カフェ・フォレストハープ その2
美鳥、いやライムが緑色をキーカラーにしているのに対して、奏也ババさんのカメラは、青をキーカラーにしていた女の子にレンズを向けていた。
青い生地に白の水玉模様のリボンで髪を止め、ポニーテールにしている。色以外、ライムにそっくりで驚いている。マシマシまつげの溢れそうなほど大きな目、ブラウスも目に鮮やかな青色。
「いいねぇ!そのポーズ、グッときちゃうよ〜、はい」
ぱシィ
ストロボか瞬く。
「もう一回お願い、視線こっちね」
なんか、世界が違うって感じ。
視線を動かすともう一人いました。赤をキーカラーにしている子。
キッチンカウンターに近いテーブルに体を預けて、ゆったりしている。チェアに座り、伸ばしている足の線が綺麗だ。
白いストッキングが細くしなやかに魅せている。
「一孝さん!」
「はっ」
ライムに鮮やかに描かれた眉が顰められた。
「ごめん、ごめん」
ライムは両手の指を白い腿に這わせていき、
「じっくり見るなら、ライムの脚をどうぞ」
思わず、傾注してしまう。
俺も頬は熱くなるし、ライムの耳も真っ赤になっている。
「お熱いことで、ヒューヒュー」
「その言い方って、美華姉?」
「だよー。今日はマゼンタだけどねぇ。よろしくぅ」
両手のひらをふりふりしながら、自分を紹介してくれた。
という事は?
美鳥が緑でライム、美華姉が紅でマゼンタ、という事は、
「一孝くん、いらっしゃい〜。シアンで〜す」
手を折り返し、肘を伸ばして上に掲げる。 足先は前後に重なるようにずらして行く。
「ビューティフル! My precious one!」
カメラマンの奏也さんがカメラを動かし盛んにシャッターを切って行く。ストロボ光が眩しい。シアンは奏也さんにむけ、指先をふりふり、
「non non Darling! Call me 'Honey'」
奏也さんは感極まったのか、カメラそっちのけで、シアンに抱きついていく。キスされそうになっているシアンは指先を奏也さんの唇にあて阻止している。
「美桜さん!、えぇー」
美華姉、美鳥のお母さんで奏也さんの奥さんの美桜さん! 御歳秘密⁈。
服の色は違いとはいえ3人とも髪型から顔つき、スタイルまで同じなんですよ。
マゼンタは、ウゲェーとした顔をしている。シアンは両手で顔を隠して俯いている。耳が赤いのは、さっきから継続中。
「美鳥、あの会話って」
「「コットン」」
2人で、顔を見合わせハモってしまった。そうだ、あの粘土フィギュアのコットンが言っていたんだよ。
『ハニーって呼んで』
と。
「ママって彼奴とも繋がりあるのかなぁ。そんなのは、嫌だなぁ」
「多分だけど、結構、こんなやりとりを小さい美鳥の前でしてたんだよ。それを無意識に聞いてたんだね」
「それを彼奴が真似たということ?」
「そんな外れてないと思うよ」
すると、ライムの口から、
『それみよ』
美鳥は、両手で口を隠して、頭をブンブン回して否定してる。
「私は喋ってない。彼奴よぉ〜」
とうとう美鳥はしゃがみ込んでしまった。
おかげさまで第50話になります。感無量




