いつか……
「皆さん、ちょっと良いですか?」
「何?」
「どうしたの?」
「僕とソフィアから皆さんに挨拶があります」
「あら? そう?」
2人は皆の前へ出ると話し始めた。
「パパ、ママ、私達の勝手を許してくれてありがとう」
「僕達はまだ未熟だけど、2人で力を合わせて頑張るから、だから、見守っていてください」
「ロナルド……立派になったわね」
ロナルドの母は涙ぐみ、ソフィアの父は号泣していた。和やかな時間はあっという間に進み、ロナルドの両親とロナルドは近くのホテルに泊まった。
「明日帰るんでしょ?」
ソフィアはロナルドに名残惜しそうに尋ねる。
「うん……帰る前に寄るよ。良いよね? パパ、ママ」
「ええ、良いわよ」
翌日の朝。ロナルドと両親は再びソフィアの家へ来て、一緒に朝食を取った。
「次に会えるのはいつかな?」
「今度の冬にはきっとアメリカに行くわ」
切ない瞳を揺らしながらソフィアはロナルドの手に優しく触れた。
「待ってるよ」
2人はお互いの身体を引き寄せて、きつく抱きしめ合った。
☆ ☆ ☆
愛音と奏太は全てが終わり、見晴らしの良い公園へ来ていた。柔らかな日差しを受けながら心地よい風に吹かれている。
「良かったね。全て終わって」
「そうだね」
「これから、どうする?」
「うん……これからかぁ……」
「私はねフーチューブで配信し続けようと思う」
「うん、俺も。プロのピアニストを目指しはするけど、フーチューブでも活動を続けようと思うんだ」
「うん」
「いつかさ……俺がプロのピアニストになって暮らせるようになったら、結婚しよう」
奏太は、愛音の瞳をしっかり見つめて言った。
「奏ちゃん……ありがとう、嬉しい。でもね、私も仕事頑張るから、だから1人で頑張らないでね」
愛音は奏太の顔を覗き込むようにして笑う。
「愛音……」
2人は見つめ合うとお互いに瞳を閉じ誓いの口付けを交わした。
地球を狙っていた闇の存在は、愛音達の温情により命を救われた恩を感じ、地球から手を引いた。
こうして、地球に平和が戻り記憶の病は全世界から消えて行った。
愛音達が高校を出て、奏太は音大へ進学し、愛音は歌手を目差しボーカルスクールへ行くことになる。それぞれの道を歩み始め、お互いの夢と結婚を励みにそれぞれ頑張ろうと2人は誓い合った。
いつか叶う日を夢見て……。
最終話までありがとうございました。




