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躓いて転んでしまいました

よろしくお願いします。

 傾斜の緩やかな斜面を水が流れていく。

白い石灰質の大岩小岩が置かれてきるところを縫う様に。滝と言うには、穏やかなところなのね。だから一孝さんと2人、登っていきます。


「美鳥、手を」


 私が差し出すそう一孝さんがしっかりと握っつくれるの。


  だから怖くない。怖くない。


 少し、凸凹しているけど、なんとか登って行けた。上手く足場がつくてあって、戸惑うことはなくてよかったな。でも足を置くところで水が流れているところなんかあると、


  ズルっ


「きゃあ」


 滑ってバランスを崩してしまう。辛うじて一孝さんの手を強く握って、事なきをえたの。


「えへへ」


 彼も微笑んでいる。


もう大丈夫ですって登った途端、


   ズボン


「きゃああ」


 少しの深みにハマってバランスを大きく崩してしまう、握っていた手を離してしまい振れる体を抑えようと手をグルんグルン振り回したの。


  グラッ


「んー」

「おい! 美鳥」


 倒れると思って一孝さんの腕にしがみついてしまったのね。膝はガクガクしたけど、地面には膝をつかなかったよ。


「ごっ、ごめんなさい」

「大丈夫? 捻ったとかない?」

「うん」


 恥ずかしくて、懇願する様に仰ぎ見れば、彼はにっこりしていてくれた。うふ。 私も微笑みを返しましたよ。

 後ろでは、私たちについてきたミッチとカンナもきゃあきゃあ言いながらついてきています。


「どうする。もう辞めとくか?」


 確かに最寄りの階段への退避ルートも各所に案内されてるけど、後ろの2人が楽しんでいるんだもん。私も楽しみたい。


「頑張る。一孝さんと楽しみたいの」


 そして登って行く。

 丁度、比較的に段差の大きな滝の下に来ました。ちょっとした滝壺ができていたのね。浅いところを渡って行くと流れる滝の裏側を通ることができそうなんです。

 これ見よがしに矢印の書いてある看板がチラッと見えています。私しに対しての挑戦かしら。さっきの失敗を挽回すべく、


 フン、

 

 胸の前で拳を握り気を締めて水面に足を落として滝壺に入って行く…ズブズブと。


「美鳥、慌てて入って…」


 一孝さんは私に注意してくれたのだけど間に合わなかったの。数歩と行かずに何かにつまづいて引っかかり、前のめりに転んでしまった。

 思わずだったんで手をつくこともままならなかったのね。顔面から水面に突入してしまいました。ジタバタしたおかげか底まで潜り込んで顔を打ちつけることはなかったけど、四つん這いになってしまってる。


 ブクブク


 顔を水にしたまま、息を吐いている。なんでって恥ずかしいんだもん。あれだけ気合い入れて踏んたら、ずっこけるし、恥ずかしいったらありゃしない。誤魔化すしかないでしょ。


 しばらくブクブクをして顔を上げて後ろに振り向く、


  あれ?


 一孝さんが片手で顔を隠して狼狽えている。狼狽してるのよ。なんで?


 

  あれあれ?


  んーーーーーー


 私ってどんな格好してる?


 んーーーーーーー


 四つん這いになって、一孝さんに、


   お、お、おっ、おっ、おしっ、お尻を向けてるのおぉ。


 一孝さんにお尻向けてました。張り切って滝壺へは私から入って、後ろに彼がついてきていたから、蹴つまずくと、真後ろにいた彼には…


いやぁああああああああああー


 お尻をさらしてしまいました。


いやぁああああああああああああー


 そ、そっして水面との間をお腹の方へ視線を移して行くと足の間が見えた。光が差している。僅かだけど見えるの。


ああああああああああああああ


 と言うことは、


んあああああああああああああああ


 まっ、また、また、さらに、またグリを晒してしまった。それもあらぬ方向から!


 もう、だめ。


 しばらく、打ち震えていました。


  フルフル、フルフル


 そして、私は上体を起こして行く。後ろは手でかくしな彼ら、ゆっくりとゆっくりと。

もう、この乙女に有るまじき物を見せてしまった、さらしてしまった。こんな恥ずかしい女など誰が貰ってくれよう。

 起き上がりつつ、後ろを振り向くの。顔が熱くなってる。燃えちゃうって言うぐらい暑いの。目も潤んでいるのが分かるのね。そして雫が頬を落ちて行く…一粒そして二粒。


「みたぁ?」


涙に滲む目が和也さんを、微かに捉えた。

一縷の望みをかけて、訪ねた。


「見ましたか?」


  フルフル


 って彼は首を振って手のひらまで振るって否定はしてくれた。


「見てないよ」


 でも、でもでもね。真っ赤になってる顔を見れば一目瞭然。見てたのでしょう。

私は、一瞬止まってしまった。グラっと体がふるえる。絶望の海に落ちてしまったみたい。視界が遠くなって行く。こんなのはもう女でも人でも生き物でもないわ。全てを放棄したくなったの。


 後から聞いたけど、なんか私はしゃがみ込んで膝を抱えて滝壺て水にすっぷりと浸かって体育座りしてしまったんだって。意味不明の言葉を吐きながら。

 んな私を一孝さんは抱え上げてくれて滝壺を渡りきり対岸の滝の下の足場になるところまでもっで行ってくれたんだって。


 しばらくすると誰かが頭を触ってる。そう、なでているんだね。だんだんと意識が戻って、意識が浮かび上がっていく。気分も良くなってきたの。しばらく浸っていたかったけど気持ちよくなって


  ビクン


と反応してしまった。


「おっー、起きたか?」


 これは一孝さんの声。

 微かに目を開けると心配そうな貴方の顔が見えた。私の顔を見たであろう、だんだんと微笑んでくれるのが見てとれた。


「良かったよ。気がついたみたいだ」


 こんな、私を心配してくれる。甘っさえ微笑みかけてくれる。あぁ、こんなのでもよければ、全てを上げます。醜態を晒した美鳥ですが受けとってください。


ね!

 

そして私は彼に抱きついたの。




なんとか落ち込んだ気分を復帰できましたよ♪。




ありがとうございました

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