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ダイナーレストラン シェインズ

3列シートのワゴン車の中で、シアン、マゼンタ、ライム、3人の撮影を続けている。

そのうちに、


「一孝くん、もう時期、到着するから、前に戻ってきてくれるかなあ」

「えー、チェー、もう終わりー!」


マゼンタは、もっと撮って欲しそうだったけど、俺は撮影を打ち切り、前へ移動して助手席に戻っていく。



 フロントガラス越しに外を見るとビルの下で広めの歩道部分に、いくつかのカフェテーブルが置いてあるのが見えた。

見上げるようなビルの建物の途中が長い橋に繋がっていて橋の上で何か動いている。

この街にはニュートラムと言われる新交通システムが敷かれている。鉄でなくてゴムのタイヤを使った電車だ。そのステーションビルなんだね。郊外のベットタウンと港を繋いでいるんだ。


「ここですか? それにしても人がいるように見えないですけど」

「あっそれね、あー、バックするから、気をつけてね」


軽いショックがあって止まったと思ったら、電子音が鳴り始め、体が前に押される感じがしだす。電子音がすると同時に、それまで地図を写していた画面が風景の画像に切り替わる。画像には色のついたガイド線が入り、地面にある駐車場のラインと重なっている。

そして車体が止まる。


「今日ね、ここ休みなんだ。それで撮影に借りたというわけさ」


別の電子音が鳴り始め、両サイドのドアがスライドしていった。


「うーん」


マゼンタさんが早速に外に出て背筋を伸ばす。

続いてシアンさん、ライムと降りていく。


「今日って休日でしょ。稼ぎどきになんでまた?」


俺は奏也さんに聞いてみたんだけど、ビルの方からエプロンをした男の人が近づいてきて、


「待ってたよ奏也」

「今日はよろしく頼むよ」


 奏也さんと挨拶をしている。2人ともリラックスして笑っていることからして旧知の間柄なんだろう。


「こいつは守道って言って、このビルの一階でダイナーレストランをやってるんだ」

「ヤァ、いらっしゃい。話は聞いてるよ。ウチのコマーシャル撮影を手伝ってくれるんだってね。ありがとう」


守道さんは振り返り、ライムたちを見て、


「お嬢さん方もありがとう。え〜と?」


「シアン」

「マゼンタ」

………

「ライムです」


3人ともボージングするのだけれど、恥ずかしかったのかライムひとりワンテンポずれてしまった。まあ、俺的には可愛いから許すけどね。


「ダイナーレストラン、シェインズ ダイナーガールズで〜す」


手をひらひらさせてもう一度ポージング。今度は揃った。


「ヤァー、お見事。これなら良いや」


守道さんは手放しで喜んでいる。

そこへ青のギンガム柄のブラウスを着たシアンさんが近づいてきて、


「いつも、主人かお世話になっているようで、今日もよろしく願いします」


と頭を下げて守道さんに挨拶をしてる。

守道さんは目を見開く。


「主人って、じゃあ、あんたぁ、美桜さんかい?」

「今日は、シ ア ン ですのよ」


唇に手を当て微笑んでいる。


「どう見ても三つ子だよー」

「ふっふっーん」


驚いて奏也さんを見る守道さん。奏也さんはドヤ顔をしている。

大丈夫ですよ。俺も朝から驚きっぱなしでです。


「港のハーバープレイスのイベントに行っている家内に見せたかったよ」

「キッチンカー出してるんだろ」


と奏也さん


「ウチのウエイター、ウエイトレス引き連れて行ってる。こっちを休みにして」


なるほど、人がいない訳わかりました。


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