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貴方が起きるまでの暇つぶし  作者: 音月 無異
報われない物語
4/4

友達ごっこでした

※この物語(じんせい)には嘔吐表現がございます 

 苦手な方は読むのをお控えください






「あ、あぁ……」


人を殺した

親友だった子

その子を殺した






朝、いつも通り登校をしていた

マフラーを巻いているのにも関わらず、冷気がマフラーの隙間を狙うように首元に突き刺さる

風が冷たい

息をするたびに白くモヤがかかる

これでも、完全防寒具にしているはずなのにだ

もっといいの買った方がいいのかな……

やっぱ朝にランニングして体、温めとけばよかった


改札が外にあるのがだいぶ地獄である

電車が来ると、人が流れるように入っていく

車内は人の熱気と暖房で少し暑いと感じる

今日は確か英語のテストがあったんだよなぁ

どこが出るんだっけ……

電車に揺られながら考え事をする

まぁ、激しく揺れる事もある車内だ、思考に集中することなんて出来ないのだか……


「次は終点 華咲街 華咲街です お乗り換えは〜」


もう終点の様だ

ここら辺の地域の人は人が多い華咲街に集まる

車内は、終点なのにも関わらず人が多い

ドアが開くのと同時に外に出る

改札を出ると、スマホを見たまま誰かを待っている学生がいる

学生はこちらに気づくと、大きく手を降ってきた


「おーい!!おはよー!!」


朝から元気が有り余っている彼女は明るい声で挨拶をしてくる

相変わらず朝から元気だなぁ

その元気分けて欲しい


「おはよー こんなに寒いのに、防寒着ひとつも着てないの凄いね」

「まぁ、ちょっと寒いけど、コートとかしまっとくの面倒なんだよね。だってかさばるじゃん?」

「まぁね」

「あ、てかさ〜今日一時間目から小テストなんだよね〜。だるすぎ〜」

「あれま……数学だったよね?」

「そうなんだよ…一番苦手……」

「まぁ、頑張れ!」

「ちょっとぉ!?ひどくない!?」


他愛もない会話をしながら道を歩く

一人でいる時よりかは寒さは和らいでいく気がする


「そういえば、最近は大丈夫なの?」


いきなり真面目な顔で問いただされる

その話いきなりするかなぁ

なんて、少し複雑な気持ちになる


「まぁ、相変わらず」

「そっか……」


そういい、悲しそうな顔をする

……本当によくできた人格者だと思う

こんな私を心配してくれるのだ

そんな会話をしていると、校門が見えてきた

周りには同じ学校の生徒が校門を目指していた







「じゃあ、また放課後ね」

「またー!」


自分の教室に入っていく

入って先に目に入るのは椅子のない机

教室を見渡してみると、椅子はゴミ箱の近くでゴミだらけにされている

生ゴミではないし、別にいいか

落ち着いた足取りで椅子に向かう

手でゴミを拾って、しっかりと分別をしつつゴミ箱に入れる

バカみたいだよね

こんなことするなんて

椅子を戻して支度を始める

次第に生徒が増えていく

準備をして、他のクラスに行くもの、教室で騒ぐもの

私はもちろん教室にいる

移動する必要なんてない


「おはよ〜!!」

「あ、おはよう」


