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地球へ愛のハーモニー  作者: 宮守 美妃
10/47

初デート1

 日曜日。愛音は早起きして出かける準備をしていた。


(メイクも服もこれでオッケーだよね?)


 愛音は鏡を見ながら確認した。凛に勧められたワンピースに歩きやすいミュールを合わせた。奏太と10時に駅に待ち合わせをしている。大知には詳細は伝えていない。


 昨日の夜も“どこへ行くんだ?”、“何時に行くんだ?”としつこく聞かれた。付いてこられては困る。愛音は凛にライモで伝えると、こっそり家を出発した。




☆ ☆ ☆



 9時50分頃、愛音は駅に着いた。奏太はまだいないようだ。その時ライモのメッセージが届く。


『愛音。今どこ?』


『駅に着いてるよ。奏ちゃんは?』


『俺も着いてるよ』


『え?』


 愛音はスマホから目を離し、辺りをキョロキョロ見渡す。


『どこ?』


「愛音」

 突然真後ろから声が聞こえる。


「え? 奏ちゃん?」

 愛音が振り向くと奏太は嬉しそうに笑いながら立っていた。


「びっくりしたー! 真後ろから声が聞こえるんだもん!」


「ごめん! 驚かして」


「ううん。大丈夫」

 なんだか照れくさくて笑ってしまう。


「愛音……」


「ん?」


「……可愛い」

 赤くなりながら奏太は微笑む。


「……ありがとう」

 愛音の心拍数はどんどん上昇する。


(暑いのに余計に暑くなりそう……凛、ありがとう!)


 

 電車を乗り継ぎ水族館へ到着する。中へ入ると人で溢れかえっていた。


(日曜日だしね)


 2030年の水族館は海の生きものがモニターで映し出されている大きなスクリーンがあり、皆3Dメガネを装着すると3D映像が流れる。


 水族館に海の生きものを閉じ込めるのは廃止になっていた。動物園も同じだ。生きものがいる場所にカメラを設置し、リアルタイムの映像が水族館や動物園へ流れている。

 

 浅瀬の生きものや深海の生きものが、壁に付いているモニターごとに分かれている。


 愛音が奏太を見ると、奏太は人混みに圧倒されていた。


「奏ちゃん?」


「……何?」


「大丈夫?」


「うん……大丈夫」


「ね? 奏ちゃん」


「ん?」


「手繋がない?」


「え?」

 奏太はかなり驚いているようで目を見開いている。


「嫌?」

 愛音は思わず奏太の顔をのぞき込む。すると、奏太の顔が赤く染まって行く。


「嫌じゃ……ない」


「良かった。ほら、はぐれないようにね?」


「……子供じゃないんだけどな」

 奏太は愛音に聞こえないように小さな声で呟いた。


「え? 何?」


「ううん、何でもないよ」

 

 愛音から手を繋ぐ提案をしたものの、愛音も負けずにドキドキしていた。


(奏ちゃんと手を繋ぐなんて、久しぶり。いつの間に奏ちゃんこんなに手が大きくなったのかな? ドキドキしてるのバレてないよね?)


 2人でゆっくりモニターを見て回る。奏太はクジラのいるモニターで足を止めた。愛音も一緒にモニターを見つめる。


「大きいなぁ……」


「そうだね。すごいね」


「うん」

 奏太は笑顔でクジラを目で追いかける。


「本当、奏ちゃん好きだね、クジラ」


「うん、好き」


 一通り見て回るとお腹が空いてきた。


「奏ちゃん」


「何?」


「お腹空かない?」


「……そういえば」


 奏太はピアノを弾かせると凄いが、それ以外のことは、ほぼ無頓着な所がある。ほっとくとご飯も食べない時があるらしい。


「何か食べよ?」


「うん」


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