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セドリック様は引きこもりたい! ~侯爵家の次男坊は神々の創った仮想世界に夢中です  作者: 長野文三郎


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ボーナス?


 エビスタにログインすると、またまたお知らせウィンドウが開いた。


【本日よりログインボーナスが実装されました。アイテムをお受け取りください】


 初回ログインボーナス:創造の石(神級)×10

            創造の石(天級)×20 

            創造の石(地級)×30


「ふ~ん、宝石みたいだなぁ」


 空間収納に入っていた創造の石は魔力的波動を放ちながらキラキラと輝いていた。

 特に神級と天級の石はダイヤモンドやサファイヤのように深い光を放っている。

 天級は10個もあるから、女の子たちにプレゼントしたら喜ばれるかもしれないぞ。


「それはあまりお勧めしませんね」


 僕を止めたのはミネルバさんだった。


「お久しぶりです、ミネルバさん。創造の石をプレゼントするのはダメですか?」

「希少なアイテムを得るチャンスを失ってしまいますよ」

「どういうことでしょう?」

「ご説明しますので広場へ行ってみましょう」


 街の広場へ移動すると掲示板の横に見慣れない機械ができていた。

 台座に乗せられた大理石の箱には大きなレバーが取り付けてある。

 箱には窓がついており、その中では絵の描かれた石板が光っている。

 これは瓶入りポーションの絵だろうか?


「これが新たに実装された【創造のリール】です」

「これはなにをするための装置ですか?」

「説明するより実際に使っていただいた方がわかりやすいと思われます。セドリック様、お手持ちの創造の石(地級)を投入口に10粒入れてください」


 箱の前面にある穴に僕は創造の石を10粒数えて入れた。


「窓が光りだした!」

「これで準備が完了しました。次にレバーを手前に引いてください」


 先端に青い宝玉のついたレバーを持ち、僕は手前に引いていく。

 お、けっこう力がいるな……。


 ガコンッ!


 レバーを最後まで弾き終わったら窓の中の絵が回転を始めたぞ!

 これどうなっているんだ?

 緊張しながら事の成り行きを見守っていると、やがて箱の中の絵がとまった。

 これ、ポイッチュの絵だ……。


【ポイッチュ×10】


 ビーッ!


 けたたましい音が鳴り響き、台座の下の方へなにかが落ちてきた。


「おめでとうございます。10個のポイッチュが当たりましたよ」

「これ、僕がもらっていいんですか?」

「はい、それはセドリック様のものです。このように10個の創造の石で【創造のリール】を一度まわすことができます。残りの石も使ってみましょう。すべて入れてもらってかまいません」


 20個の創造の石(地級)をまとめて投入してリールを回す。


【眠気覚まし】

【花火×10】


 さらに二つのアイテムを手に入れたぞ。

【眠気覚まし】は文字通りの薬だな。

 飲めばたちまち眠気が吹っ飛ぶ薬品だ。

 万年寝不足気味の僕にはありがたいから、ここぞというときに使うとしよう。

 わからないのは【花火】の方だ。

 小さな筒状をしているが、どういう用途でつかうものなのかさっぱりだ。


「ミネルバさん、【花火】とはなんでしょうか?」

「夜に楽しむオモチャですね」


 夜のオモチャ……?


「取り扱いには注意が必要なので大人が扱うべきでしょう」

「おとなのオモチャ?」


 まさか……。


「室内ではなく屋外で楽しむものです」

「屋外……で……?」


 なんとマニアックな……。


「魔力を流して空中に放り投げるときれいな火花が散るのです」


 想像と違っていた!

 あぶなく恥をかいてしまうところだったよ……。

 だけど、おもしろそうだな。

 明日にでもノエルと試してみるか。

 それにしても【創造のリール】はおもしろいな。

 創造の石を集めれば、冒険に役だったり、生活を豊かにしてくれたりするアイテムを提供してくれるわけだ。


「続いて、【創造の石(天級)】を使ってみましょう。やり方は(地級)のときと同じです」

「石が変わると、なにか違うのですか?」

「もたらされるアイテムがずっと高級になります」


 それは楽しみだ!