痛いんだけど……

強く抱き付かないで欲しい


「あ、今日さ、いつものところで遊ぼぉ〜!!」

「……わかった」


そう会話したところでチャイムがなる

先程までのうるさい雰囲気とは違い、教室には静寂が流れる

こういうところって割と全国共通よね

ふと、そんなことを思う

廊下から聞こえてきた独特の足音

それは間違いなく担任のものであった

シュバッと音を立ててドアは開く

ここの教室はなぜか前のドアの建て付けが悪い

ガラガラじゃなくてシュバッ……いい加減修理をしたらいいのに

いきなり開くドアは、おばあちゃん家のなぜか全く開かないタンスを思い出させる

あれ開いた時いきなり開くから怖いんだよね……

教卓に移動する先生をぼーっと見つめる


「起立、礼」

「おはようございます」

「着席」


いつもの流れ、いつもの挨拶

それから今日の変更点とか、重要なところを先生が話す

この朝の時間がどの時間よりも長く感じる

私はこの朝が嫌いだ

先生が立ち去ると教室にはいつもの賑やかさが戻る

四方から聞こえてくるのは、部活トークだの恋愛トークだの、はたまた誰かの悪口

キモイだの、デブなど

口が悪くなるがうるせぇんだよいじめっ子

と、その場で口に出したい気分である

一時間目は理科

最近は計算ばっかでつまらない

重たくなる瞼を辛うじて開け続けるのに必死だ

オームの法則とか、なんかそういうものを今まで習ってきたけど、実際使うことないだろう

恐らくクラスの九割はそう思っていると信じたい

休み時間は一人で過ごしていても短く感じる

たった十分、されど十分、その時間が私は少しだけ好きだ


チャイムは相変わらずで、理科の教師はチャイムと同士に教室に着く

ここまではいつも通りだ

ただ、今日は少し授業の内容が違った

『グループ学習』

いつか経験するだろうとは思っていた自由な人と教えあいをすることが出来


る時間

期末テストを一ヶ月前に控えた今、早く範囲が終わった理科は自習の時間を多くとることにしたそうだ

余計なことすんなよ……

つくづくそう思う


「ねねー!一緒の班になろ〜!」


それをまってましたかと言いたげにクラスメイトは私に近づいてくる

いいよ、と冷たく回答し、仕方なく席をくっつける


「私理科苦手だから、わからないところあったら聞いてもいい?」

「私もお願い!特に物理とか」

「いいよ 私は自分のペースで進めてるから、何かあったら何時でも聞いて」


そう言って勉強をしたかったが、


「えぇ〜ノリ悪いなぁ、一緒に話そうよ!!」


さっきまで話していなかったクラスメイトが話す

いや、本当にめんどくさい

かといって、断るのも機嫌を損ねるんだよな……


「じゃあ、やりながらでもいい?塾にテスト二週間前には範囲を一周復習できるようにしろって言われててさ」


まぁ、半分嘘である


「そう……?わかった で、あのね!最近さ〜」


あぁ……めんどくさい

ちゃんと話を聞かないといけないし、勉強もしないといけない

とにかく、集中ができない


「そうなんだ」


軽く愛想笑いをする

早く授業終わってくれないかな……

それだけが、頭の中をぐるぐる回っている

ちらっと時計を見ても、まだ20分以上残っている

少しくらい話を聞いていなくてもいいんじゃないか?

