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僕が将来魔王にならないとどうやら世界は滅亡するようです  作者: 猫宮蒼
四章 恐らくきっと分岐点

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狭めていた可能性



 とある日の授業中。

 ウェズンは教師の話を右から左に聞き流しながら考察する事にした。


 考察といっても普段も割と無駄に考えているような内容だ。

 つまりは、イアの言う原作について。


 ちなみに現在の授業は他のクラスとの合同座学なのでウェズンがいるのはいつもの教室ではなく講堂であったし、何となく内容は前にちょっとやったな、と思える部分だったので多少聞き流していても問題はない。

 だからこそ、こうしてまた考えたところでどうなるものでもないような事をぐだぐだと考え始めているとも言う。


 イアの言うウェズンが主人公の小説。タイトルは不明。

 ウェズン少年が勇者を目指そうとしていたにも関わらず、魔王を養成する学校へ行く事になり周囲となんやかんやあったけど最終的にウェズン少年は魔王になって世界を救う。


 これが、イア曰くの原作小説の内容である。

 ざっくりしすぎてあらすじにするにも文字数少なすぎてあらすじになってるかどうかも不明である。


 まぁ内容としては剣と魔法のファンタジーな世界に学園もの要素をプラスしたもの、という認識で間違いないはずだ。

 冒険パートと学園パートで戦闘と日常パートが交互にやってく感じだろうか。

 合間合間でライバルと切磋琢磨したり、そんなライバルの意外な一面を見る事になったり。

 ゲームでもありがちな展開である。


 ゲームにもなっていて、そちらの主人公はイア。

 ゲームではウェズンを魔王にしつつイアは他の仲間たちと親睦を深めエンディングを目指していく。

 よくあるキャラゲーと言っても過言ではないだろう。

 原作に公式からのオリジナルキャラをぶち込んだ準公式。もしくは原作公認二次創作。


 ゲームの出来次第では原作者からも見放されたりしてファンからもそんなゲームはなかったんや……とか幻覚扱いにされたりする事もあるけれど、生憎ウェズンはそのゲームの出来がどうであったかはわからない。

 しかしイアから聞いた限りではウェズンも知るタイプのゲームだったと思う。


 家庭用ゲーム機が出てすぐの頃、みたいな感じでもなかった。

 どちらかといえばある程度ゲームが出尽くした後、可もなく不可もない感じで世に出たイメージが強い。


 前世のウェズンはゲームというものはそこまでのめり込んでプレイした事はないが、それでも弟や妹たちに誘われて遊ぶ事はあった。そうでなくとも、人がプレイしているのをなんとなく見ているのは嫌いではなかったので弟がやってたゲームとかある程度横で見せてもらっていた事もある。


 まぁ、弟がプレイする時に必ずしも自分がそこにいたわけじゃないので、話の内容が飛び飛びになっていたこともあったけれど。

 それでも見てなかった部分の内容を教えてもらったりしていたので何となくその手のストーリー展開あるあるな流れというのもそれなりに把握しているつもりであった。


 イアの語る内容から、小説はともかくゲームの方はそこまで古い作品だとはウェズンには思えなかった。主にシステム回りから。

 ゲームがまだ一般的でなかった時代だと、結構不親切な部分もあったくらいだ。

 けれどもイアの覚えている範囲での内容からは、そこまでの不親切さを感じなかった。


 つまり、次に何をするべきか、といったフラグを立てるのに必要な何かについてもヒントはそれなりにあるようなのが当たり前、くらいの時代のゲームだと考えていいだろう。


 だがしかし。


 ウェズンが考えているのはこの部分だ。

 そりゃあ転生した今、ウェズンはこうしてここにいる。小説だろうとゲームだろうとそういったものが存在していたとしても、ウェズンにとってここが現実なのだ。

 現実であれば次に何をするべきか、を親切丁寧に教えてもらえなくてもそれは当たり前だとは思うのだ。

 勿論学校の授業で明日はここからやるぞ、とかテストの範囲はここからここまで、だとか言われる事はあったとしても、どこそこに行き〇〇というアイテムを入手した後どこそこのダンジョンでボス戦をしろ、みたいな指示が出る事はないと思っている。

