志願者
ある程度の志願者が集まり、進行役の女性は話し始めた。
「地球へ志願する方はこれから地球セミナーを受けてもらいます! 地球の生活や地球人類について学んでもらいます! それでは、講師の先生をお呼びします。地球内部の地底世界に住む、地底人のヤコブ・セーデルホルム先生です!」
進行役の女性の声が響き渡ると、部屋の扉が開き大柄な老人が入ってきた。2メートル位ありそうだ。白髪を肩まで伸ばし、1つにくくり、茶色の着物を着ている。志願者はアンナ達を含め10人ほど。思ったよりも少なかった。先生は、皆の前へ立つと咳払いをする。
「皆の者。よく集まってくれた。期間は1ヶ月。これからわしと共に地球について学ぼう。わしは、地球が誕生してから長いこと地球と共に生きてきたのじゃ。地球内部には地底世界がある……わしは地底人じゃ。人間には秘密にしているがな」
一度言葉を区切ると、先生は全員の顔を見回す。
「ふむ……では、自己紹介をしてもらおうか」
視線はアンナに向けられた。目が合ったアンナは椅子から立ち上がる。
「アンナです! 初めまして。アルクスから来ました! 地球の未来を守りたいです。よろしくお願いします!」
アンナはサラサラの金髪のストレートロングの髪を揺らしながら、丁寧にお辞儀をする。すると、よろしくお願いしますと皆が声を返す。
次に隣にいたレオが立ち上がる。
「レオです。同じくアルクスから来ました。 アンナとは恋人です。よろしくお願いします!」
焦げ茶の髪が特徴のレオは、穏やかに話すと爽やかに笑顔を見せながら静かに頭を下げた。
その次はジェイが自己紹介をした。
「ジェイです。アルクスから来ました。2人とは友人です。よろしくお願いします」
浅黒い肌に黒髪のジェイが落ち着いた声で軽く頭を下げる。
続いて2メートルの女性が立ち上がる。
「ウルリーカです。アンカから来ました。地球の自然を守りたいです。よろしくお願いします」
薄茶色のウェーブがかった髪が特徴のウルリーカは、恥ずかしそうにはにかみながら微笑んだ。
「カノープスから来ました。ピーターです。 僕が行かないと地球は大変なことになるからね……よろしくお願いします」
短い髪をツンツンと逆立てた頭で周りより小さな彼は椅子の上に乗り、皆に見えるように立っている。先生は一つ咳払いをした。
「ピーター君。意気込みは立派だが、その気持ちを忘れずに励むのじゃな」
他の人々も自己紹介を済ませ、解散となった。