地底世界
昨日の更新予約が抜けてしまった為、本日2話更新です。読みに来てくださりありがとうございます。
愛音達は地底世界に来ていた。驚いたことに地底世界には太陽のような光があり、地上をそっくりそのまま映したような世界だった。
愛音達が瞬間移動したのは、深い森林の中だった。日差しがたっぷり差し込み、とても明るく鳥のさえずりが聞こえてくる。
「皆。久しぶりじゃな」
「先生!」
「お久しぶりです! 先生!」
皆がそれぞれに挨拶を交わす。
「ここが地底世界なんですね……」
愛音は空を見上げながら柔らかな風を感じていた。
「そうじゃよ」
「地上と変わらないのね」
「地底って言うくらいだから、真っ暗な洞窟みたいなのを想像していたよ」
ロナルドがソフィアの発言に相槌を打つ。
「そうなんじゃよ。地底世界は地上と瓜二つなんじゃ」
少し愉快そうに皆の方を見て先生は話す。
「今日君達も実感したと思うが、闇の存在のリーダーはとても強い。今の君達では大変なんじゃよ。君達は思っているより体力や特殊能力を消費している。ここで、しばらく休んで行くと良い」
先生はくるりと体の向きを変えると、前へ進み始める。
「わしの住処へ行こう。ここに住む者は皆精神性が高い者ばかりじゃから、好意的に君たちを迎え入れてくれるじゃろう。安心すると良い」
時おり後ろを振り返りながら、先生は歩き続け話し続けていた。
しばらく歩き続けると、中世ヨーロッパに出てきそうな城が姿を現した。
「城?」
「左様じゃ」
「なんか、突然城って……」
大知と奏太は口をあんぐりと開けている。
「わしの好みじゃ」
先生は和装なのに、城住まい。何ともミスマッチである。
「素敵ですね!」
愛音とソフィアは瞳をキラキラと輝かせている。
「好みね……先生、ロマンチスト?」
凛が先生に問いかける。
「そうかもしれんな」
先生は意味ありげに微笑んだ。
城の中へ入ると落ち着いた濃紺の絨毯が敷かれていた。
「土足で良いんですか?」
愛音が先生に聞くと先生はうなずいた。
「大丈夫じゃよ。まぁ、汚れたとしても魔法で綺麗にできるしの」
「なるほど……」
城の中を歩き、大広間へ入る。
「城の中は自由に歩き回って良い。自由に楽しく過ごしてくれ。ああ……それから、ここは電気はないから皆のスマホは使えんのじゃ」
「電気がない?」
大知はやや不満そうだ。
「不便だね」
愛音も相づちをうつ。
「たまにはスマホから離れるのも良いかな?」
奏太は特に気にしていないようだ。
「スマホが使えないなら何をする?」
「そうね……せっかくこの世界に来たんだから、この世界を楽しまない?」
ソフィアは皆にそう言うと、皆はそれぞれに反応した。
「うん、そうだね。滅多に来られないんだから、満喫しないとね」
「うん、どこへ行こうかな?」
凛と愛音は楽しそうに話している。
「明日、街へ行こうよ」
ロナルドが皆に声をかける。
「そうだね。皆で行こう」
「だな」
気付くと地底世界の夕日が傾いてきていた。城の中に夕日が差し込んで来ている。
「皆、疲れたじゃろう。お風呂に入り、食事を食べてくれ」
「ありがとうございます!」