表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球へ愛のハーモニー  作者: 宮守 美妃
7/47

季節外れの……

 愛音と大知が覚醒して数カ月後。じっとりとした熱気が肌にまとわりつく不快感を感じる夏。セミが合唱している。


 愛音が学校へ行くと、奏太は休みだった。


 学校から帰り奏太の様子を見に行くと、母親が姿を見せた。身長がモデルのように高く、奏太に似た大きなパッチリ二重が特徴の美人な母親だ。


「こんにちは、あの、奏太君は?」


「愛音ちゃん、ありがとう。奏太ね……インフルエンザなのよ」


「……え? 季節外れの?」


「そう。だから、お見舞いはごめんなさいね」


「いいえ。分かりました」


「良くなったら来てあげてね。喜ぶから」

 と、愛音に優しい瞳を向けた。


 うなされている奏太の夢の中にも地底人の男性が現れた。


「おお……今度は君か」


「え? 誰ですか?」

 奏太は突然の出来事に思わず警戒する。


「そう警戒せずとも良い。君も忘れているからな」


地底人の老人が宙にスクリーンを映し出し、奏太へ見せる。その映像は奏太の頭の中へ流れ込んで行く。


「そうか……あなたは先生ですね。お久しぶりです」


「ああ、久しぶりじゃな」


「俺……いや。俺達は志願して産まれてきた。愛音や大知さんも」


「そうじゃ」


「ピーターやウルリーカ達はどうしてるだろう?」


「彼らはまだじゃ。しかし、直に目覚めよう」


 記憶を思い出したことで覚醒し、体の中からエネルギーが湧いてくる。


「俺……そうか! 俺はピアノで敵を攻撃するのか……」

 

「全て、思い出せたようじゃな」


「はい! 先生、ありがとうございます!」


「久しぶりに会えて嬉しかった。頑張るのじゃよ」

 先生は奏太に向かって笑顔を向け、姿を消した。


 奏太は目を覚ますと母親が様子を見に来た。控えめにドアをノックする音が聞こえ、中へ入ってくる。


「奏太? 目を覚ましたのね?」


「……うん」


「何か食べれそう?」


「水飲みたい。あと……アイス食べたい」

 熱があり、真夏にインフルエンザ。暑すぎる。眉上まである前髪が汗でべっとりと額にくっついている。体中が痛い。


「分かったわ」


 ふと目覚まし時計を見ると、夜6時半だった。スマホに目を移すと点滅している。ライモのメッセージが来ていた。


『奏ちゃん。インフルエンザだって? 大丈夫? ゆっくり寝てしっかり休んでね!』


 奏太は熱でぼんやりする頭で返信する。


『愛音。ありがとう』


『起きたの? 起きてるの? 心配!』


『たまたま起きたんだよ』


『そっか』


『今、アイス食べる所なんだ』


『食べられるもの食べた方が良いからね』


『うん。愛音』


『何?』


『治ったら話したいことがある』


『話したいこと? 分かった。待ってるね!』

 了解と愛音からスタンプが送られる。


『おやすみ』

 奏太ももう一眠りしようと愛音にスタンプを送った。


 母親が持ってきてくれたアイスを食べ終えた奏太は、薬を飲み眠りについた。


 2日して熱も下がり、奏太は少しだけ……とピアノを弾く。すると、ライモにメッセージが届いた。


『奏ちゃん! ピアノなんて弾いて平気なの?』


『熱も下がったし大丈夫』


『大人しく寝てなさい!』


『大丈夫だよ』


『ぶり返しても知らないよ?』


『そんなに心配しなくても……』


『心配するよ!』


『なんで?』


『だって……そんなの……』


『そんなの?』


『とにかく、ちゃんと治してよね!』


『愛音……ありがとう』

 奏太は愛音にありがとうのスタンプを送った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