 学外授業などでどこそこに赴いてそこで魔物倒してこい、くらいの指示は出てもそれくらいだ。



 昔々のゲームだと、次の目的地を示されてもそこにどう行けばいいのか、むしろそこがどこにあるのか、がわからないなんて不親切なものだってあったくらいだ。

 陸路を進んでいくのであれば最初の町から城、そこからボス戦を経て次の土地へ……みたいな状態でありがちだったが、陸路ならまだいい。

 どこに行くかわかってなくてもとりあえず大陸を移動していればそのうちどこかに辿り着く。


 問題は船だとかの移動手段を入手した直後にそういった展開になる場合だ。

 世界地図とかもマトモに入手してない状態でそんな事になったら、それこそマジで世界各地を巡る迷子旅の始まりである。


 適当な陸地に辿り着いて上陸して町や村を探すにしても、下手をすれば敵の強さがシャレにならず上陸して三歩といかずに敵とエンカウント、そして全滅へ……なんて事だって有り得た。

 仮に、どうにか無事に町に辿り着いたとしてもそこが次の目的地でなかった場合。

 まだその場所でのフラグを立てていないので特に役立つ情報を得られなかった、くらいならまだいい。今は何もなくてもそのうち何かある時にまたここに来るんだな、で済む話なので。


 酷いゲームだと、まずまだこの場所に来るに至っていない状態だったなら。

 辿り着いても住人一人もいない、だとか町の入口が封鎖されていて中に入れない、なんてものもあったくらいだ。

 ちょっと敵が強いなぁ……でもまぁどうにか頑張れば行けない事もないなぁ……でやって来たのに町の中に入ったはいいけどその入口に看板だとかでけぇ岩だとかが置かれていてその向こう側に行けない仕様。

 せめて新しい装備くらいはチェックさせてくれ。そう思うもののそれすらできない始末。


 そこで一度行った場所に好きに移動できる魔法とか技があるならまだいい。けれどもそれすらない場合、来た道を引き返さなければならないのだ。宿だとかの回復施設を目当てにしていたならば、戻る時は最悪全滅の危機を秘めている状態にもなっている。こんなところでそんなスリル味わいたくはなかった……と思う事も何度あったか。



 まぁ、この世界でそんなわけのわからん封鎖されてる場所というのは存在しないと思ってはいる。

 そもそも神の楔による結界で封鎖されてるところはあれど、それが解除されるのは神前試合の後と決まっているし、解除される場所をどうやって決めているかはわからないが、ともあれ次に解除されるまでの期間がわかっている。フラグがどうとか関係ないわけだ。


 だがしかし、あの謎の女といい父が送ってきた鍵といい。


 情報が足りなさ過ぎて次どうしろと……という感想しか浮かばないのである。


 一応イアにも鍵を見せてみたけれど、「なぁにそれ」とばかりに首を傾げられたのでイアにもこの鍵の使いどころがわからないらしい。

 どっかのダンジョンで使うやつ、とか言われてもそれはそれで困るけれど、ノーヒントが過ぎやしないだろうか。


 小説だけではなくゲーム版要素が含まれているとしてもだ。

 ゲームが出たであろう時代から次に何をすべきかのフラグだとかはそれなりに親切にヒントが出てるだろう頃の作品だろうに、いかにもな感じのイベントが起きたようなものなのに、それについてのヒントがほぼゼロ。


 何でここだけゲーム黎明期並みの不親切設計なんだ……とウェズンが頭を抱えるのも無理のない話だった。


 ここが現実だとわかっていながらもあえて小説だとかゲームにありがちな展開あるあるでメタ読みをしているのは、つまりあまりにもノーヒントすぎたから。


 これがよくある冒険ものなら、次の目的地も何となく察せられるけれど学園を起点に神の楔とかいう転移アイテムで瞬間移動しているせいで、次の目的地がどこか、という読みも何もあったものじゃない。


 よくあるRPGならとりあえず勇者が魔王倒しに行く流れだし、そうじゃなくたって道中でボスを倒して中ボス倒して最終的にラスボス倒しに行く合間合間でお使いイベントが入るわけだけれども。

