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年下幼馴染は同級生 でも1/3は俺が嫌い  作者: つむら湯
2度目の登校。再会、出会
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人間ハザードが来た。

「起立、礼 着席」


美鳥の声で号令が聞こえたと思ったら、既に机には美鳥はいなかった。休憩時間も依然と美鳥の周りには沢山の人の出入りがあり、近づけていない。こんなことだとコトリに泣いて怒られる。

仕方なく食堂へ行こうとしたのだが、机で、まごついている真壁君を発見。


「真壁君、昼を食べに行こう」

「えっ僕で良いの?」

「もちろん」


最近のフィギュア事情を聞きながら食堂へ。2人ともバスタを選んだ。テーブル席が埋まっているから窓際カウンターへいく。フォークでパスタを丸めていると、


「イッコウ、ここにいたんだ、探したよ」


後ろから声をかけられた。


「高梨先輩だあ」


振り向いて彼女を見た真壁君が驚きの声をあげている。


「ごめんね、食べてる途中だったかなあ」

「まだ、口にしてないから大丈夫です、高梨先輩」

「なんか棘を感じるんだけど」

「そりゃ、衆人の前で晒し者された訳ですし」

「あんな声を人前で晒すなんて恥ずいったらありはしない」

「まっ、お互い様ということで」

「だね」

「風見君と高梨先輩って仲良さげなんですけど、どうなんです?」

「「腐れ縁だね」」


ユニゾンになってしまい、真壁君は眼を剥いていた。

すると、


「明日菜!、高梨明日菜。そんなところにいたのか。昼休みにミーティングがあると言っておいただろう」


と高梨を呼ぶ声がした。高梨はあちゃーとういう感じで額に手を当てている。

俺にとっても懐かしい声であったりする。


「八重柿先輩、お久しぶりです。わかりますか?」

「なんだ、いきなり。失礼だぞ」


八重柿北斗、バトミントンでは、ミックスダブルスで高梨とペアを組んでいる。おれと同い年の今は先輩。ブラウン強めの髪をツーブロックのマッシュヘアにまとめている爽やかイケメンが抗議している。少し神経質なところがあったりする。