机に向いて、重要な単語を復習する


「でさ〜 本当に最悪じゃない? ね?」

「……!? そうなんだ 最悪だったね」


ちょうど話を聞いていなかったところで同意を求められた

何が最悪だったのか分からないまま、話を合わせる

それが最善だと判断した

再び、机に向かう

片耳を話に向け、なんとか復習をしようとするが、上手くいかない

明らかにミスが増えている

本来なら簡単に分かる単語ですら、漢字のミスや、意味を間違えてしまう

今日は朝から最悪だ……




昼休み、いつものようにクラスメイトがこっちへやってくる


「一緒にご飯食べよ〜!!」


弁当箱を片手に後ろから抱きついてくる

相変わらず痛い

断ることは出来ない

同意をする他無かった

自分で作った弁当箱を開けると、そればごく普通の弁当

ご飯にある程度のおかず

お弁当の定番食品が詰まっている


「そのからあげめっちゃ美味しそう!! 自分で作ったの?」

「うん 昨日作ったものの余り物だから!少し硬いけど」

「へぇー食べてもいい?」

「いいよ」


クラスメイトは、よくご飯をちょうだいとねだってくる

私の作ったおかずがとても美味しいんだそう

一度そう言われた時から、断らずにいたらこんなことになっていた


「ありがとぉー!!」


もうこれが日課になってしまった


「じゃあ、私委員会の仕事あるから」


そういい、席を立つ

これも嘘

ただ自分を守りたいがために保身に走る

早足で教室を出て、向かった先は休み時間一番生徒数の少ない図書室

ポケットに入れたスマホがブルブルと振動している

見る気も起きない

一生鳴り止まなさそうなほど鳴り続けるスマホ

今すぐにでも投げて壊してしまいたい

ロック画面をみてみると、ここにはおびただしい数のライン通知が見える

増え続ける通知を、その文章を流し見してみる


「……ぅっ、」


突如として、気分が悪くなる

体が、先程まで食べていた物を拒絶している

口を手で抑えたまま、トイレで駆け込む

トイレに駆け込んだ時には、既に胃は限界を迎えていた

鍵を閉めるのと同時に、食堂から何かがせり上がってくる


「げほっ、ぅ…… けほっお"ぇっ 」


個室には、ツンとしたな独特な匂いが漂う

その匂いが、さらに吐き気を誘ってくる

だんだんと汗が出てくる

頭も回らない

……貧血、だろうか

小さな棚に置いたスマホは今も尚通知の知らせをする

やっぱり無理だ

なんか、疲れたな

そう思う頃には、吐き気はすっかり落ち着いていた

ただ、動く気が湧かない

地面が私を離してくれない

けど、今はそれでもいいと思ってしまう

ここから出たくない

ここで眠ってしまいたいだなんて思ってしまう

そんな思いも虚しく、時間は残酷に過ぎていく

キーンコーンカーンコーン

その音が聞こえてしまった

行かないと……

あと、あと二時間

あと二時間耐えればいいんだ

そうすれば、全て終わることが出来る

まだ重たい体を無理やり動かす

少しふらついた体を壁で無理やり支えながら、個室をでる

あと5分で授業が始まってしまう

もういっそのこと、教室なんて行かずに保健室にいってしまおうか……


「っはは」


って、そんなこと許されるわけがないよな

思わずでた乾いた笑い

それは誰にも聞こえることはない

やっとの思いで教室に着いた時には始まる2分前

ドアから席が遠いことを今だけは恨みたいくらいだ

急いで準備をしないと……

そのあとは授業をしてるときも、休み時間も考えていたことは同じだった

今日だけは、放課後が楽しみに感じる





人気の少ない公園にいつもはいたはずだった

だけど、今日はそんなところには行かない

行く意味がない

空がいつもよりも近い場所

地面から遠く離れた場所

人はいない ここにも下にも

人はゴミのようだって声に出して言ってみたかった

とりあえず座って、下を眺める


「なに、やってんの……」


と、後ろから声

振り返ってみると、親友がいた


「あ、やっほ〜」

「こんな高いところいて……下おりよ? あとメッセージなんなのか知りたいし……」

「ん?別に意味は無いよ ここから落ちたらどうなるのかな〜?って思っただけ」


いつもどおりをえんじてみる


「と、飛び降りる……!? 死んじゃうよ やめて……」


泣きそうな顔で見つめてくる親友

……演技かお好きな事で


「……もう疲れたんだよね〜 」

「だめっ! 戻ってきて!! 絶ッ対に死なせない!」


そう言って手を掴んでくる


「やめてっ!!」


思い切り振り切ると、


「っあ えっ」


親友は落ちた

人が落ちる時、スローモーションのように見える

まるで、ドラマやアニメのようだ

必死に手を伸ばしてる

助けを求めるみたいに


「あ、あぁ……」


人を殺した

親友だった子

その子を殺した


「っあっはは ははっ 」


思わず笑いがこみあげてくる

終わった、やっと終わったんだ!!

親友からしたら、私はどう写っただろう

悪役のように写ったのかな?

むしろ、そうだといいなぁ

知ってたよ

あんたが、黒幕だったってこと

友達ごっこ楽しかったかなぁ

いつからだろう、名前を呼ばれなくなったのは

その時から私も名前呼ばなくなった

ずっとずっっっと、

私の事嫌いだったって知ってた

匿名の悪口も、DMも、裏垢のお前だって


ふらふらと歩く

気持ちは高揚してて、どこか軽い

あの頭痛も、吐き気も、もう無くなる

大好きだったご飯も、運動も、遊びも

大嫌いにしたのはあいつら

それも無くなる

なんて嬉しい事だ


「……クソ野郎 一緒に地獄に連れってやる」


思いっきり飛ぶ

風が気持ちいい

やっと、やっと消えれるんだっ!!

最後まで友達ごっこでした

なんだか、過去の情景が見えてくる

これが走馬灯なのか


(バカじゃないの)

(早く死ねよ〜)

殴る音が鮮明に聞こえる

悪魔の顔をしたクラスメイトは、私のことを嘲笑ってる

パッと、脳裏によぎったのは大切なバックチャームが壊れる音

ケラケラ笑うやつらを見て、初めて泣いた日


あぁ、そうだ

全てはこのため

母親の形見を粉々にされたから

けど、復讐の顔じゃなくて、最後だけは笑顔で死んでやる

これで復讐完了


全部終わりだね!!


あ、そういえば

“あれ”壊れないかな?


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