フラッシュ   (レベル1 次のレベルまで 00/100%)

【装 備】鋼の剣、

     革の胸当て、厚手の服、ウラレスのバックラー、鉄板入り革グローブ、

     革のブーツ、旅人のマント、旅人の帽子

     賢者の指輪

【持ち物】解毒薬×2、身体強化薬×7、万能薬、眠気覚まし、花火×10

【所持金】19870レーメン

【ヴィレクト金貨】4枚



 お、新しいスキルと魔法が増えているじゃないか!

 この瞬間がたまらないから【黎明の神器】はやめられない。

 僕はその場でスキルと魔法の確認をするのだった。


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