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オリジナルスキル

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 夜が白み始めたころになってウラル鉱山跡に到着した。

 ごつごつとした岩山で、周囲に人影はなく、文字の消えかけた看板だけが僕を迎えてくれる。


【ウラル銀鉱山 関係者以外立ち入り禁止】


 へぇ、ここでは銀が採掘されていたのか。

 これまでのことを考えると、この廃鉱山も現実世界に存在するはずだ。

 僕は王都からほとんど出たことがないから、実際はわからないけどね。

 リアルの廃鉱山へ行ったら、またレイマール金貨が見つかるかな?

 お小遣いに困ったらリューネを誘って探検してみるのも悪くない。

 封鎖された入り口をこじ開けて僕は鉱山の中へ入った。


 鉱山の中は真っ暗だった。

 操業していないのだから当然か。

 だけど僕は慌てない。

 こんなこともあろうかと家からランタンを持ってきたのだ。

 ランタンの明かりに奥へ続く坑道が浮かび上がる。

 入り口周辺に魔物はいないようだ。

 僕はコントロールパネルを開いて依頼内容を確認した。


【鍛冶屋のミスノフからの依頼】

【骸骨戦士の装備 0/20】


 おそらくこの数値が20/20になるまで骸骨戦士の装備を集めればいいのだろう。

 眠くなる前にとっとと終わらせてしまうか。


 奥へ進むと最初の骸骨戦士が現れた。

 本当に骨だけの姿で、手には錆の浮いた剣を装備している。

 筋肉がなくてどうやって体を動かしているのだろうか?

 きっと魔力で補っているんだろうなあ。

 骸骨戦士を倒す方法は単純で、骨を砕けば事足りる。

 僕は勢いよく前へ出た。


「二段切り!」


 初撃で骸骨戦士の剣を打ち落とし、次撃で頭蓋骨を粉砕する。

 よし、思ったほどの強敵じゃない。

 これなら依頼をこなせそうだ。

 地面に落ちた骸骨戦士の剣を拾い上げて空間収納にしまった。


【骸骨戦士の装備 1/20】


 この調子でどんどん装備を集めていこう。


 二体目の骸骨戦士は厄介だった。

 剣の他に、なんと盾も装備していたのだ。

 それでもなんとか倒して剣と盾を手に入れた。


【骸骨戦士の装備 4/20】


 盾持ちは強敵だけど、効率はいいな。

 剣は1、盾は2としてカウントされるのか。

 お、またレベルが上がったぞ!


【ジョブ】魔法剣士(レベル8→9)

【スキル】二段切り (レベル5 次のレベルまで  2/100%)

     火炎剣  (レベル3 次のレベルまで 71/100%)

     霞抜け  (レベル1 次のレベルまで  0/100%)

【魔 法】初級治癒 (レベル3 次のレベルまで 14/100%)

【装 備】鋼の剣、厚手の服、革のブーツ、旅人のマント、旅人の帽子

【持ち物】ポイッチュ×10、傷薬×2

【所持金】186レーメン

【ヴィレクト金貨】3枚


 魔法剣士としてのレベルも上がり、パワーやスピードも強化された。

 しかも新しいスキルを覚えたぞ。

【霞抜け】は霞のように姿を消して敵の側面に回る回避技だ。

 使用するには魔力を消費するけど使いどころの多い技だと思う。

 さっそく骸骨戦士相手に使ってみたけど、おもしろいように技が決まるぞ。

 戦うのが楽しくてしょうがない!

 この調子でどんどん行こう!


 夢中になって戦闘をしていると【骸骨戦士の装備】はすぐに集まった。

 よし、集めた【骸骨戦士の装備】をミスノフに渡せば依頼は解決だ。

 さっさと帰るとしよう。



【骸骨戦士の装備】を渡すと髭づらのミスノフはご機嫌だった。


「これでまた仕事ができるぜ。兄ちゃん、ありがとよ。お礼に【ツバクロの剣】を持っていきな!」


 手渡されたのは細身の剣だった。

 刀身は薄く、驚くほど軽い。

 それはもう片手でも扱えるほどである。

 スピードと切ることに特化した剣なのだろう。

 骸骨戦士のような相手には向かないけど、使いどころは多そうだ。


「おもしろいね」


 僕は楽しくなって燕の剣を振り回す。

 これだけ軽いと剣の軌道を途中で変えるのも楽だなあ。

 切り返しも楽にできるぞ。

 ん…………。

【霞抜け】を使いながら軌道変化を同時にやったら、対処できる敵は少ないんじゃないか……?


「ちょっとやってみるか……」


 それはちょっとした思いつきだった。

 技の応用って楽しいもんね。

 だがときに、突飛な発想はピタリとはまるときがある。

 僕はまず、踏み込んで【霞抜け】を使い側面に回った。

 と同時に剣を左上から振り下ろす、と見せかけて軌道変化。

 円運動を利用して右から斬り下げたのだ。

 途中までは頭の中で考えたとおりだった。

 だが、【霞抜け】から攻撃に移ったときに予想外のことが起きた。


「なんだ、いまのは……?」


 突然、燕の剣の刀身が青く輝き、光の尾を引くスピードを出したのだ。

 その速さたるや、普段の僕には出せないほどである。


【オリジナルスキル・スワローテイルを会得えとくしました】

 登録しますか  ▶はい  いいえ


 いや、こんなもん当然『はい』でしょう!

 僕は慎重にコントロールパネルを操作した。

 いい技を編み出したなあ。

【スワローテイル】は攻撃と回避が一体になった技だから、これからメインのスキルになっていくことだろう。

 ただ、デメリットもある。

 スピード重視のスキルだから重い装備では使えないのだ。

 燕の剣ならいいけど、鋼の剣だともう無理だ。

 魔法剣士としてのレベルが上がれば使用可能になると思うけど、それはまだまだ先のことだ。

 また、魔力消費量が多いという点も考慮しなければならない。

 正確な数値はわからないけど、体感だと火炎剣の三倍は魔力が必要になると思う。

 ゆえに多用はできないのである。

 ふぅ、きょうも充実した仮想世界ライフを過ごしたな。

 そろそろ寝るとしようか。

 午後からはメドナ兄さんの護衛をしなければならないからね。

 名残惜しくはあったけど、僕はしぶしぶログアウトするのだった。


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