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セドリック様は引きこもりたい! ~侯爵家の次男坊は神々の創った仮想世界に夢中です  作者: 長野文三郎


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地道に成長

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 その夜の掲示板には【スペシャルミッション】なるものが出ていた。

 普段より難易度が高い特別な依頼のようだ。

 たまに、このような依頼が張り出されることもあるのだろう。


【オーガに奪われた荷物を取り戻してください。 ガモウ商会 *難易度高め】


 街道でオーガの群れに商隊が襲われ荷物を奪われてしまいました。

 オーガの数は12体。

 かなり強力な魔物です。

 過酷な依頼になることは承知していますが、どうか荷物を奪い返してください。

 いまより二時間以内。


 報酬:経験値(大)

    5000レーメン

    賢者の指輪(魔力回復スピード10%アップ)



 このミッションには時間制限があるのか!

 しかも敵はこれまでの魔物より強力だ。

 だけどこの報酬は魅力的だぞ。

 特に賢者の指輪はどうしても手に入れておきたい。

 それに【身体強化薬】や兄さんが買ってくれた新しい装備の性能も試さないと。

 今夜から、【革の胸当て】、【皮の腕当て】、【皮のグローブ】、といった新装備が増えている。

 相手にとって不足はない。

 よし、さっそく取り掛かろう。


 ***


 予想どおりオーガは強敵だった。

 正直に告白すると二回も死んでしまったくらいだ。

 そのたびにミネルバさんに『情けない』と言われるのは辛かったよ。

 やっぱり無理はいけないね。

 もう少しで倒せると思うと、ついつい引き際の見極めがあまくなってしまうのだ。

 それでもなんとか依頼を解決したぞ。

 今回いちばん活躍したスキルは【スワローテイル】。

 本当にいい技だと思う。

 さすがのオーガもこの攻撃のスピードにはタジタジだった。

 ただ、消費魔力が大きいのが問題だ。

 また、軽い剣を使うので威力が低く、確実に急所を狙う必要がある。

 魔力が尽きたり、【クリティカルヒット】が入らなかったりすると、たちまち囲まれて袋叩きに遭ってしまうのだ。

 ピンチのときは【霞抜け】でいったん離脱して態勢と魔力を整え、再度戦闘するスタイルを編み出して勝てるようになった。

 結果、僕のステータスはこのようになっている。



【ジョブ】魔法剣士   (レベル15)

【スキル】二段切り   (レベル9 次のレベルまで 51/100%)

     火炎剣    (レベル7 次のレベルまで 44/100%)

     霞抜け    (レベル5 次のレベルまで 68/100%)

     スワローテイル(レベル7 次のレベルまで 50/100%)

【魔 法】初級治癒   (レベル8 次のレベルまで 78/100%)

【装 備】燕の剣、鋼の剣、

     革の胸当て、厚手の服、皮の腕当て、皮のグローブ、

     革のブーツ、旅人のマント、旅人の帽子

     賢者の指輪

【持ち物】ポイッチュ×15、傷薬×3、解毒薬×2、身体強化薬×15

【所持金】7369レーメン

【ヴィレクト金貨】3枚



 レベルが15になって肉体の強化をより強く感じられるようになった。

 踏み込みのスピードや攻撃の威力が段違いなのだ。

 いまの僕なら大きな闘技大会に出場してもいい成績を納めるんじゃないかな?

 自分の技を他人に見られるのは嫌だから出場しないけどね。

 こっちは命がかかっているのだ。

 簡単に技を見せてたまるものか。

 ああいうのは仕官したい人や、賞金目当ての人が出るのである。

 本物の武芸者は技を隠すものだぞ。

 僕の場合、そんな大会に出場している暇があるのなら【黎明の神器】で遊んでいたいだけだけどね。

 その方が、新スキルを会得したり、オリジナルスキルを開発したりする可能性は高い。

 はあ、新しい技を覚えたいなあ。

 本当はもう少しレベルを上げたいけど、明日はリューネとデートだ。

 名残を惜しみつつ、僕はログアウトするのだった。


 ***


 朝食へ行く前に僕はリンガールのところへ寄った。

 リンガールならウラル廃鉱山について何か知っているかもしれないからだ。

 だけど、僕の説明を聞いてもリンガールは首をひねるばかりだった。


「ウラルという鉱山は聞いたことがありません」

「アバンドールの南、20キロくらいのところだと思うんだけどなあ」

「南に20キロ……、だとすればケステムの辺りですね。その辺に鉱山跡などありませんよ」

「そうなの?」

「ケステムはバッカランド侯爵領です。あれば必ず知っていますって」


 こちらの世界だと、あの辺は我が家の領地なのか。

 だったらリンガールが知らないはずないな。


「そっか。じゃあ僕の勘違いだね。ごめん、時間を取らせた」

「そんなことはかまいませんが、ケステムがどうかされたのですか?」

「きょう、リューネと遠乗りに行くんだよ。で、古い鉱山があった気がしたんだけど、違ったみたい」


 こちらの世界では存在しないのかもしれない。

 城にあった地下納骨堂だって、こちらの世界では用具置き場だったもんね。

 だけど、確かめてみるまではわからない。

 洞窟なんかがある可能性は大きい。


「リューネ様と遠乗りですか。承知しました。私も護衛にまいりましょう」

「リンガールが来てくれるなら心強いな。よろしく頼むね」


 彼は騎士としても優秀なのでありがたい。

 僕やリューネがつけ狙われることはないと思うけど、王太子殿下のことで政争は激化しているそうだ。

 気を付けておいた方がいいだろう。

 話がすむと僕は食堂へ向かった。


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