僕は何度でも
僕達は、変みたいだ
何気なく学校に行って、普通の生活を送る
だけど、他の人とは明らかに違うところがある
朝、だんだんと朝起きるのが辛くなっていく時期のこと
完全に開かない目のまま、ふらふらと洗面所に行く
途中で三回ほど眠気に負けかけたが、まぁ大丈夫だろう
倒れなければ問題ないしね
バシャバシャと顔を洗い、歯磨きをする
慣れた手つきでシュシュに手を取り、髪を結ぶ
なんか、髪がだんだん白くなってるんだよね〜
水色のままがいいんだけどな〜
水色に白みがかった髪を揺らしてみる
その様子はまるで雪と氷の結晶のように光る
「よしっ」
と気合を入れた
洗面所を出て、廊下を歩く
もう起きてるのかな……?
「おはよー」
ドアを開けて挨拶をする
「……あ、おはよう!」
リビングにはエプロンを着た赤髪の男性がいる
男性は、少し反応が遅い
あーなんか見えてたな
ちらっとテーブルを見ると、テーブルの上には美味しそうな朝食が並び始めていた
本当に、何が見えているんだろう
たまにひとりで話してるし……
まぁ、気にしない、気にしない
「なぎくん、いつもありがとね〜」
「いいんだよ 俺が好きでやってるだけだからさ。あ、二人を起こしてきてくれない?まだ来てないんだよね」
「はーい」
ちょっとした会話をしてそれぞれの役目に戻る
二人は何をやってるんだろ
一番近いのはうららちゃんだよね
リビングから一番近い黄色のドアプレートがかけられてるドア
軽くノックをして返事を待つ
少し待ったが返事は来ない
うん、相変わらず寝てる!!
ドアをゆっくり開けて中を覗くと、ベットが膨らんでいるのがわかる
暑くないのかな……
「おーい うららちゃーん。朝だよー!」
「んぇ?あさぁ?」
うららちゃんは相変わらず朝が弱いな〜
淡い黄色髪の少女は目をこすりながら起き上がる
うららちゃんのいつもの癖なのだ
ボブの髪が左右に踊るように跳ねている
うららはふらっとベットから出ようとするが、眠気に耐えきれず体が崩れかける
「あぶなっ。ちょっと、うららちゃん?」
「うん……うん、」
あ、これ頭回ってない
ほぼ目が開いていないうららを支えながら洗面所に連れていく
途中で何回も眠気に負けそうになるのが既視感しかないが、なんとか洗面所の前までだどりつくことができた
「私、ゆいとくんのところ行ってくるからね」
「うん、」
本当に大丈夫なのかな……
毎回心配になるんだよね
一回、水かけてからいったほうがいいかな……?
うららちゃんって、別に朝が苦手なわけではないみたいだけど……
むしろ、寝る時拒むというかなんというか?
ふと、うららちゃんのドアの前を通った時に、とても苦しそうだったのを覚えている
「やだやだやだやだ……!!寝たくない、寝たくないっ」
「寝たらまたっ……痛くて、暗くてっ……ぅあぁ、」
寝るのを強く拒んでいた
痛くて、暗くて 傷も何もない綺麗なうららちゃん心の傷は計り知れないだろう
まぁ、人の秘密を勝手に探る気はないし、早くゆいとくんのところにいこっと
洗面所の少し奥、緑色のドアプレートが見えてくる
そこには英語で「ゆいと」と書かれている
すると、ガシャンッと音が聞こえた
「あ……」
今は入ってはいけない
直感でそう感じた
部屋の中から何かがぶつかる音と同時に小さく声が聞こえる
本当は悪いんだけど……何を言っているのか気になってしまった
ゆっくりと、ドアに近寄り聞き耳を立ててみる
「うるさい、うるさいうるさいっ! お願いだから喋るなっ」
「なんで突発的にそんな言葉が吐ける!何もしらねぇくせに、知ったような素振りで!」
「やだっ、学校行きたくない…… 聞きたくなんかないっ!聞きたくなんかっ」
その声は震えていて、誰かに助けを求めているようだ
……ゆいとくんはとても耳がいい
私たちには聴こえない何かが聞こえてしまう
だから、たまにこうなる
「……ゆいとくん?」
試しに声をかけてみる
すると、先程までの声はぴたりと止み、落ち着いた低音の声が返ってきた
「……どうした?ゆき」
「そろそろ朝ごはんだよ!」
「あーそっか すぐ行くな」
「はーい」
ドア越しに会話をする
