初デート2
水族館を出て近くの飲食店に入る。ひんやりと冷房が体を包みホッとする。日曜日はどこに行っても、混雑していた。
入ったのは高校生でも手軽なファミリーレストラン。タブレットでメニューを開くと美味しそうなメニューが書かれている。
「奏ちゃん、何が良い?」
「うん……愛音は?」
「私はね……冷やし中華かな」
「ああ、冷やし中華か……俺もそれにしようかな」
愛音を見ながら奏太は微笑む。一瞬愛音は奏太の笑顔に見惚れるが、すぐに我に返る。
「あ……うん。注文しちゃうね」
「うん」
しばらくして愛音達のテーブルに冷やし中華が置かれた。
「いただきます」
冷やし中華はタレが野菜や麺にからまり、喉越し良くあっという間に食べ終えた。
「ごちそうさまでした」
食べ終えて一息付いていると、奏太が愛音に話しかけて来た。
「あのさ……」
「うん?」
「この近くに個室のあるカフェがあるみたいなんだ。行かない?」
「うん、良いよ」
歩いて5分位たち、愛音達はカフェへ着いた。中へ入り個室へ案内される。
部屋は襖で仕切られた和室で、カフェというよりも民宿に来た気分にさせられた。
和カフェということで、メニューは和系スイーツが多く、お昼を食べたばかりでお腹は空いていないものの、奏太は飲み物を、愛音は抹茶のアイスが乗ったパフェと飲み物を注文した。
注文した飲み物やパフェが来ると、奏太が話し始めた。
「愛音」
奏太は真っ直ぐに愛音を見つめる。そこには何かを打ち明けたいと言う意思が感じられた。
「何?」
「話なんだけど」
「うん」
「この間さ、インフルエンザになった時に夢を見たんだ」
「夢?」
「うん。そこでさ……」
いったん言葉を区切り視線を宙に彷徨わせる。
「うん」
愛音は奏太を焦らせないように、待ち続ける。
「おじいさんにあったんだ」
「おじいさん?」
「うん。髪が白くて肩まであって……」
「うん」
「……地球に生まれる前の映像を見たんだ」
「うん」
奏太はそこまで話すと愛音を再び見つめる。
「地球を救う為に産まれてきたって。仲間と一緒に……」
「そっか……思い出したんだね、レオ?」
奏太はレオと呼ばれた瞬間、瞳を大きく見開いた。
「え? じゃあ……愛音……アンナも?」
「うん。春先に事故にあいかけたでしょ? その時にね、私とお兄ちゃんは思い出したの」
「そっかぁ……」
「奏ちゃん?」
「俺さ……変な奴って思われたらどうしようって、ドキドキしちゃってた」
「奏ちゃんの話すことなら何でも信じるよ」
笑顔で奏太に愛音は告げると、奏太も安心したように笑った。