表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が将来魔王にならないとどうやら世界は滅亡するようです  作者: 猫宮蒼
四章 恐らくきっと分岐点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/465

もしかして、甘党……?



 ――ところでこの世界。

 かつては異世界から様々な来訪者がやって来た事もあって、イベント行事もウェズンが何となく知ってるやつから全然知らないやつまでそれなりに存在している。


 流石に前世の世界と同じ理由で行われているかとなると、多分途中でイベント事態が魔改造されたかどっかで何かが捻じ曲がったりしているけれど。

 それでもまぁ、無いわけではないのだ。

 実際イベントとして少し前にハイネに誘われてゴーントの村まで行って収穫祭に参加してきたわけだし。


 ちなみに他の地域だと収穫祭ではなく豊穣祭だと言われているところもあるのだとか。

 まぁ大体意味が通じれば何でもいいとは思っている。


 名前が似てるな、と思ってもウェズンが知る内容のイベントとは全然違うものもあるし、そもそも何のイベントか名前だけ聞いてもさっぱりわからないものがある。

 なお最近ウェズンが耳にした意味不明なイベントはフォカヌポゥ祭典である。

 何となく前世のネットで何かそんな感じの笑い声なのか鳴き声なのかもわからない表現を目にしたような気がしないでもないが、あれに意味があったとは思えない。


 もしかしたら、たまたまウェズンが知ってる言葉――と言っていいものなのか――と同じ響きを持つものが、別の世界から持ち込まれた可能性もあるのでアレと同じだとは思わないようにしているが、少しの間意味もなく脳裏をよぎるというかちらつくというか……


 正直まだズンドコベロンチョの方が理解できそうな気がしてくるのが恐ろしいところだ。

 とはいえ、あれも真相とか判明してなかったはずなので、あくまでも理解した気になるだけである。



 さて、どうして今更そんなイベントについてウェズンが脳内であれこれ騒がしくしているかというと……



「そういうわけだから、お前らにはちょっと行って魔物退治と調査を頼みたい」

「はぁ……」

「手に負えないなと判断したら戻って来いよ。戻ってこれるうちに」


 あまりにも軽くテラにクエストを押し付けられたからである。

 クエスト、という言い方は少し異なるのかもしれない。とはいえ、これを授業と言っていいのかも微妙だった。



 なんでもそろそろ友好の儀、と呼ばれるイベントが始まる季節らしい。

 ウェズンは初めて聞く言葉になんだそれ、と思ったが、よくよく聞くと内容はわからんでもないもので。


 お世話になった人に感謝の気持ちを伝えるイベント、とでも言おうか。

 感謝そのものは別にこの日に伝えなければいけないというわけではないが、それでもこういったイベントがある事で改めて感謝を伝える機会を……とかなんとか。


 普段から感謝をしてるしその気持ちも伝えているけれど、この手のイベントがあるならそこでも伝えておこう。みたいに考えてる人向けのイベントである。

 むしろこの日にしか感謝を伝えない、イベントやったんだからもういいだろ、みたいなタイプはそもそも周囲から感謝されるタイプかどうかという話にもなるわけで。

 ウェズンの中ではお歳暮とかバレンタインが融合合体したようなものなんだな、という認識だった。


 何故ってそのイベント、チョコが絡んでくるのである。

 バレンタインじゃん。そう突っ込んではいけない。

 ウェズンの知るバレンタインデーとは季節が若干ズレているのは、恐らく大昔に伝わった時に他のイベントも混ざったからこうなった、と考えている。一割くらいハロウィンも混ざってないか? お菓子関連の部分で、とも思ったのだ。


 正直今の今までそんなイベント知りませんでしたけど!? と言いたかったが、ふと思い返してみる。

 確かに冬になるちょっと前くらいに、お菓子がやたらと大量に用意された日があったな、と。

 もしかしてあれがそうだったんだろうか……という気がしてきた。


 父も母もイベントがあってもわざわざ今日は〇〇の日だよなんて言わないからウェズンとしてはほとんどが初耳状態だが、しかし思い返してみれば多分あれはそのイベントだったんだろうなぁ……となる。


 バレンタインデーは前世では最初、女性が男性に告白するのにチョコレートを、とかいう製菓業界の陰謀だとか言われていたが、海外では男性が花束やらカードやらを贈る……んだったか?

