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廃鉱山へ

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 もし【身体強化薬】が本物なら強敵と対峙したときはおおいに役立つだろう。

 ひょっとしたらエビダスの世界でも使えるかもしれない。

 僕は喜んで羊皮紙の続きを読んだ。

 レシピには素材と加工の仕方が詳しく書かれている。


「あれ?」


 文中に見知った材料を発見して驚いた。


【プルルフ1個・すりおろして使う】


 プルルフって、デイリーミッションで採取した果物じゃないか。

 僕が知らないだけでこちらの世界にもあったんだな。

 お、後ろの方に注意書きがあるぞ。


【*プルルフは絶滅の恐れあり。かつては西の森で収穫できたが近年は滅多に姿を見ない】


 やっぱりそうなのか!

 幸い僕はたくさん持っている。

 必要ならまたとってくることもできるのだ。

 わからないことも多いけど、なんとか作ってみたいな。

 挑戦してみるか……。


「あっ!」


 羊皮紙の最後にある署名を見て僕は驚いた。

 そこにあった名前は【ルミール・ミンダス】だったからだ。

 ルミール夫人と言えば先の国王の愛人、さっき助けたクォール様の母親じゃないか!

 そういえば、ルミール夫人は魔女という噂があったよな。

 しかも、先王が死んですぐ行方不明になっているのだ。

 ひょっとして、あの地下室で殺されたのか……?

 詳しいことはわからないし、この手のことは詮索しない方がいい。

 それが宮廷という伏魔殿ふくまでんで生き延びるコツなのだ。

【身体強化薬の作り方】を空間収納にしまい、気を取り直してエビダスへ行く準備をはじめた。


 トイレ、よし!

 歯磨き、よし!

 着替え、よし!


 これで夜明けまでは向こうの世界だ。

 僕は夢の世界へとログインした。



【デイリーミッション ~害虫駆除~】

 東の森でスキップバグが大量発生しました。

 森を守るためにも駆除をお願いします。

 スキップバグ×10の討伐。


 報酬:経験値、100レーメン



 これは簡単そうだからすぐにやってしまおう。

 依頼掲示板の方はどうかな?


【仕入れを手伝ってくれ! 鍛冶屋のミスノフ】


 素材となる鉄が入ってこなくて困っている。

 そこで依頼だ。

 ウラル鉱山跡の銀は掘り尽くされてしまったが、あそこには骸骨戦士が出没する。

 やつらを倒して装備を持ってきてほしい。

 どんなクズ鉄でも引き取るぞ。

 どうせぜんぶ溶かしちまうからな!


 報酬:経験値、500レーメン、ツバクロの剣



 こちらの依頼はおもしろそうだけど、骸骨戦士は厄介だ。

 はたして僕で勝てるだろうか?

 でも、燕の剣というのが気になるな。

 僕だって剣士の端くれだから、名刀、名剣のたぐいは無視できない。

 よし、まずはデイリーミッションをこなすことにしよう。

 ひょっとしたらレベルが上がるかもしれないからね。

 スキルや魔法だってレベルアップするかもしれない。

 それからミスノフの依頼に取り掛かっても遅くはないだろう。

 そう考えた僕は東の森へ向かった。


 害虫の駆除は簡単だった。

 スキップバグは巨大なノミみたいな魔物だ。

 動きは素早いけどついていけないほどじゃない。

 それに、火炎剣ならかするだけで討伐できる。

 あっという間にミッションは終わった。



【ジョブ】魔法剣士 (レベル8)

【スキル】二段切り (レベル3 次のレベルまで 82/100%)

     火炎剣  (レベル3 次のレベルまで 24/100%)

【魔 法】初級治癒 (レベル2 次のレベルまで 42/100%)

【装 備】鋼の剣、厚手の服、革のブーツ、旅人のマント、旅人の帽子

【持ち物】ポイッチュ×10、傷薬×2

【所持金】686レーメン

【ヴィレクト金貨】3枚


 よし、ジョブと火炎剣がレベルアップしたぞ!

 これなら骸骨戦士とも渡り合えるかもしれないな。

 僕はウラル鉱山跡を目指して出発した。


 ウラル鉱山跡へ向かっているうちに日が暮れてきた。

 エビスタの世界ではリアルのおよそ四倍のスピードで時がすすむ。

 だからといって僕が眠くなったりすることはない。

 ただ、疲労や空腹は覚えるので、休んだり食べたりは必要だ。

 地図で確認すると、ここから鉱山跡までは10キロくらい残っている。

 少し休憩しておくとしよう。


「ノエルがおやつをもたせてくれたんだよね。なんだろうな?」


 ワクワクしながら広げるとイチゴとハチミツを使ったフルーツサンドイッチだった。


「やっぱりノエルは得難いメイドだよ」


 口うるさいところもあるけど、僕にはかけがえのない存在だ。

 手ごろな岩に腰をかけ、サンドイッチを食べながら周囲に目を配る。

 ここに来るまで何回かの戦闘があった。

 街から離れるほど魔物は多くなるので油断はできない。

 それでも、座っているだけで疲労が回復するのはありがたかった。

 本来、戦闘なんて避けるべきものなんだけど、襲撃をくらったおかげでまた少し成長できたぞ。


【ジョブ】魔法剣士 (レベル8)

【スキル】二段切り (レベル4 次のレベルまで 16/100%)

     火炎剣  (レベル3 次のレベルまで 71/100%)

【魔 法】初級治癒 (レベル2 次のレベルまで 78/100%)

【装 備】鋼の剣、厚手の服、革のブーツ、旅人のマント、旅人の帽子

【持ち物】ポイッチュ×10、傷薬×2

【所持金】186レーメン

【ヴィレクト金貨】3枚


 ごらんのとおり【二段切り】がレベルアップしたのだ。

 治療魔法ももう少しでレベル3である。

 エビダスに来てから魔物相手の戦闘がいやじゃなくなってしまったなあ。

 それどころか、早く魔物が出てこないかな? まである。

 やっぱり、死なずにやり直しができるっていうのは大きいよ。

 それとレベル制。

 頑張れば頑張ったぶん必ず報われるからね。

 悲しいけど、現実世界ならそうとは限らない。

 頑張っても報われないことの方が多いくらいだ。


「よし、出発するか!」


 お腹がいっぱいになり、疲れも取れた僕は元気に立ち上がった。


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