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地球へ愛のハーモニー  作者: 宮守 美妃
21/47

兄弟でお出かけのはず……

 あれはまだ愛音がまだ奏太への気持ちに気づく前のこと。日曜日、3人で出かけようという話になった。


「どこに行く?」


「皆で遊園地行かない?」

 愛音が提案すると2人は“良いよ”と返事をした。


 遊園地は親子連れやカップルで賑わっている。皆で色々な乗り物に乗っていると、女の子の声が聞こえてきた。


「奏太! 次、あれ乗ろうよ!」


「え……うん、良いよ」


 声のした方を振り向くと、奏太が見たことない女の子と一緒にいた。


(え? 奏ちゃん?)


「あ、奏太!」

 愛音が声をかけられずにいると、気付いた大知が声をかけた。奏太が大知の声の方を見ると、愛音の姿が視線に映り銅像のように固まった。


「え? 愛音」


「奏ちゃん……」


「あ、これは違うんだ。この子はいとこで……」


「そうなんだ。別に関係ないし」


「愛音……」


 悲しげな瞳を揺らす奏太に愛音の心が痛む。


「奏太! 誰? その子達」

 すっと奏太の腕に少女は腕を絡める。


(え? 何か嫌……)


「せっかくだからさ、皆で周らない?」

 大知は何故かそんなことを言う。


(え? お兄ちゃん?)


「良いよ」


「ちょっと! 奏太!」


 少女は明らかに不機嫌になった。


愛音は奏太といとこの少女が気になりぼんやりしていていた。凛と大知は2人で乗り物に乗っている。そこへ知らない男性が近付いてきた。


「君さ、1人?」


「え?」


 茶髪にピアスを大量に付けたチャラそうな男性が、愛音に声をかけた。


「いえ、1人じゃありません」


「一緒に遊ばない?」


「……困ります」


「良いじゃん。その友達も一緒にさ……」


「愛音!」


 普段大きな声なんて滅多に出さない奏太が、離れた所から叫んだ。周りの人が奏太を見るが、奏太は愛音しか見えていない。


「奏ちゃん!」


 奏太は軽やかに走って来ると、男性の前に立ち塞がった。


「何だよ。彼氏連れかよ」


 チッと舌打ちをして彼は引き下がった。


(良かった……)


「愛音。大丈夫?」


 奏太は愛音のことを見つめると、心配そうにまつ毛を揺らした。


「大丈夫だよ。ありがとう、助けてくれて」


「ううん」


「愛音、行こう」


 奏太は愛音の手を引くと歩き出す。


「どこへ?」


「お化け屋敷」


「えぇ? 怖いから良いよ。ねぇ、あの子は?」


「……トイレ」


「え? 良いの? ほっといて」


「良いよ」


「でも……」


「愛音。……黙って」


「え? 奏ちゃん?」


 かすかに低い奏太の声色に愛音は震えた。


(怒らせたかな?)


 2人でお化け屋敷へ入ると、薄暗く不気味な雰囲気が漂う。歩いていると突然ひんやりとした何かが愛音の頬に触れた。


「きゃっ!」

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