 生憎日本では最初女性からの告白の機会に是非チョコを、みたいな感じだったと思うがそれもいつしか男性への告白などではなく友人同士でのチョコ交換だったり、愛の告白関係なくとりあえずお世話になった人に感謝の気持ちとして、といったものへと変化していったし、最終的にこの時期のチョコ美味しそうだから人にあげるより自分で食べたい、という者たちによって自分へのご褒美チョコになったりしていた記憶がある。


 とりあえずこの友好の儀なるイベントは男女関係なくそれぞれが感謝の気持ちを伝えるものらしいのと、別段次の月にお返しの日が存在するわけではないというのがバレンタインとは完全一致しないなと思える部分だろうか。


 まぁ、前世のバレンタインもなんだかんだ進化というか変化を遂げすぎて割と何でもありみたいになりつつあったような気がしているが。

 元々は司祭が処刑された日だったはずなのに、時代が変われば色々と変わるものである。



 で、テラはそのチョコを作るために欠かせないカカオを生産している土地でここ最近やたらと魔物が多発しているという話を受けてその討伐と調査を、と言っているわけだ。

 それ、冒険者ギルドとかでやるやつでは……?

 そう問い返せば現地の冒険者さんたちは収穫できるカカオの収穫とそれらが魔物に駄目にされないように警備の仕事に回っているらしい。人手に余裕があるわけでもないので、それで精一杯なのだとか。


 確かに冒険者たちが今無事に手元にあるカカオを守っているのをやめて魔物退治に出かけている間、別の魔物がそれらを台無しにしないとも限らない。

 というかだ。


「なんでそんなカカオが狙われて……?」


 カカオって魔物引き寄せる効果とかありましたっけ? そんな疑問が浮かぶ。

 ある意味で当然の疑問に、しかしテラは知らんと一蹴してきた。

「それも含めての調査だ。

 今までこんな事はなかった。魔物に知能がないとは言わないが、それでも大抵は自ら強くなるべく瘴気を取り込もうとしてより汚染度の高い場所へ移動しようだとか、そういったものなわけだ。

 ところが今回の件はそうじゃない。カカオに高濃度の瘴気汚染がされているわけでもない。なのに魔物はカカオを狙っている。

 おかしいだろ? 裏で何かが糸引いててもおかしかないわけだ」


 陰謀論とか囁かれてそうな話だ、なんて肩を竦めるテラはその表情をいかにも不可解である、みたいな感じにしているけれど。


「そういうわけだから、他の連中にはお前から連絡たのまぁ」


 既にテラの中ではもうこの話は終わりだ、とばかりにとても爽やかに告げられる。


 確かにさっき、『お前ら』に魔物退治と調査を頼みたいと言っていた。

 お前ら、と言った割に呼び出されたのはウェズンだけだったので、言い間違いだろうかとも思っていたのだ。


 いやこんなけったいな事件と思しきものに一人で行けとか言われた方がどうかと思うが。


「えぇと、お前ら、って誰から誰までの事ですか……?」

「人選はお前に任せた。よっ、頑張れよリーダー!」

「勝手にリーダーにしないでくれませんかね……」

「頑張れよ委員長!」

「なった覚えないですけど!?」

「うるせぇないいからつべこべ言わずに行けよ」

「理不尽!!」


 そう叫びながらもこれ以上ここに留まればテラの拳が唸る可能性がとても高く、ウェズンは早々に立ち去る事を決めた。


 お前ら、と言われて最初に浮かんだのは、グループ作った面々だ。


 だがしかし、最近はそこにアクアとハイネも混じるようになっている。


 人選はウェズンに任せた、と言っていた。

 とりあえず……事件の規模が全くわからないのでそれじゃあ多めに連れていってもいいんだろうな、と解釈してウェズンはひとまずモノリスフィアを手に取ったのである。


 あえて教室に行っても用がある人が全員いるとも限らないが、モノリスフィアなら相手が学園の外に出かけていて瘴気汚染度が高い土地にでもいない限りは連絡がつく。


 メッセージをポチポチ入力しながら教室へ向かえば、どうやらほとんどの面々が教室にいるようだ。

 話が早くて大助かりである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