マゼンタの残したもの
よろしくお願いします。
俺たちのいるテーブルへ青色が舞ってきた。シアンさんまできてしまったんだ。
「ライム、絡まれていたけど大丈夫だった?」
「はい、おねえ…じゃなくて、この胡蝶様がきて、助けてくれました」
そんなライムの横で、
「3人目の美鳥さん。疑っていましたけど、本当に3人いらっしゃったのね」
胡蝶は、シアン、マゼンタ、ライムを交互に見て、ぼそりと
「ひとりぐらい、お持ち帰りしてもわからないかしら」
なんか、恐ろしいことを呟いていた。
すると、シアンが胡蝶をじっと見て、
「あらぁ、斎田さん処のコチョちゃんじゃない。この前ぶりねぇ」
コチョちゃんって誰ですかシアンさん。でも対象は1人しかいない。
「ウチの美鳥がお世話になったみたいね。ありがとう」
って、胡蝶にニッコリ挨拶しているんだけど、
「コチョって言い方、私を知ってる! ウチの美鳥って言うことは」
ワナワナと彼女が震え出した。
「私のママです」
ライムがぼそっと呟いた。
「えっ、いくらなんでも………」
すすっとにじり寄ってきたシアンさんが指先で胡蝶の唇を止めた。
「よろしくね」
告げられた胡蝶は、コクコクと首肯するしかなかった。
「食事代は、こちらで持ちます。なんでも頼んでね」
ウインクひとつ残して、シアンは仕事に戻っていった。
「いくらなんでも、美魔女すぎるわぁ」
「だろって」
マゼンタと二人、意気投合してる。
「うちの母ちゃんに言ったら、すぅぐ飛んでくるね。どうするんじゃって」
胡蝶の言葉が素に戻ってる。よっぽど動揺したかな。
「ところでな、胡蝶」
「はい、なんでありましょう、お姉様」
それを聞いて、マゼンタは、胡蝶の耳たぶを引き寄せた。
「痛い、痛いです。お姉様」
「なんで、私がお前に姉って言われるんだ」
「そりゃ、美鳥ちゃんの真の姉ということであれば、私にとっての姉でもあります。それに琴守美華様でしょう。私も諸先輩の方々より、お噂とかお言い伝えを、お聞きしておりましてよ」
「全く、何を聞いているやら」
そこで、マゼンタは、胡蝶の首根っこを腕で抱え込み、俺たちから離れた。なんか内緒の話をしているようだが。
帰ってきたら、胡蝶が借りてきた猫みたいになっているんだ。何を話していたんだろう。大人しくなった彼女へ美鳥はオーダーを取りに行くいった。
ぼそっぼそっと話をしているから、中身はわからない。でも、かなり大人しくなっているから、相当に釘を刺されたんだろうと想像に難しくない。
マゼンタも自分の仕事に戻っていった。
ライムも、オーダーをキッチンカーへ持って行こうとしている。
「ライム、ちょっと良い」
呼び止めた。
「なんですか、一孝さん」
ニッコリと近づいてきたけど、ほんのちょっと元気が足りないかな。
近づいてきたライムの手を取り、両手で挟み込んで、ぎゅっとしてあげた。
「ごめんね。次は俺が助けるよ。かっこいいとこ見せてあげる」
ライムの目が一段と見開かれ、パァッで笑顔になった。元気も出たようだ。
「さあ、いっておいで」
手を離し体の向きを変えて、お尻を叩いて前に押し出した。
「キャン! 一孝さんのエッチ」
そう言って振り向く顔は、赤くなってて可愛いかったよ。
後になって、美華姉に胡蝶に何の話をしたか聞いてみた。
中身は、
美鳥のことを守ってくれ、よろしく頼むってことは。さすがは、お姉ちゃんだね。
後は、あんまりはしゃぎ過ぎるとバラすよってことかな。
さあって、胡蝶の恥ずかしい話。
鼻から、うどん事件
トイレットペーパー引きづり事件
の2つ。
なんかの時に使えって教えてくれた。
ありがとうございました




