祝福
ロナルドとソフィアはその頃、2人でガーデンで過ごしていた。カフェでお茶をしたあとからずっとだ。
2人でゆっくり歩きながら花を愛でたり草木を眺めたりしている。時折、小鳥達がさえずり清々しい空気が辺りを包みこんでいた。
「ソフィア」
「何?」
ロナルドはソフィアの目の前に手を差し出す。ソフィアはその手を取り、2人はしっかりと互いの手を握りしめた。
「温かいな……」
「本当ね……」
お互いの手がぬくもりとときめきを感じる。
「ソフィア、戻ったら大変だけど……絶対に勝とうな!」
「ええ、もちろん」
2人は見つめ合い互いの瞳をしっかりととらえた。2人の顔は少しずつ近付き、今にも唇が重なりそうになったその時。
「ソフィアさーん! ロナルドさーん!」
離れた場所から凛との声が聞こえた。驚いた2人は体を離し、声の方に顔を向けた。
「凛?」
「いたいた! 皆待ってるよ!」
凛に見えていたのかいないのか、特に気にする様子もなく声をかけて来た。
「そろそろ帰ろうって言ってるよ!」
「今行くよ!」
ロナルドが返事をして、ソフィアと共に行く。
「ソフィア、そこ段差あるから気を付けて」
「ありがとう……」
王子様のように手を差し伸べエスコートをするロナルドと、その手に手を重ね頰を染めるソフィアの表情を見た凛は見逃さなった。
「あれ? 何か2人……雰囲気違わない?」
「え? そっ、そうかな?」
ソフィアは動揺しているようだ。
「……僕達、恋人同士になったんだ」
「え? そうなの? おめでとう!」
「ありがとう」
お礼を言おうとしたら、2人の声は重なってしまった。
皆の所へ行くと凛が2人のことを皆に伝え、皆は祝福した。
「良かったね。ソフィアにロナルド。おめでとう!」
愛音はソフィアの手を握り嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「2人が想い合ってたなんて、気づかなかった……」
「お兄ちゃん……大丈夫だよ。お兄ちゃんはそれで」
ショックを受けている大知を凛は慰める。
「凛? それ慰めてるの?」
「そうだよ、お姉ちゃん」
「慰めになってないよ?」
「お兄ちゃん、ごめんね。お兄ちゃん鈍いからしょうがないと思って」
「……何はともあれ、2人共おめでとう!」
先生は2人に向かって温かい笑みを浮かべる。
「ありがとうございます、先生」
「さて、もう日も暮れてきた。帰ろう」