 最終的に世界の命運握ってたりするけれども。


 現状、当てはまるのは世界の命運がかかっているという点で、それ以外全く当てはまらないのである。


 魔王サイドとはいえ勇者といずれは戦う事になるわけで。

 いっそこっちから襲撃仕掛けに行ってみるか? と思ったけれど下手をすれば魔王どころか中ボス、噛ませ犬扱いで死ぬ可能性もある。

 流石に死に急ぎたくはない。


 ゲームあるあるな流れでメタ読みをしようにも、そもそも次の目的地だとかが出るだろう展開がない。

 授業で各地に移動する事はあれど、明確な目的があるわけじゃない。魔物退治だとかのサブイベント的な目的はあれど、その土地で何かをしなければならないとかいうゲームにありがちなものはないのである。


 フリーシナリオシステムのゲームだってもうちょっとこう、何もなさそうなところでもそれなりに何らかのフラグとかイベントはありそうなのにな……とすっかりゲームに見立てて考える始末。

 ゲームだったらまだ楽だったのに、というのは否定できなかった。

 現実だからこそ先が見えない。


 授業もそれなりに真面目にうけてるし、戦闘に関しても弱いままでいられるはずもない。だからこそ鍛錬はしっかりやっているけれど、これはもっと色々と各地で何らかのフラグを立てろという事なんだろうか……とまだゲーム扱いが抜けないままに考える。


 ウェズンの行動範囲は基本的に学園周辺だけでしかない。

 授業で学外に出たとしても、そこで現地の人と交流を……とはならなかった。


(もしかしてそれがよくなかったんじゃないだろうか)


 ふと思う。


 そもそも異世界に転生して、なんでこんな限られた地域でのみ活動してるんだろうか。

 折角各地を転移できる便利アイテムがあるのに積極的に活用しないのは、まぁ瘴気問題があるから仕方ないとしてもだ。

 前世のようにいざ海外旅行へ! となったら旅費だってそれなりにかかるしパスポートだとかの必須アイテムなんかも用意しないといけないけれど、この世界はそんなパスポートだとかそもそもないし、移動にかかる交通費も神の楔があるが故にかからない。


 まぁ、瘴気汚染度合的に最悪そこから出られないだとか、結界に封じ込められてしまっただとかで帰れない危険性も秘めてはいるけれどそれでも既に結界が解除されてそれなりに瘴気汚染度が低い所なら自由に移動可能なはずであって。


 というか思い返せばウェズンの実家近所の町だって滅多に足を運んだりしていなかった。


(もしかしなくても……とても勿体ない事をしてきたのではないだろうか)


 町並みは確かに前世でも見たような風景だなとか思える部分もあるけれど。

 それでも世界そのものが異なるのだ。もしかしたら自分が知らない差異を発見できるかもしれない。


 なんだか今更のように後悔し始める。

 前世、それなりに家族と旅行に行く事がなかったわけじゃない。

 両親と、というよりは弟や妹たちと、ではあったけれど。

 けどそれだって仕事があったから、いっぱい行けたわけでもないのだ。


 折角生まれ変わったのだから、せめてもうちょっと楽しむべきではないだろうか。


 いや……そもそも、そういう風に思っていたはずなのに。

 世界情勢だとか最近のあれこれですっかりそんな気持ちが薄れてしまっていた。

 神前試合が近づいているのは事実だし、遊び惚けてばかりもいられないのはわかっている。

 いるけれど……真面目にやっても最悪世界が崩壊する可能性があるのだから、我慢した後報われるとも限らないわけで。


(うん、もしかしたらヒントは意外と全然関係なさそうなところからやってくるかもしれないし……もうちょっと行動範囲を広げてみるのもいいかもしれない)


 学園にいて、学園の授業で言われるままに外に出るだけ。学園以外のサブイベントとかがあるタイプのゲームなら間違いなくその手のイベントは全滅である。


 今更、ではあるけれど。


 とりあえずもうちょっと色んなことに目を向けてみようかなとウェズンは決意したわけだ。



 とはいえ。


(じゃあ、何処に行くってなると全く何も考えてないんだよな……)


 さてどうしたものだろう。

 悩んでいるうちに授業は終わりを迎えたらしく、講堂を出る生徒たちを何となく見送る。入口付近が混雑しているので、もうちょっと生徒の数が減ってから……と思っていれば。


「なぁウェズンちょっといいか?」


 同じく人が減るのを待っていただろうハイネから声をかけられた。


 これは……イベントの予感ッ……!


 なんて、そう考えるのも仕方のない事だったのかもしれない。

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