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絶叫

よろしくお願いします。

幼馴染

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 昨日からのゴタゴタも、やっと落ち着いた。自宅に帰ってまったりと言うか、ぐったりと言うかとしていたの。色々とあったけど、車の中でママからいろいろと聞いた話ガ一番ショックだった。私は双子として生まれるはずだった? 妹がいたかも? コトリは妹? 今まで自分だと思っていたのに、それが違うって事なの。これからどうしようなのね。ごちゃごちゃしすぎて整理できないよ。キッチンで夕飯を準備をしているママに声をかける。


「ママ、先にシャワーいただきますね」

「いいわよ。さっぱりしていらっしゃい」

「はーい、ありがとう、ママ」


 一度、頭を切り替えて、モヤモヤをなくしちゃわないといけない。

 脱衣スペースでキャミスカートを落とす。締め付けがないから、ゆったりしていて着やすいの。

 そういえばスカートの下に履いているペチコートがきつく感じた。程よくダイエットしているから、太ったことではないと思う。生地が縮んでだかな。

 まさかねえ。

 そのペチコートを脱いで、靴下も。上に着ているプルトップを頭から脱いでいく。下着を外して浴室に入る。シャワーで全身を軽く洗い流してからチェアーへ座る。

 ボディーソープを取ろうとした時に正面のミラーを見てしまった。


   お腹に横筋? 3本も?


思わず、手で触ると、


   ポニョん

   ポニョん


山ができてるの。

柔らかいの。


 顔から血の気が引いていく。

視線を下げて、自分の胸のライン越しに下を覗く。いつもなら床が

見えるのだけれど………


 白いお肌が見えました。緩やかに弧を描いた白いお腹が見えました。

え〜


「んきゃぁああああああああああ」


 乙女のピンチ、大ピンチです。


 私の絶叫が浴室から溢れ、琴守家の中に響きわたってしまう。

バスルームに私の絶叫の余韻の残る中、急いでドアを開けてバスケットに入れてあるバスタオルを引っ掴み体に巻きつけていく。

 そのまま廊下に出てキッチンに向かう。濡れている足の裏はペタペタと音を立てて、濡れ髪のまま、ママのところへ行った。


「美鳥、どうしたの! お、大声をあげて、ここでも聞こえたよ」


 私の絶叫を聞いてキッチンを出て廊下の入り口まで来たママと鉢合わせた。


「ママ、ママママ、オオナナナナ、ポニョんポニョん、ナナナン、とと」


 私の口から言葉にならない単語がダダ漏れになっている。


「美鳥、落ち着いて、なにを言ってるかわかんないの」


 ママは私の両肩を持って諭してくれているんだけど、錯乱しかかっている私は、寝れ髪に構わず、雫が飛ぶものお構いなしに頭を振っていた。


 パン


「美鳥ちゃん」

「!」


 ママは私の両肩を叩き、声を強めて、私を止めてくれた。


   はあぁ、はあぁ、


 お陰でなんとか錯乱状態から抜け出せたよう。

ママは、あたりを見渡してパパがいないのを確認してから、私の体に巻いたタオルをはだけて、私のお腹を触っている。


「確かにお肉がついてるわ。普段の食事だけじゃ、こうはならないな」


 ママは私の顔を覗き込んで、


「美鳥ちゃん。なんか暴飲した?」


 私は小さく、顔を左右に振って否定した。


「昨日までは、ママと一緒だし、お祭りだってスティックワッフルを少しとかき氷にりんご飴」

「結構食べてるわよ」

「ううん、半分以上は一孝さんに食べてもらってる」

「じゃあ、どうして?」

「お腹いっぱいで食べられない………あっ」


   わかった。


「コトリね」


 一孝さんが言ってたんだ。私と入れ替えで私の体に入り込んだコトリが屋台のもの食べたって。


「ママ、コトリよ。昨日入れ替ったって言ったの覚えてる?」

「確かに言ってたわね」

「思い出した。確かお腹がきつくて帯を上にずらしてもらったの」


 そうか。あの時には、コトリが色々とお腹に詰め込んだあとだったんだ。


「やられちゃたかな。目一杯食べたみたい」


 そう、自分で自分を怒ってるみたいで自爆するだけなんだ。


「ねぇ、ママ。明日から朝ご飯要らない。今日は夜も食べないの。ダイエットしないといけない」


 こんなこと言ったらママの雰囲気が変わった。


「美鳥ちゃん。ダイエットは急いで無理にやっても良くないの」

「だって、夏なのに水着を着れないよお。せっかくみんなと遊びに行こうかと思っていたのに。なおさら、お兄ぃに、こんなお腹を晒せなよお」


 あぁ涙まで出てきた。ママは私の目に溜まった涙を指で拭ってくれて、


「無理矢理やるとね、お肌が荒れるし髪もバサバサになるのよ。生理まで止まって、そんなどんよりした顔を一孝くんに見せたいの?」


 「それもいやぁ」


 涙が溢れ出す。お兄ぃにそんな顔も見せたくないよお。


「ともかく、焦らずにやろう。ママも考えてあげるから。運動もしようね」

「運動もいやぁ。苦手かも」

「そんな激しいのはやらないわよ。焦らずに行こう」


 ママは指を立てて、


「乙女は1日にしてならずよ。美鳥ちゃん」


 私はママの胸に抱きついた。顔を胸につけたまま、


「お願いママ、お願いします」


 声はくぐもってしまうけど、ただ、ただお願いします。お願いするしかない。

私の夏はダイエットに決まった。


「美鳥、どうかしたか?」

私の絶叫を聞いたパパがリビングにきた。でもね。ママに全力排除されてしまった。なんせ、霰も無い格好をした私がいたんで。


 ごめんなさい。パパ






ありがとうございました

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