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年下幼馴染は同級生 でも1/3は俺が嫌い  作者: つむら湯
2度目の登校。再会、出会
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買い物、買い物

再び、薬屋スーパーに寄り道をしている。今回はクッキーコーナー。お目当てはコトリが好きな中しっとりクッキー。チョコチップ入り。これを頬張っているコトリの記憶がある。ここのコーナーの手前によいものがあったので、そちらも購入。イチゴ、メロン、バナナ、グレープとたくさん種類があったから迷いましたが、決めて購入。

 学生マンションまでの帰り道は、いろいろと考えてみた。粘土みたいに柔らかいものを均すとなると左官の使う鏝かな。コンクリをさらっと平にするやつだけど想像するに、鏝で頬を均そうすると恐怖に大きな目を更に広げれて怯えるコットンの姿が見える。ホラー映画の絶叫手前のヒロインみたいに。もっとサイズの小さいのあるかな。ネットを検索してみよう。

 玄関をあけるとコトリはこちらに背を向けて座っている。

「おかえり」

 ボソボソと聞き取りづらい声音を出していた。

「どうした? なんか元気ないね」

「ナーンか頬がゴワゴワするの。歯はシーっとするし甘い汁まで出てくるし気持ち悪い」 

 コットンの頬の具合が伝染したかな。

「まあ、これでも食べて機嫌治しててね」

 コトリの前にクッキーを置いてあげる。

「中しっとりクッキーだぁ」

 クッキーと俺の顔を何度も往復して見て、

「これもすきー!ありがとうお兄ぃ。食べて良い?」

「2個ならな」

 昨日を教訓にして数を制限した。多分、コトリのポリポリチョコの過剰摂取が2人の赤ニキビの大量発生の元だろう。

「もっとぉ」

 聞かないことにして、夕飯のために食堂へ向かった。今日は海鮮丼と野菜の揚げ浸し。美味なり。


 部屋に帰ってから、

「コトリ、ちょっと良いか」

「なあにぃ」

 とことことこちらに来たコトリをバスルームシンクに連れていく。薬屋スーパーから持って来た紙袋から、子供用の歯ブラシと歯磨き粉を出す。

「歯を磨いてあげる」

「いやぁ」

 逃げようと踵を返したコトリの服の襟を取り、引き戻す。

「なんで、お口スッキリするよ」

「グジュグジュなっていや」

 背中へ手を回しコトリを抱え込む。そのまま体を横にして頭を俺の膝にのせていく。そして歯ブラシにアクアブルーの歯磨き粉をつけてコトリの口に近づけていく。覗き込むようにコトリの目を見つめて、軽く唇を開くとつられてコトリも口を開けてくれた。鉛筆を持つようにして歯ブラシを唇の中へ入れていく。歯と歯茎の境に歯ブラシを当て小さく動かしていく。口の左側に歯ブラシを当てて、外側をU字型にみがく、次にかむ面を両方みがいて、それから内側をU字型にみがいていった。途中と最後に水の入ったコップを渡して口の中をすすいでもらう。

「何これ、口の中がスーとして気持ち良いよ。これ好きー」

「ミント味なんだよ。いいでしょ。明日はグレープ味な」

「お願いね」

 こうすれば明日、虫歯で苦しむ2人を見なくてすみそうだ。

「そうだ。お客様痒いところはございませんか?」

 しまった洗髪のする時だったっけ。覗き見る格好だから、つい言ってしまった。コトリは唇を詰むんだまま顔を振る。おっ、初めてみる表情。でニコッと笑ってくれた。

「美鳥の怒った顔ばかり見てる気がする」

ぽろっと呟いてしまった。

「大丈夫ダァよ。ツンなだけだから。だってコトリも美鳥もお兄ぃ、むふふだもん」

 コトリが笑いながら答えてくれた。1番の笑顔をもらえた。

「ありがとな」

 コトリの前髪を撫でであげた。



 その後、コトリを寝かしつけてから、ネットを検索してみると丁度良さそうなものが見つかった。明日、クラスで聞いてみよう。


あーあっ。

 鏡に映る自分の顔を見て嘆息する。左頬に弧を描くみみずばれ。心なしか薄れてきてる。洗顔の後、化粧水をコットンで肌に染み込ませていく。傷のあるところはワセリンを塗った。夕飯を食べて、歯を磨いたあたりから口の中がスッキリしてる。少しは落ち着けたかな。シクっとこなくなった。

「明日、歩美になんて言おう」

 考えはまとまらないや。


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