「お前は? お前は? 誰だ?」

「風見ですよ、中学で一緒にバトミントンをっていたじゃないですか」

「ちょっと待てぇ? 風見、風見と……おぅ」


         手をポンと叩き、


「思い出した、風見一孝!ここに入って、すぐいなくなった。死んだと聞いていたが」

「生きてますよ。足だって地についてます。一年生からやり直すことになりまして」

「そうか、そうか。それでバトミントンはやるのか?」


親しそうに肩を叩いてくる。


「もちろん」

「ではびしびし扱くからな、覚悟しておけ」

「お手柔らかにお願いしますよ八重柿先輩」


俺からの呼ばれように、うんうんと首肯して、


「よろしい、ではな」


と手を振り、そして振り返り、この場を去っていこうとした。

その陰で高梨は俺と八重柿先輩との会話に紛れて、逃げようとしている、


「あー、本題を思い出した。明日菜! ミーティングに行くぞ。ついてこいな」


抜き足、差し足していたが桃山の声に立ちどまり、がっかりとしている。


「明日菜、何、あちゃーって顔して。行くぞ」


高梨は俺に近づいて耳元で、


「あいつの事で頼みたいことあるから、部活説明会の後、残ってくれるかな。決済は終わってるよ。昨日のたまごサンドね」

「割に合わないですよ。追加で何かお願いしますよ」


高梨は微笑みを残して2人で食堂を出て行った。


残された俺と真部君、


「僕なんかいちゃいけない世界でした」

「真鍋君のおかげで殺伐とした感じにならなかったんだから、感謝してるよ」

「そんなもんですか」

「そっ、ありがとう」


冷めたけど、やっとパスタにありつけた。


 昼休みに歩美と食事をしていると3年の先輩が私を訪ねてきた。昨日、私にメイクを施してくれた方。長い黒髪を内側にロールさせて、ゆるふわな雰囲気を出している。


「この後、私たちの教室までお越しいただけるかしら?」


 なんとも優雅な喋り口。はいと答えるしかなかった。ポカンと聞いていた歩美から、


「あの方って、斎田胡蝶様ですよね。3年、いえ、この学校のトップだよ。どうやって知り合ったのよ」

「どうって、紹介されたの」

「誰に?」

「誰って……誰だろう?」

「質問で返されても、困るのよ」

「階段下であった気だるけな男性かなあ」

「おとこぉー!、なにそれ! 美鳥詳しく話せ」


 でも、ごめんね歩美。悔しくて泣いてたなんて話せるわけないよ。時が来たら話すよ。話せると良いな。やっぱりあまり話せないかな。


「いわゆるナンパかな?」

「またぁ疑問形で返す!言え、言え言え、白状しろお」


 しまった歩美がエキサイトしてきた。どうしよう。


「うーん。あのね、ライトブラウンの長い髪を一つに括ってたかな。階段下のロッカーに片付けをしてたのを泣いてるって勘違いしたみたいで声かけたって」

「それって織田先輩じゃ。美鳥、あんた凄い人たちばっかに声掛けられてるよ」

「嫌な人たちもいたよ」

「あれは例外。石っころだと思えば良いのよ」

「なんか雑だね」

「あー、私も階段下にいれば、いい人に声をかけてもらえるかな?」

 

 泣いていた身としてはこそばゆいけど、


「やめよう。怪しい人だって言われるのかオチだよ」

「だよねー。あーどこかに良い出会いってないかしらわ」

「私もそう思うよ」

「何を! このリア充候補が」


 鼻息荒く言われてしまった、えへへ。すると歩みが私の顔を見てきた。


「ねえ美鳥。メイク変えたの? バカにシャキィって決まってるのよ」

「そう、わかるのね。斎田先輩に教えてもらったの。さっきの呼び出しも、その件じゃないかな。じゃあ行ってくるよ」

「いってらぁ」


 歩美はハンカチを振って見送りしてくれた。 


 階段を登っていくと踊り場で談笑している男の人たちがいた。先日に教室までナンパをしにきた3人だ。極力、目を合わせないように横を通り抜けていった。階段を上りきった時にちらっと見返すとにしゃにしゃした笑いが目に入ってくる。気になったし気持ち悪かった。


 教室に入ると昨日の3方が待っていてくれた。斎田様、生駒様、原田様。歩美が教えてくれた当校最上の人たち。なので心の中で様呼びになっている。


「わざわざ、お越しいただいてありがとうございます。あの場でお渡ししてもよろしかったのだけれど、そう言うことに煩い子たちもいらっしゃるでしょう。ですので御足労お願い致しましたの」

「いえ、気にしていません。昨日はありがとうございました」


  斎田様はニコッと微笑むと私に近づいて顔を覗き込んできた。手入れされたほっそりとした指で顎を上へ左右へ動かされていく。


「夜、朝でのお肌の手入れはしっかりされている様ですね。大変宜しゅうございます」

「ありがとうございます」

「放課後がたのしみになってきました。ここにきていただいたのは、こちらをお渡しするため」


 と、ご自分の机に置いてあった紫の包みを渡された。ちょっと重い。


「開けていただけますか」


 近くにある机に置き包みを開けていく。豪奢に染められた布を 左、上、下、右と中から出てきたのは


◯7,○○Pteen,S◯DA,eg◯


膝からぐずれ落ちた。痛いよぉ。


「私もねー、これを参考にメイクしてたのよ。お勧めのコスメも載ってるし良いかなって」


 言葉も崩れてるのー。


「あんなの、みんな見てるところで渡してみ、変な噂が飛び交うは、尋問に合うわで大騒ぎよ、あれ、何崩れ落ちてるの」

「ハイソな百合の世界かと思ってたんですけど、それが」

「崩れったって訳だあ。ハハハハハ、ごめんな。でもな昨日もこんな口調だよなぁ」


 記憶の底を探れば確かにそうだった。


「じゃあ、放課後を楽しみにしてね。アディオスアミーゴ」



 自分の教室に帰ると案の定、歩美に聞かれた。


「どうだった?」

「お願い!聞かないで、私も忘れる」


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