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年下幼馴染は同級生 でも1/3は俺が嫌い  作者: つむら湯
2度目の登校。再会、出会
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休憩時間に突撃、反撃

「起立、礼、着席」


 クラス委員の美鳥の号礼で休憩時間になる。早速に廊下側の後ろから3番目に座る真壁君を目指して行った。


「真壁君、真壁君」

「えっなんですか?」


 肩が跳ね、驚いたように振り返る真壁君。少々ぽっちゃり体型で短髪だけど円らな瞳でこちらを見てくる。


「真壁君は美術部で良いかな。そうなら、お願いしたいことあるんだけど」

「うん、入りました。で、なんですか?」


 なんか丁寧に返事を返してくれた。


「油絵で、何か鐺みたいの使ってないかな。ちょっと先の小さいのだけど」

「ペインティングナイフですかね。こんなの」

 

真壁君は自分の机をガサゴソと探している。詰め過ぎなのか教科書からノートからこぼれ落ちてしまっている。なんとか見つけたようで見せてくれた。菱形のブレードに適度な角度がついたグリップがついている。


「これこれ、借りても良いかなぁ」

「なんに使うのでしょう」


バサッバサバサッ

 と更に机から色々と雪崩れ落ちてしまった。その内の一冊の冊子に目が留まった。


「かざみー、やめとけ、やめとけ。そんな奴と付き合うとオタクが感染るよぅ」


 横から茶化してくる奴がいた。真壁くんは萎縮して下を向いてしまった。


「真壁君、昼を一緒に食べないか? 奢るよ」


 えっ? 茶化してきたのも含めて周りが驚いている。美鳥や河合さんまでも会話を聞いていたのか、こちらを見ている。ポカンと口を開けていた。


「この冊子も借りたいんだよ。よろしくな」


 次の授業があるから自分の席に戻っていく。振り返ると真壁君はびっくりした顔で俺を見ている。手でよろしくと挨拶して席に座った。


 「何か良いものでもあったかい?」


 忘れようとしているがコットンがいた。左頬は昨日の傷の手当て荒れているし、右頬は虫歯のようで腫れている。


「いじるのに、元い、頬を仕上げるのに良いものがあったよ。借りてみるよ」

「頼むよ。歯の痛みも少し引いてきたよ」


 コットンは、焦点の合わない目をして机に座り込んでいる。


 次の休憩時間に真壁君が突撃してきた。


「風見さん!フィギュアに興味いるのですか?粘土フィギュアですか?僕は粘土フィギュアの造型やってみたいんです。将来的には、その会社に入ろうかと思ってます。今年の新作どうでした?」


 矢継ぎ早に話しかけてきている。話に夢中になって机に覆い被さる形になって、手を置いているのだが…

 コットンが下敷きになった。最初の突撃で横に倒され右頬に手のひらがのり、そのまま潰された。コットンは目を見開き涙がわりの金属球をポロポロ出しながら痛みを訴えている。

その痛みが想像できるだけに、俺は顔を顰めた。午前の最後の授業の先生が教室に来て美鳥が号令するまで真壁くんの話とコットンへのハンドスタンプは続けられた。コットン御愁傷様。

 昼食はキーマカレー。もちろん真壁君にも同じものを奢り道具と冊子を借りた。後、コットンに頼まれて画材木炭


「真壁君。やりたいこと、なりたいものがあるのなら突き進むのは良いことだよ。羨ましいよ」

 

 そんな言葉を伝えた。真壁くんは真剣な顔をして聞いてくれた。

 俺も潰えた夢がある。だけど他に出来ることも見つけたんだよ。でもごめんね。造型方面ではないよ。



痛い、痛い、痛いよぉ。歯が痛い。虫歯かなあ。こっそりと痛み止めを飲んで耐えている。


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