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地球へ愛のハーモニー  作者: 宮守 美妃
28/47

発見

 愛音と奏太は2人でこっそり地下へ向かった。監視されているため、適当な言い訳を考えなければいけない。


「友達が捕まったんです。会わせてください!」


「駄目です」


 氷のように冷え切った瞳を愛音と奏太に向けて、スタッフは冷たく言い放つ。


(友達っていうのは嘘だけど)


 どうにかして地下を見たい2人は上の階へ戻るふりをして歩き回っていた所、偶然ドアが少し開いていた部屋を見てしまった。


「奏ちゃん!」


 ヒソヒソ声で愛音は奏太に囁く。

「何?」


「見て、この部屋」


「あ」


 2人は部屋の中にある大量の小箱に目を奪われた。部屋には指輪ケース程の小箱が積み上げられている。


「何かな? あれ」


「うーん……きっと見つけたらヤバいやつ?」


「そうだよね。こんな地下に沢山置いてあるんだもん」


「にしても、不用心だよね」


「何が入っているのかな?」


 愛音が部屋へ入ろうとドアを更に開けると、小箱がカタカタと振動し始めた。


「え? 何?」


『助けて……出して……』


 思わず愛音はドアを閉めた。


「聞こえた? 奏ちゃん?」


「うん」


「今の……何?」


「とにかく、相当やばいのは分かった。行こう、愛音。見つからないうちに」


「そうだね」



 愛音と奏太は上の階へ戻ると、ソフィアとロナルド、大知に小箱のことを伝えた。


「めちゃくちゃ怪しいじゃん」

 大知が鼻息を荒くする。


「だよね」


「小箱……何が入っているのかな? 愛音はどう思う?」


 ソフィアに聞かれ、愛音は考え込む。


「そうだね……闇の存在が隠したい物。都合が悪い物……」


「奪われた記憶だったりして?」

 奏太が小声で囁く。


「え?」


「薬を飲むと悪化する、ワクチンもそう。闇の存在が作り出した物だから……」


「まぁ、確かに何で記憶を抜き取るんだと思ってはいたよ」

 大知が真剣な眼差しをする。


「だよね。抜かれた記憶をどうするつもりなんだ?」

 ロナルドが宙を見つめながら考えている。


「記憶がなくなり自分が誰かさえ分からない。そんな状態の人間は抜け殻のようなもなのだからな。操りやすくもなるよ」


 大知は苦虫を噛み潰したような顔で拳を握りしめた。


「私、歌ってみる」


「愛音……」


「ほら、皆楽器取られちゃったでしょ? 私には歌があるし、やれるのは私しかいないから」


「ごめんな、愛音。1人で危険な目に合わせて」

 奏太は愛音の手を優しく握った。


「愛音のことはオレ達で守ろう」


 大知が皆に言うとソフィアとロナルドは頷いた。


 愛音達は沢山の人が集まる場所へ移動した。そして、歌い始めると楽器の時と同じように弱い闇の存在は消えて行った。不快そうな顔をしたスタッフには、ある程度強い闇の存在が憑いていた。


「そんなことをしても無駄です」


 スタッフは突然愛音に向かい手の平を向けると、闇の魔法をかけた。一瞬の出来事に誰も動けなかった。


「……っ」


 愛音は歌声を奪われてしまった。

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