このドアの裏にいるゆいとくんはどんな顔をしてるんだろう
ふと不思議に思った
みんな、切り替えだけは早いんだよな〜
まぁ、私もだけどね
二人とも呼び終わったし、私はリビングに戻ろっと
「あ、うららちゃん、ちゃんと座ってる」
「ちょっ、なに!?うちがこの時間帯ちゃんと目が開いてるのそんなの珍しい!?」
「珍しいよ」
「珍しい……」
「珍しい以外あるかよ」
今リビングにやってきたゆいと含めて、3人で同時の反応をする
うららはそんなに?と言わんばかりに頭の上にはてなをつけている
たまに本当に起きないんだよね
まぁ、なんとなくなんでなのかは察しがつくんだけど……
すんごくつらそうだもん
ご飯を食べながらポツポツと話をする
そこまでわいわいやることを好む性格じゃないし、私的には楽なんだよね
「今日何時にいくの?」
「俺は生徒会の仕事あるから少し早く出るよ」
「最近多いね〜!うち寂しいよ!」
生徒会ね〜私も中学校時代はやらされてた
食卓に並ぶ食事は少しづつ消えていく
なぎくんの作るご飯は本当に美味しいんだよね
ずっと食べてられる
こう考えると、なぎくんスペック高すぎるような……
まぁ、触れない方がいいんだろうな
あ、そういえば……
「そういえば、任務来てたよ」
その言葉で一瞬だけ食卓が凍りつく
一瞬なぎの顔が歪んだ気がした
私の目は誤魔化せないんだからね
ほんの数秒の沈黙が流れる
が、その沈黙はうららによって破られた
「え、だる」
「んなこと言うな」
あまりの面倒さにうららが愚痴をこぼす
すぐさまゆいとがツッコミを入れるが、実際私もめんどくさい
「で、詳細とかって……?」
いち早く食べ終わったなぎが質問する
ゆきはちらっと時計をみて
「いや、もう時間もないしグループラインに送っとくね」
「わかった。じゃあ、俺は先に行くね!」
「いってらー」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい!!」
「うららちゃん部活決めた?」
「うーん、決めてないんだよね〜! もう入らなくていいかなって!!」
「それは無理だろ」
通学中いつものように会話をしながら学校へ向かう
今日は部活の話
うららちゃんは子として中一で私たちと同じ中高一貫に入学する
部活を絶対に決めないといけない
晴天の空、公園や周囲の家々には綺麗な花が飾られている
目の前の小学校を通りすぎると、チューリップが綺麗に植えられている
チューリップ私も植えたな〜
小学生の時って何故か植えるの朝顔とチューリップなんだよね
あれなんでなんだろ
気がつくと、学校の前についていた
「じゃあ、解散ね〜」
「また昼」
「はーい!!」
中高一貫の学校
まだ慣れないんだよな〜
ついこの間まで中学生だったから、まだ高校の校舎慣れないんだよね
高校の教室は中学の教室よりも少し広い
人数も増えたから、私は苦手なんだよね
人が多いの怖いから好きじゃないんだよ
学校の授業はなんだかいつも以上に集中できない
なんだか胸騒ぎがする……
窓を見ようにもここは教室の真ん前の一番前
まぁ、ハズレ席ってやつ
他の3人は大丈夫かな……
何か言われてないといいけど
早く夜にならないかな〜
「じゃあいってくるね」
「いってらっしゃーい!!」
「ゆき早く行くぞ」
夜、もう外には誰もいないに等しい時間
夜の世界には似合わない学生が二人外を出た
「それで、今日は二人だったよな」
「うん いい感じに路地裏に誘い込む」
路地裏を歩きながら今日の任務の話をする
路地裏を抜けた先には、大きな公園がある
ブランコには二人組に男性がお酒に酔った状態でへらへらと大声で話している
うるさいなぁ……
ゆいとくんいるんだからそんなに騒ぐなよ……
男性はこちらに気づいたようでふらふらと近づいてきた
「何見てんだよぉ……なんか文句あんのかぁ?」
「いや文句しかねぇよ」
「あぁ!? いい度胸してんじゃねぇか。お前まだ学生だろぉ?大人の怖さ教えてやるよっ!」
そういい、男性は拳を振り上げる
こう言う人たちって怒りに沸点本当に低いんだよね
勝ち誇った気で男性はゆいとを殴ろうとするが
……気づいてんだよ、後ろ
