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彼女が転んで突っ伏した…どうする?

よろしくお願いします。

急にいれたくなりました。

眠い

 それほど大きくない滝壺。そんなところに美鳥は体育座りをして滝の水に浸っている。

 このアクアリゾートのアトラクションの一つにカルカフォールがある。南米の石灰岩郡に流れ落ちた滝が作り出した、天然のフィルドアスレチックを模したものだそうだ。

 水の弛まない流れが長い年月をかけて侵食し削り出しえたもの。勾配もキツくなく、階段状の緩やかな滝を美鳥と手をひいて登っていたんだ。

 ちょっとした窪みとかがあって相方がバランスを崩した時なんかに助け合って、2人の仲を高めあうんだ。

 多分に漏れず、美鳥もバランスを崩している。

 危ない、危ない。

 しまいには抱きつかれる羽目に遭ってしまう。

 そして俺たちの目の前に現れた滝と滝壺。ここは浅い水面を渡り対岸の滝の下を通ることになっている。

 

 色々と思うこともあるのだろう、美鳥がなんか気合いをいれて、肩を怒らせて滝壺に入っていく。

 が、すぐにつまづいて転んでしまう。

 前のめりに倒れてしまって四つん這いになるのはいいのだけれど、俺に、美鳥の、その可愛いお尻を突き出した格好になってしまっている。甘っさえ、水着越しとはいえ、股間をモロに晒してしまっているんだ。

 なあ、彼女にこんな格好されてしまった彼氏ってどうすりゃあ、良いんだ。誰か教えてください。

 でも真打はその後にやってきた。美鳥は小首を傾げてこちらを流し目で見てきたんだ。


「見たぁ」


 怪しい表情でこっちを見てきたんだけど、さらに起き上がりながら、自分の胸を抱えて膝立ちになって、


 潤んで涙を流しながら、こっちを見てくるんだ。


「見ましたか?」


 だよ。

 一応、正式な彼氏の対応、


「見てない、見てない」


 顔の前で手を振って否定したけど、熱くなってる顔が真実を醸し出してるんだよね。

多分、美鳥にもわかっているんだろう。

 声は聞こえないけど、エッチっていう唇の動きはわかってしまう。

しまったぁ。やっぱりバレてる。


 でも、そんな美鳥に大人を感じてしまった。美鳥の表情に肢体に。あの小さかった美鳥が大人の女性に成長していってるんだね。


 そうこうしているうちに、美鳥はしゃがみ込んでしまう。体育座りで頭を膝に乗せて、      ぶつぶつと何か呟いている。


私なんて、

どうせ

とか

鈍臭い

とか

ドジ

 とか自己肯定低すぎな言葉をブツブツと出しているんだねーこれが。

 まあ、いつまでもこんなことはさせて置けない。先に進めないし、何よりも美鳥の体を冷やしてしまう。


「しょうがないなあ」


 ひとりごちながら、美鳥に近づいて背中から膝の下に手を回して抱えあげる。

 もちろん美鳥は踠くけど気にせず、ザバッザバッと美鳥を抱えながら歩いていく。対岸についてから、できるだけそっと下ろしてあげてね、彼女の前に立って手を伸ばして撫でてあげる。


「すぐに不貞腐れるんだから、美鳥は」

「そんなことないもん」


 唇を尖らせて抗議するけど、


「美鳥は笑っててよ。その方が可愛いよ」


 小さい時から変わらないやり取り。

 その内、目を泳がしていた美鳥は落ち着いたのか、笑顔を見せてくれる。そして抱き着いてきて、


「アハ!」


 そう、その笑顔、幾度、それに胸を打ち抜かれたと思うんだい。

俺は、美鳥の前髪をクシャッてしたんだ。そうして元気のでた美鳥を立ち上がらせて、進路通りに進み、滝が流れ落ちる付け根の隙間に入っていくんだ。


「おぅ」

「きれぇ」


 2人とも感心してしまった。

 滝の裏側は水のカーテンになってるんだ…それは光を内包して、表で受けた光を取り込み、ともに流れ落ちていく幻想的な風景を醸し出していたんだね。

 手を組んで握って恋人握りでーその風景を見ていたよ。

良かったな…緑と一緒に良いものを見られたよ。




 それに満足して外に出ると上から嬌声が聞こえて来る。美鳥の声にそっくり。先に行っている和也さんと美華姉だ。

 見ると、美華姉は和也さんの腕に懸垂の要領でぶら下がっているんだ。


「あはは」


 美華姉が笑ってる。

美鳥がさもして欲しそうに俺を見てくる、


  無理,


俺は顔を左右に振って否定しておいた。結局はお姫様抱っこでゴールする羽目になったけどね。

それは俺のお恥ずかしい虚栄心だったりする







ありがとうございました

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