表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

【0】愚者(プロローグ)

【愚者キーワード】

正位置のキーワード

自由/楽観/軽さ/単独/未知/可能性

逆位置のキーワード

翻弄/放浪/無責任/無計画/孤独/決まらない

イメージカラー:黄、白

その店には何かを見失った人がたどり着くという。

たどり着いたら必ず幸せになる訳では無い。

最終的に選ぶのは本人だから。


✻ ✻ ✻ ✻ ✻


朝露に濡れた半夏生の白い葉が風に揺れる。

明け方のぼんやりとした空気の中に淋しそうな蝉の鳴く声が響いていた。


街道から少し離れて人の目につきにくい開けた土地に少女は腕組みして立っていた。


「ねぇ…アンズ。住処を構えるならもう少し慎重になるべきだヨ。」

ふわり、白いサンショウオに似た生き物が少女の周りをくるくると浮遊する。


「駄目ならまた新しい場所に移動すればいいのよ。」

目の覚めるような黄色のローブを纏った少女は古い革表紙の本を肩掛け鞄から取り出した。

別な土地で魔法使いてして暮らしていたが飽きて引っ越しを決めたのは二日前。

ニィと笑って開けた土地に向けて本を開き掲げる。

スゥ…と大きく息を吸う。


「さぁ、物語を始めましょう。」

アンズの声に反応するようにクスクスと精霊の笑い声が拡がり周囲が淡く輝く。


風が周囲の木々を揺らし白い花弁が舞う。

『ぽん』と本を閉じると先ほどまで何もなかった土地に小さな小屋が現れた。

えっへん!と反り返るとどう考えてもサイズがおかしい木片を鞄から取り出した。


「悩み事解決します。」

上手とは言えない文字が書かれた木片…看板のつもりらしい物を入り口の隣に立てかけた。


「後は人避け飾りを…」

ニワトコの枝を黄色のリボンを使ってリース状に編んだものを扉にかけた。

人避けと言っても招かざる客避けで本当に助けが必要な人はたどり着くようになっている。

思いっきりで決めた割には完璧だ!

扉を開けると久しぶりの我が家の空気を胸一杯吸い込んだ。


さあ、新しい土地での生活が始まる。


カラン…と扉が開く音がした。


「悩み事はなんですか?」

アンズ(Anz)

あ〜んとA〜Zの両方の音を併せ持つ愚者のカードの象徴。


レレ

白いサンショウオに似た魔法生物。

一般的に愚者には忠誠的な白い犬が描かれるが小言が多い我儘ボディのサンショウオをあえて強行す。


次回【1】魔術師

精霊や魔力を錬金するように何かを成す魔法使いと違い魔術師は術式を使う人達。

現代で言うプログラマーな糸目のワンさんがお困りのようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