on your makeup.ready?
「「ただいまぁ」」
あの子達が帰ってきた。2人の声が聞けた。ここ最近は美鳥1人の声だけ。
「お姉ちゃん連れてきたよぉ」
「ママ、遅れてごめんねぇ」
最初にリビングに入ってきたのは美華ね。長い髪をして、姉妹同じに見えるけど、すぐわかってしまう。私はあの子の母なんだから、
「美華ちゃん、そのウィッグ、なかなか良い色ねぇ」
「でしょ。生半可なお店じゃ、見つからなかったんだよね。あれっ! ばれちゃった」
多分、美鳥に扮して一孝くんのところにイタズラでもしに行ったんでしょうけど。
今はサーモンピンクのスイングスカートにカーディガン。美華の服の選び方じゃない。
今は、怒っても仕方ない。
美鳥が喋らずに入ってきてる。なんか美華に言われたかな。
「きて、すぐっていうのも悪いけど、用意を出来てるから、お着替えお願いね。美鳥もよ」
「「はぁーい」」
「2階のあなたたちの部屋にもう、置いてあるからね」
2人は揃ってリビングを出ていく。
「お姉ちゃん、私、初めてなんだ。教えてね」
「まっかせなさい。魅惑の世界へようこそよ」
キッチンカウンターから望む世界の素晴らしいこと。2人の大事で可愛い娘が笑顔で戯れている。私がこの世界にいる理由。こんな幸せなものが見られるんだ。
これにダーリンの微笑みが加わりでもしようものなら、私は喜びで天に召されるかもしれない。
さあ、私も用意しないと。
「お姉ちゃん、お肌綺麗ー、ツルツルー。コスメ何使ってるの?」
妹の美鳥が聞いてきた。
「体の線も華麗に見えるし、羨ましいなぁ。ホットヨガとかやった方がいいのかなあ?教えてね」
じっとりと見られて感心しきり。恥ずかしいやら、ほこらしいやら。
美鳥の部屋に移って、ここには2人しかいないから遠慮なしに、スッポンポン。ショーツからガーターベルトをつけていく。
お尻のボリュームとかラインは美鳥と同じかな。それから、あの子のバストも実際に見たけど、サイズで負けた。ママに聞いて教えてもらって次こそ勝負だよ。
「お姉ちゃんのお胸の形はいいよう。私も上手に整えないと」
なんて言ってくれてる。嬉しいな。ブラのカップのサイズとかカタチ、フィット感には気を遣っている。知ってるか美鳥、カップのカタチだって間違えると垂れちゃうんだよ。教えてあげようかな、どうしようかな。うん教えてあげよう。一孝くんへのせめてもの贈りもんにしてあげよう。私も彼氏に良いもの見せたくてゲフン、ゲフン。
「あっ美鳥、そのブラいいね。デザインも可愛いし刺繍もキレーだよ」
「ありがと、お姉ちゃん。このイエローってカラーもいいよね」
「どれどれ、どこのだぁ」
「やだぁ、外さないでよ、せっかくつけたのにぃ」
ブラをつけてからはその上にキャミタンクトップを着ていく。ブラウスのラインがキレーに見えるんだよね。それにTシャツの時なんかに着ると男どもがブラの線が見えないってぼやいてたね。そして真っ白いストッキングをガーターで止めて黒のAラインチュチュスカートを履いて、トップはハブスリーブのリボン付きスカーフタイのブラウス、ギンガム柄。止めははウエストエプロン。
「お姉ちゃん、これって」
「そう、あれ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「そうだ美鳥、ヘアーアイロン貸して」
「はい、これ」
「まだ、新品じゃない」
「この前、お姉様と買いにいったの。お年玉貯金飛んでっちゃって」
私は、美鳥の方を見て、
「それそれ、お前の姉は、私でしょ。なんであいつを姉と呼ぶ?」
美鳥は、大きな目を更に見開く。
「なっ、なんで知ってるの? え〜」
「お姉ちゃん情報網、舐めないでくれる」
しまった。言っちゃた。実は変装して側で聞き耳立ててましたとは言えない。
「この前ね、メイクの件でお世話になっちゃって、その時にお願いされたの。胡蝶様も弟くんと何かあるみたいで」
「えっ、先越された。姉貴としての醍醐味が」
私は肩を落とす。仲良くメイクの手ほどきしたかったよ。
「なんかママも言ってたよ」
「やっぱしね。……美鳥、お前の姉は私だからね」
「もちろんだよ。お姉ちゃん」
「よろしい」
さて、私は前髪をヘアーアイロンを使ってシースルーバングにしていく。仕上げにパウダーファンデを裏側にまぶす。もみあげも軽くロール。耳の後ろ髪はピンで止めていく。
「美鳥、テーブルの上の紙袋とって、リボン付きのポイントウィッグだから」
後ろの髪を高い位置にまとめてウィッグのリボンにあるまき紐を巻いてまとめた。
「ショートヘアーのお姉ちゃんがポニーテールになっちゃった」
「じゃあ美鳥は地毛をまとめていくよ。毛先を軽くロールさせてっと」
ヘアーアイロンを使って長い髪を整えていく。
「美鳥のもセットするよ。ママからも頼まれているからね』
「さすがお姉ちゃん、綺麗にまとまったよ。同じだね』
その先からはお姉ちゃんは手際よく自分のお肌を仕上げていく。
「美鳥、ファンデはリキッドを使ってパウダーの重ね盛りだよ」
「ゴージャスだね」
「いい女は手を抜かない。わかる!」
「肝に銘じます」
私も初めていく。メイクアッププライマーに始まり、UVガード、リキッドandパウダーファンデ。頬にはチークを塗します。
でも、アイメイクで失敗した。つけまつげが目尻から浮いてしまった。
「お姉ちゃん、上手にできないよう」
「時間ないから、やってあげる。覚えなよ。まず半目にして」
「お願い」
1日の長がある、無駄がないし早く仕上げていく。
上瞼の目の真ん中から目尻へと貼り付けて目元にも。目尻の下瞼にも貼り付けていく。そのあとはピンセットの丸いところを使ってノリ部分を押していく。
「毛の反り具合は、自分の指でやってよ」
最後にマスカラを塗してもらった。
「どう?」
「お姉ちゃん、この人、誰?」
やはり、この前、買ったハリウッドミラーに自分を映して驚いた。自分じゃない。
髪をポニーテールにした綺麗な女の子がいる。お目々がおーきいのよ。お肌ツルツル、ほっぺはキラッと。
私は思った。早く一孝さんに見せたい。綺麗になった私を早く見て欲しいよ。
そして私の前に、やはり綺麗な女の子がいる。お姉ちゃんも綺麗だよ。
「2人ともできたぁ。下におりてこられるかなぁ」
階下からママの呼ぶ声が聞こえた。
お姉ちゃんと顔を見合って ' うん' と、頷くと、
「はぁーい。できたよ。ママも是非見てよー」
2人で一緒に階段を降りて、リビングへ向かう。
リビングにはパパも来てソファーに座っている。でもその前に女の子が立っていた。
私たちと同じ服を着て、ポニーテールの同じ髪型で、目が大きいのが特徴の綺麗な子。美華姉と私、そして3人目の私達。えっー。