 僕は20個ある創造の石(天級)をすべて投入口へ入れた。


「うわっ! 【創造のリール】が金色になった!」


 大理石でできていた【創造のリール】がまばゆい黄金製に変化したぞ。


「【創造のリール】は投入される【創造の石】の種類で変化するのです。さあ、レバーを引いてください」


 ガコンッ!


【鉄板入り革グローブ】

【万能薬】


 絵柄が止まったのはこの二種類だった。

 これはいいぞ。

【鉄板入り革グローブ】は装備中の【革のグローブ】より防御力が高そうだ。

 さっそく入れ替えてしまおう。

 また【万能薬】はどのような状態異常も直してくれる優れものの治療薬ということだった。

 これを飲んだらレヴィン殿下の症状は改善されるかな?


「ミネルバさん、知り合いに病人がいるのですが、この【万能薬】は効きますかね?」

「もちろんです。【万能薬】はすべての病気に効力があります。これは(天級)の中でもかなりのレアアイテムです。よく引き当てましたね」


 おお!

 明日に出も殿下のところへ持っていくとしよう。

 ありがたや、ありがたや。

【創造のリール】さまさまだぞ。


「次は【創造の石(神級)】ですね……」


 僕はごくりと唾を飲み込んだ。

 だって、(天級)でさえ【万能薬】なんていうすごいアイテムが出たんだよ。

 つまり(神級)にはもっとすごいアイテムが含まれているということだ。


「あまり緊張しないでくださいね。(神級)にも外れはあるのですから」

「な~んだ」


 かならず当たりがあるというわけではないのか。

 だったら緊張するだけ損というものだ。

 僕は軽い気持ちで【創造の石(神級)】を投入した。

こんどの【創造のリール】は七色に光りだす。


「すごいなあ……。よ~し、引いてみるか」


 レバーを引くと絵柄が回転しだした。


「…………」


 いつもより長く回転していないか?


 ビシッ! ビビビッ!


「うわ、雷光が!」


 青い稲妻がほとばしったぞ。

 こ、壊れた……?


「ご安心ください。これはレアなアイテムが当たる予兆です」

「そうなのか……」


 直視できないほどの眩い光が【創造のリール】から発せられ、僕は腕で目をおおった。


「くっ……」


 しばらくは目を開けられないほどだったけど、光は急速にしぼんでいく。

 そしてアイテムが出てきた。


【ウラレスのバックラー SR】


 大天使ウラレスが装備していたと伝えらえるバックラー。

 受けたとめた衝撃の四分の三を攻撃者に返す。


 すごい装備が出てきたぞ!

 バックラーとは腕に装着する小型の盾のことだけど、これはただの盾ではない。

 僕が受け止めるのは敵の攻撃の四分の一だけ。

 残りはすべて攻撃者に返っていくのだ。

 存在を知らなければかなりびっくりするだろうな。

 特にウォーハンマーみたいな鈍器で攻撃してくる敵には有効だろう。

 四分の三もの衝撃がかえってきたら手が痺れてしまうんじゃないだろうか?


「(神級)ともなると、すごいアイテムが出てくるのですね!」

「その代わり【創造の石(神級)】は滅多に手に入らないのです。特別な依頼や緊急依頼のときに少しずつ集めてください」

「なるほど……」


 いいものがバカスカ出てきたらありがたみがないもんな。

 それこそ、世界のバランスがくるってしまう。


「それでは、引き続きエビダスをお楽しみください」


 静かに微笑んでミネルバさんは消えてしまった。

 よし、新しい装備も手に入ったことだし、今夜も朝まで頑張るぞ!

 僕は掲示板に向き直り、よさそうな依頼を探すのだった。


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初めてのガチャ……それは沼の始まり……
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