ゆきは何処からか折りたたみナイフを取り出した
そして、後ろ側を見ずに刺す
人が倒れる音と血の匂いがする
目の前ではゆいとがあっさりと男性の攻撃を交わし、拘束をしている
男は、暴れ拘束から逃げようとしたが、ゆいとに後ろから蹴られて静かになった
その間も、ゆきたちにむかって言葉にするのも惜しいほどの罵声を浴びせる
ゆきは、男から間隔をしっかり開けるように近づきながら言う
「へぇ、そんなこと言うんだ……詐欺」
すると、男が一瞬だけ顔を歪ませた
私の目は誤魔化せない
そこに、ゆいとが追い打ちをかけるようにして
「詐欺に殺人……お前らの悪行は全てしてるんだ」
と吐き捨てる
それでも男は折れずに反論をする
「は、はぁ!?何勝手なこと言ってんだよガキが!そ、それに、犯罪者はそっちも一緒だろうが!この人殺し!」
人殺し、ねぇ……
確かに私たちは人殺しだ
けど、自分たちの意思で殺ったことはない
殺しの感覚なんて慣れたらいけない
ゆきは、一歩一歩男に近づきながら静かに言う
「これから私はお前を殺す。けど、殺すことには理由がある」
「一つ目はお前が罪を犯してしまったから」
「二つ目は殺すようにと命令されてしまったから」
「三つ目は……」
ゆきは一呼吸してから不敵な笑みを見せながら言った
「……僕たちが、“人であって人ではないから”。……さようなら」
そういいゆきはナイフを男に突き立てた
その目はどことなく不気味で生気がない
静かに血が垂れていく
ゆいとが男を静かに離すと、崩れるように倒れた
まぁ、最初から最後までクズなやつだ
きっと私たちが殺さなくても、恨みで誰かに殺されてた
ゆきはナイフをしまい、ポケットに入れる
……けど、それでも、嫌なものは嫌だなぁ
こんな思いするのは僕たちだけでいんだよ
「……帰ろっか」
「……だな」
帰ろうとした矢先、電話が鳴った
え、こんな時間に誰からだろう……
スマホを見てみると、連絡先は……なぎくん!?
急いで出てみると
「なぎくんどうした……」
「助けてくれっ!」
「ちょっどういうこと!?」
「……変な人がっ来て!このままじゃっころ……」
そこで電話が途切れた
嘘っ!!
なんで、なんで……!!
こんなこと今まで無かったっ
「……急がないとっ」
「お、おい!何があったんだ!」
「急がないとっ!ゆいと早く帰らないと!!」
無我夢中で走る
急がないとっ!
早くしないと……早くしないとまたっ
近道を抜けて、信号なんて無視する
途中で、事故で渋滞してる
これじゃあ間に合わない……!
少し立ち止まってジャンプする
そのまま、車を飛び越えて走り出す
警察が待ちなさいと騒いでいる
けど、そんなこと関係ない
ありとあらゆる力を使い、家に行くことだけを考える
人間とか、そうじゃないとか関係ない
ゆきの目は知らずうちに泣いていた
その目はいつもの青と黄色の二色の目ではなく、黒く、濁った目をしていた
「なぎくん!うららちゃん!!」
「二人とも!!」
「ぇ、あ…………」
ドアを開けた瞬間鉄の匂いが鼻を刺す
リビングの隙間から、手が見える
血の滴る音、反応がない
……間に合わ、なかった……?
「……いかないと」
ゆいとを置いて、ゆきはもう一度走り出す
やり直さないと、やり直さないと、やり直さないと、やり直さないとっ!!
ヤリナオサナイト……
ビルの屋上、ふらふらと端に立つ
そして、おちてみた
周りがスローモーションのように遅くなる
あぁ、あと何回、あと何回やれば
気味の悪い何かも
気味の悪い夢も
気味の悪い言葉も
僕の、僕たちの悲劇は終わるのだろう
「終わるまで、僕は何度でもやる」
最後見えたゆきは
黒く塗り潰された目と、完全に白くなった髪をしていた
そして、静かに目を閉じた
僕たちはおかしい
けど、一番おかしいのは“この僕だ”
目を開けると、白くて狭くて暗い、僕の大嫌いな部屋に居た
あと何回かな
ヤリナオセルノ
ドアが開く 大人が一人の子どもを連れてきた
「新しいルームメイトだ 五感のところからきた」
あれ?
何か違う……
「……よろしく」
「よろしく!あたらしいルームメイトさん!」
笑顔でまた言う
今度こそは救うんだ




